子どもを受け入れる事業として「管理運営責任」を肝に銘じることは絶対条件です。2つの報道より。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 多数の子どもを受け入れる学童保育所には、深刻に受け止めねばならない報道がありました。幼稚園に登園していた幼児が室内でけがを負い、重篤な後遺症が生じたことで損害賠償を命じられたという報道です。インターネットで報じられた記事を一部引用します。

 「岐阜市内の幼稚園で同じクラスの園児と衝突し目に後遺症が残ったとして児童と両親が運営する学校法人に損害賠償を求めた裁判で、岐阜地方裁判所は「園児の安全に配慮する義務を怠っていた」などとして、学校法人に対し2000万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。(中略)遊戯室の道具箱に遊び道具を片づけている最中、走ってきた別の園児と衝突して顔を強く打ち、ものが2つに見えるなどの後遺症が目に残りました。」
 「26日に岐阜地方裁判所で開かれた裁判で鳥居俊一裁判長は「遊戯室と道具箱までの区域を監視、監督できる教諭などを配置すべき義務を怠っていた上、園児が衝突しないよう安全な場所に道具箱を設置する義務も怠っていた」などとして、〇〇〇〇に2000万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。」(以上、NHK岐阜、4月26日17時15分。なお学校法人名は伏せました)

 この報道は、学童保育所の運営事業者のみならず、学童保育所の設置に関し最終的に責任を負う区市町村に対しても、極めて重要な意味を持つ内容です。
 学童保育所では、子どもたちが走り回ったり急に動き出したりすることが日常的に起こります。子どもは、そのような動きをすることが通常ですから、学童保育所に従事する職員は、常に、子どもが他者あるいは施設物品と衝突してけがを負わないよう、管理する責任があります。運営事業者は、そのような悲劇的な事故(=ハザード)が起きないように施設の整備を万全にするよう職員に配慮させる義務や管理体制に注意する責任があり、区市町村は最終的に運営事業者を管理監督する責任があります。

 一方、多くの学童保育所では、法令で参酌基準(参考基準)として示されている、児童1人あたりおおむね1.65平方メートルのスペースすら、確保できないギュウギュウ詰めの学童保育所(=大規模学童保育所)が多数存在しています。適正人数が在所している学童保育所ですら、衝突によるけがは珍しくないところ、50人を超える学童保育所では、さらにけがの発生リスクが高まっています。そのような状況で、現場の職員だけに、子どもの衝突によるけがを起こさないようにしっかりと管理させるというのは、法律上、当然求められる義務として行わねばならないとしても、あまりに酷なことです。(なお、子どもとの衝突で職員もけがを負うことが当然、起こります。こちらも同様に重篤なけがが起こらぬよう細心の注意が必要です)

 後遺症をもたらす深刻なけがは、その子にとって一生を左右する悲劇的なことです。ハザードは絶対に起こしてはならないのは当然ですが、そのようなハザードをもたらしかねない環境を改善し、重大なけがを発生させないようにする管理運営責任は、運営事業者と区市町村が、等しく負わねばなりません。特に、大規模学童保育所を「いずれ少子化で子どもの人数が減るから」などと安易な考えで放置している区市町村があるとしたら、大問題です。

 今回の報道ではSNSに、同じように子どもを受け入れる保育業界から「とてもじゃないけどそんな責任を負わせられるは無理。子どもを見守る大人の数が少なすぎる」という声が多くあがっていました。施設を運営する側、設置する側は、在所在園する児童数を適正にして衝突、接触による事故を減らすことに努めると同時に、子どもの様子をしっかりと把握できるだけの職員数を配置することができるようにする施策も同じく必要です。
 その上で、運営事業者は、常に施設の内外を点検し、ハザード防止のために必要な作業を行うことが当然です。

 子どもを受け入れる事業を行うことは、単に子どもの預かりでは、ありません。ひと1人の命、一生を受け入れるという「重さ」を常に意識し、ハザードを起こさないようにする「リスクマネジメント」を実行し続けることが絶対に必要です。管理運営責任は、甘いものではありません。軽視をする、あるいは気を付けていたとしてもその程度が足りていないと、いざというとき、巨額の賠償責任を負うことになるのです。

 さてもう1件。気象庁から、「早期天候情報」として、5月3日から同11日まで、全国的に気温が高い日が続くという情報が4月27日14時30分に発表されました。5日間平均で気温がかなり高い状態にあることが予想されます。学童保育所内では多人数がいるため、室温はすぐに上がります。外気温が高い場合はなおさら。しかもまだ、人間の体は、外気温が高い状況に順応していません。熱中症を起こすリスクが高い状態が続きます。

 子どもはもちろん、職員にも、熱中症は絶対に起こしてはなりません。命の危険があります。熱中症を防ぐために、早急に、エアコンの試運転や点検を行い、必要時には、熱中症防止のため室温を適正温度に管理することが必要です。すぐに、エアコンの点検を行ってください。
 (なお、埼玉県内または埼玉県近辺の地域で学童保育所を設置運営している自治体、事業者様にお知らせです。複数施設の合計でエアコンが多数(20台程度以上)ある場合、リーズナブルな費用で点検と清掃ができる事業者をご紹介できます。点検をして清掃が必要な場合に、清掃を行います。ご関心のある場合は、弊会お問合せフォームからご連絡ください。通常の料金より低額な料金で対応可能です)

 子どもを受け入れる側は、安全安心な居場所としての学童保育所を継続して運営する重大な責任を負っていることを、絶対に忘れてはなりません。「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所の運営に関して必要なリスクマネジメントとクライシスコントロールについて、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に、具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)