放課後子供教室は、学童保育と連携して質を改善すれば、子どもの居場所として機能します。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育所は、まだまだ施設数が足りていません。就労等で、留守になる世帯のお子さんの安全安心な居場所として大本命である学童保育所ですが、施設を造るにも働く人を集めるにも、計画してそれが実現するには数年の時間がかかることもあります。今もなお、子どもの安全安心な居場所=サードプレイスが足りていない状況で、国が本命視しているのが「放課後子供教室」です。

 放課後子供教室とは、小学校の教室等を使い、退職教員や地域の方たち、ボランティア団体が、放課後から午後5時ぐらいまでの間、さまざまな活動を行って子どもたちに過ごしてもらう事業です。学童保育所は子ども家庭庁の管轄ですが、放課後子供教室は学校施設を活用することで文部科学省が中心となって行っている事業です。実施には国の補助金が交付されます。利用については基本的にすべての児童が対象であり、利用するための費用は保険料程度と低額です。

 すべての児童が利用できることや学校を使えること、多方面で活動している方や団体を招いて子どもたちにさまざまな活動(学習も含みます)を提供するというメニューからすると、理想的な子どもの居場所になりそうな印象を持ちます。
 ところが実際は、そうはうまくいっていません。活発に活動できているのは、放課後子供教室が学童保育所の役割を重ねて担う「全児童対策事業」(大都市を中心に増加中)ぐらいなものです。そしてその全児童対策事業も、学童保育所が本来、事業目的としている「育成支援」の面ではその機能が弱まっており、非常に多くの子どもたちがギュウギュウ詰めの中で過ごしている状況が相当数、存在しています。
 それ以外の放課後子供教室は、週数日の実施でしかも小学校の長期休業中は実施しない地域が多く、子どもの安全安心な居場所になっていません。

 その理由は、実施体制が貧弱なことに尽きます。退職教員やボランティアの方々を招いて子どもたちにいろいろな活動を提供するのですが、まず、大人の側の人がなかなか見つかりません。放課後子供教室は本質的に「低コスト」を至上命題としているので、活動を提供してくれる大人に支払う報酬はボランティア労働への対価が基本ですから、収入面で魅力がないのです。
 もっと問題なのは、「子どもにとって、本当に楽しい、居心地の良い場所になっていない」ということ。子どもの放課後は本来、自由に遊び、そのパワーを発散する時間です。その時間に、大人が指示したメニュー、工作や学習を行わせることは、子どもにとって楽しい時間ではありません。よって、子どもたちが「行きたい」と思わなくなるのです。
 また、午後5時前後で終了ですから、フルタイムで働いている世帯にとって、利用しやすい施設とはなっていません。子ども同士のトラブルがあっても、育成支援が目的の事業ではないので、そこにいる大人が積極的に介入して対応するということはなく、注意しておしまい、ということが多いようです。

 つまり、「安かろう悪かろう」となっているのが、多くの地域で行われている放課後子供教室の実態です。だれでも利用できる放課後子供教室ですが、誰もがあまり利用したくない事業という、皮肉な結果となっています。

 それでも、今すぐにでも、子どもの居場所は個所数を大幅に整備する必要があります。とはいえ、学童保育所の整備はそれなりにコストがかかります(本来はそのコストを国が惜しまず学童保育所を整備することが重要なのですが、現実的に厳しい状態は見逃せません)。

 よって私は、使い勝手の悪いこの放課後子供教室を、少しでも、「子どもが、また行きたい、と思う場所にする」ことが、費用対効果の面でも、増え続ける子どもの居場所確保のニーズを満たすことでも、消去法ではありますが、有効な施策だと考えています。

 そのために必要なことは、簡単です。子どもの過ごす時間をフォローするプロフェッショナルである、学童保育所の要素を正しく放課後子供教室に投入することです。つまり、放課後子供教室の運営そのものを、学童保育所の運営事業者に合わせて行わせることです。

 育成支援にとって重要なのは、子どもの育ちのために「遊び」の時間を大切にすることです。遊びが、子どもの育ちに非常に有効だからです。放課後子供教室でも、遊びの時間を確保していることがほとんどですが、従事する大人の、遊びに対する理解が薄いために、遊びは「プログラムの間の時間つぶし」の扱いになりがちであり、子どもにとって不十分なのです。
 よって、「遊びのプロ」である、放課後児童支援員(学童保育所の職員)が、放課後子供教室に積極的に関わることで、子どもにとってより楽しい居場所となる可能性がアップするのです。子ども1人1人の様子を把握することも、放課後児童支援員の任務ですから、困っている子どもとその世帯のフォローも、より丁寧にできるようになります。午後5時前後の終了時刻を過ぎた後でも、自宅に戻ることが不安な子どもに対し、より長い滞在が可能な学童保育所への移動もスムーズになります。

 学童保育所の運営事業者が放課後子供教室を合わせて実施することで、子どもたちにとって魅力的な居場所と時間を創出することが可能となるのです。それにあたっては、当然ながら、運営費用を別途、行政が補助する必要があります。
 また、放課後子供教室が国の思惑とは別になかなか広まらないのは、実のところ、教育界側の姿勢があります。今の学校は、放課後になると、自校の児童という意識を持たないようで、「すぐに学校施設から退出するように」という考え方が大変強くなっていると私は感じています。管理上の問題なのでしょうが、学校(教育委員会)側が、放課後の学校施設の利用について柔軟にならないと、いくら事業者が変わっても、施設面の使い勝手は悪いままです。その点の改善は前提条件として必要でしょう。

 就労世帯は引き続き増加し、就労形態も多様化している今、子どもの安全安心な居場所=サードプレイスは、すぐにでも増やさねばなりません。そのためには、既存の教室をそのまま活用できる放課後子供教室が有利であり、かつ、その運営には、子どもファーストで取り組める学童保育所の運営事業者がふさわしい、ということです。
 もちろん、事業運営に際しては、その運営事業者にゆだねて、行政は、あれこれと指示や制限をかけないことが望ましいことは、言うまでもありません。

 すぐにでも必要な子どもの居場所づくり。「あい和学童クラブ運営法人」は、多角的総合的に、子どもの居場所づくりにおいて、その地域に適切な方策を、自治体や学童保育運営事業者と一緒に、考えることができます。

 待機児童は出さない、でも必ずすぐに新たな子どもの居場所を整備して、それまでは丁寧に子どものフォローをすること。ぜひとも、「学童保育の良い点を取り入れ、質を向上した放課後子供教室の整備」について、基礎自治体だけでなく都道府県も、子ども家庭庁も、大急ぎで取り組んでいただきたいと考えます。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育組織運営に豊富な経験を持つ代表が、学童保育所や放課後子供教室の制度の在り方のみならず、子育て支援の施策に関して提言していきます。それらの運営に際しては、子どもたちと職員のことを考えた具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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