学童保育所も「労働生産性の向上」に取り組もう。その1

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育所の世界は、「低賃金」「長時間労働」「重労働」であり、それらは「働き手不足」の原因であり結果であるという、構造的に非常に困難な状態です。それは長年続いており、2015年からの「子ども子育て支援新制度」以降、補助金の増額や新しい補助金の新設などを重ねて、徐々に改善に向かっていると私は思っています。ただ、そうであっても、現状は極めて厳しく、全国の学童保育所では、新規就労者はそれなりに現れても、離職者が相次いでいる状況です。

 この状態を変えるには、もちろん、補助金の増額など収入面での改善が必要ですが、それをただ待っているだけではダメです。学童保育所における業務をより効率的にする、つまり同じ金額を使ったとしてもそこから得られる利益が増えるようにする、業務構造の改善が必要です。それは「労働生産性を向上する」ということです。

 こういう話をすると、学童保育の業界からは「学童保育は、利益を上げることが目的ではない。子どもの育ちを支える重要な福祉事業であり、利益を上げることを追求するのは間違っている」という強烈な反対意見が常に上がります。「福祉事業は、数値で利益を示せない。金額に換算できない」という意見もよく聞きます。強烈な拒否反応があります。

 しかし、その反対意見は根本的に間違っています。福祉事業であっても、同じ予算の中でより効率的に業務を行うことは当然です。そもそも、学童保育の世界ではこれまで、労働生産性について丁寧な議論がなされておらず、「生産性の向上=利益の向上=労働者の賃金を減らす」という短絡的な結論が導かれやすくなっています。学童保育の世界では、利益というものが常に金額という数値に変換されてしまうためで、「付加価値=サービスの質的向上」という点に視線が届かないことが原因です。

 さて、まず金銭面で考えます。学童保育で得られる収入の主なものは、利用する保護者(=国民)が「学童保育という仕組み」が必要だから支払っている毎月の負担金(月謝、保育料)と、国や地方公共団体からの補助金の2つになります。前者は受益者負担になりますが、「学童保育という仕組み」に支払っているもので「その地で学童保育を行っている事業者を自ら選択して支払っているのではない」ということを徹底的に理解するべきです。

 つまり、ある地域でAという事業者が学童保育を提供しているとします。その地域で学童保育を利用する保護者はAに毎月、保護者負担金を支払っているが、それはAという事業者が学童保育を営んでいるから支払っているだけで、それがB社に変われば次はB社に支払うのです。いわば、保護者が支払う毎月の負担金は、学童保育を必要とする保護者にしてみれば「税金」のようなもので、見方を変えると、学童保育の事業者は、毎月、保護者から集める負担金を、無駄なく効率的に使って最大限の学童保育サービスを提供することに、努めなければならないのです。その最大限のサービスとは、いわずもがな、「子どもが進んで通いたいと思える学童保育所にすること」であり、それは優れた育成支援を実施しているということと同義になるでしょう。それがすなわち、付加価値の向上による「学童保育の労働生産性の向上」の実現となるのです。

 当然、補助金は、国民の税金を原資として交付されるものです。1円の無駄なく効率的に使うことは当然です。

 今後、数回に分けて、学童保育所における労働生産性の向上について提言をしていきます。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の業務構造の質的改善について、積極的に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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