<運営支援ブログミニ36>あえて申す。放課後児童クラブ(学童保育所)とクラウドファンディングの関係。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。
今回はミニ版。クラウドファンディングが放課後児童クラブの世界でもかなり使われています。わたくし萩原は複雑な感情を持っています。とりわけ施設を新たに建築しなければならないときに呼びかけられるクラウドファンディングには、国や自治体に「なんとかならんの?」とイライラが募ります。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
※わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年5月29日に公開されました。「“産業化”の大波に飲み込まれる学童保育…企業はどう収益を上げているのか?事業構造から見える放課後育成の実情」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40665
<児童クラブとクラファン>
わたくしが目にしてきたことから考えると、児童クラブ業界におけるクラファンは以下のようなパターンで使われていると考えます。
1 新規開業。新規進出。
2 施設の新築や改築。老朽化や移転、あるいは火災の被害からの再建。
3 事業運営で必要な「つなぎ」の運転資金
4 事業運営内容の拡大。施設や物品購入を伴うもの。
5 施設への投資を含まない、活動や運営、プロジェクトの活動資金。
以下、わたくしの単なる印象ですが意見を申し上げたい。
<安易に頼ってほしくない>
1の、新規開業の開業資金としてクラファンを呼び掛けるパターンです。目標額を1千万円級に設定することも珍しくありません。運営支援の立場からすると、児童クラブ業界へ新規参入するにあたって必要な資金を、ごく一部ならともかく、開業資金のかなり大きな割合を占めるほど寄付に依存、期待するのはまったく歓迎できません。はっきり言えば大嫌いです。
「事業を本気でやるなら、クラファンではだめだ」とわたくしは考えるのです。自分で貯めた資金や資本、何かを担保に金融機関から借りたり、交渉して資金を持っている人から借りること。返済計画をしっかり立てないと借りられないはずで、それはすなわち事業計画の見通しがしっかりできているかどうかを貸し手が判断することが重要です。
「元支援員です。理想の学童を立ち上げます。クラファンお願いします!」という呼びかけほど、わたくしの顔が引きつる内容はありません。それを「すごい! 頑張れ!」と応援するのは勝手ですが、児童クラブは事業であって社会的な責任の重要性たるや極めて重い、ということを理解している人であれば「やめてくれよ、そういうこと。児童クラブがお手軽事業だと世間に勘違いされるし、そういう程度の事業であると当事者が思っているから評価する側もそれなりの事業でしかない、という評価から上昇しないんだよ」と考えるのではないでしょうか。
自己資金で開業はできる、開業後2年間の運転資金は確保している、でももっとプラスアルファのことができればいいなと思ってクラファンをやります! ということであれば「まあ、できれば儲けものということか」と目くじらは立てませんが、児童クラブを新たに始めるのにクラファン頼みという人は、あえて言いますが、ビジネスセンスに不安があるので火傷をする前に事業を営む側から退場したほうが良いですよ。
<しっかりと支援してくださいよ>
わたくしが最も切なくなるのは2と3です。2は、すでに児童クラブを営んでいる民間事業者が、必要に迫られて児童クラブ施設を建て直したり移転しなければならなかったりで、新たに造る施設の建築費用としてクラファンを行っているものです。3は、以前に大阪市内の児童クラブでありましたが、児童クラブの補助金が交付されるまでの間の児童クラブ運営のための運転資金が足りないから寄付を募っていたものです。
2でいえば、「市区町村データーベース」の作業を行っていたら、北海道江別市の児童クラブでしたか、他で出火して広がった火災で児童クラブが焼失してしまい、新たにこどもが過ごす施設を用意するためのクラファンを実施していたことを知りました。他にも火災で焼失した施設の再建費用でクラファンを実施していた例があったと記憶しています。
民間事業者による民の事業だから、という理屈は分かりますがね、そこをなんとかなりませんか、自治体さん、こども家庭庁さん。「公の事業」としての放課後児童クラブであれば、やむを得ない事情があるときの施設の建築に対して子ども子育て支援交付金を使えるようにしてくれませんかね。目的外使用についてはなんとかルールを作るとして、それまで地域で事業を営んでいた事業者が資金力の問題で児童クラブを用意できず再出発できないなんて、それまで地域に子育ての安心をもたらしてきた事業者にあまりにも冷淡すぎやしませんか。児童クラブはそもそも零細規模の事業者が担ってきたのが現実です。そういう零細規模の事業者が困ったときに何とかしてあげられない行政や政治は、あまりにも民間の「こどものために頑張る」という社会正義の志に、ただ乗りしすぎです。
つなぎの運転資金が必要となるような補助金の交付も問題です。交付タイミングを事業者に不利にならないようにしましょうよ。市区町村の金庫はたいてい年度末から毎年5月半ばまでは空っぽであるのは分かりますよ。固定資産税等が入るまでは基礎自治体の資金繰りは大変だそう。でもね児童クラブに必要なお金なんて100万円の単位ですよ。それぐらいはあるでしょうよ。もっと言えば補助金が安すぎるんです。決算後の剰余金が100万円単位で生じるぐらいじゃないと年度はじめの運転資金が確保できないので、補助金をもっと増やすべきなんですよ。あとこれは運営側にも言いたいですが、「しっかりと予実管理をしなさい」ということです。お金があれば職員の賃金だのこどもの教材だのとバンバン使ってしまって、事業としても最も重要な、経費の支払いに充てるカネが足りないという事態になってしまうのは、そりゃ経営手腕がダメすぎます。保護者だからとかボランティアだからとか、そういうのは理由になりません。児童クラブ事業の運営、経営に携わるなら経営者としてしっかりと先行きをもって事業運営に予算を配分できなければダメです。
<美談にするな>
児童クラブのためにとか、誰もが反論しにくい「こどものため」「こどもの幸せのため」というキャッチコピーを掲げれば、目標額に届くか届かないかは設定額によるので何とも言えないですが、ある程度の寄付は集まるものです。
「ああ、そうやってお金を集める苦労をしてまでも、児童クラブのため、学童のため、こどものために尽くしたいんだ! すごい!」というのは、わたくしは違うと考えるのですよ。「事業をやるなら自分で資金調達計画を立てるのは当然で、資金調達に不確実性を伴う寄付をあてにするべきではない」ということはもう、大声て訴えたい。ごく一部として寄付を使うならいいんですよ。ですが、開業資金の大きなウエイトを寄付金で担おうというのは、児童クラブの事業性を軽視しているとはっきり言わせてもらいます。児童クラブなめんなよ、と。
美談にしてはいけません。もっと美談にしてはいけないのは「火災で失われたクラブの再建のために!」というクラファンですよ。それはもう、自治体、行政、政府の無為無策を民間でなんとかしなければならない苦境の可視化です。地域の子ども・子育て支援事業計画で量の確保を担ってきた施設の再建であればしっかりと行政がカネを出して再建しなさいよ! と言いたい。民間事業にカネを出せないという建前なんど、この国が、いくらでも大手の広告事業者に中抜きを許している構図をとっくに知っている国民から見れば「やりたくない言い訳をまた言っているよ」と冷めた見方になるだけです。そういうことが、国や政府、自治体への、納税者からの信頼と期待を下げるのですよ。
なお、上記の「4」は、児童クラブ運営事業者の自主事業であればまあご勝手にどうぞ、ではありますが、放課後児童健全育成事業に関わるものであれば運営費を使うべきものでしょう。クラファンの説明ではそのあたり、明確にしてほしいですね。まったくの自主事業であれば資金調達の選択肢の1つとして寄付があるのでしょう。それに寄付するかどうかは個人の自由意志の問題です。「5」は児童クラブ支援員の交流による資質の充実や拡大などのプロジェクトを見かけます。そういうのは賛同する人がどんどん寄付してあげてほしいと願います。
まあざっと言えば「事業性が強いものはクラファンに頼るな」ということですね。
そしてこの運営支援、奇跡的に事業として大きく成長して稼げるようになれば、クラファンにはどんどん資金を寄付していきたい。いつの日か、そうできる日がやってくることをただただ信じて日々、地道に活動しています。事業としてしっかり確立してそれを児童クラブに還元できる日がくることだけを願っています。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネルが開設されました。チャンネル名は「こどもを守る弁護士チャンネル」です。2026年5月30日に第2回の動画が公開、配信されました。こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルです。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
なお第1回(2026年5月16日)の「こども性暴力防止法を考える」が配信されています。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。
なお、近く新記事掲載が予定されています。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
