学童保育の悪しき風潮「子どものため」という情感を利用して仕事への意欲を起こさせること、に代わることは?
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。
学童保育の職場で蔓延する「やりがい搾取」。なぜ、やりがい搾取が横行するのかといえば、「効果的」であり「便利」だからです。学童保育の現場は、構造的な問題によって低賃金であり人手不足に苦しんでいます。それは、賃金や休憩休日のような労働条件では働いている人を満足させられないがゆえに、「子どものために働きたいんでしょ?」と、その人の「やりがい」に働きかけて、仕事への情熱や、やる気を持続させることが、一番効果的だからです。
逆に考えれば、コストがかからない「やりがいへの働きかけ」をうまく利用(=悪用)すれば、ほどほどの賃金でも、職員を仕事に向き合わせることができるのです。これは、人件費を抑制する仕組みとして使えてしまいます。すなわち、運営組織本体への利潤を増やすことを可能としますし、もっと言えば、補助金の額をそれほどふやさずに済む、ということです。学童保育を利用して「得をしたい」考えの人たちにとって、これほど便利な仕組みはないでしょう。
しかし、「やりがい搾取」は、人の善意、崇高な気持ちを利用して、他の人が得をすることを可能とする仕組みですから、道義として、正義として、その横行を許してはなりません。やりがいは「搾取」して枯渇させてはならず、「増大」させてもっともっと仕事に対して積極的に向き合えるように、するべきなのです。
やりがいを搾取して有能な職員を消耗し尽くし、人件費が増大する前に退職の道を選ばせる=使い捨てする悪しき風潮を根絶しなければなりません。ということは、厳しい職場環境にある学童保育所の職員たちに、やりがいに訴求するのではなくて、何か別の要素をもって、学童保育での仕事により積極的に向き合えることを可能とする仕組みを実行する必要があるのです。それは、「とても大事にしている子どもたちへの崇高な思い」(=児童福祉への「やりがい」)だけに根差す「モラール」(勤労意欲、やる気)ではない、別の要因に基づくモラールの向上を実現すること、を意味します。
それを考えるには、学童保育の仕事の現場も、通常のよくある企業や組織の仕事現場と同じように、どのようにすれば、職員たちの働く気持ちを前向きにすることができるのだろうかという、労務管理の問題、とりわけ、人間関係管理の世界をしっかりと考え、その管理の考え方を導入することで職員の業務に対する意欲を向上させる=生産性向上の実現、をもたらす必要があるのです。
学童保育の世界は、「福祉の世界だから」と、一般の企業等で行われる手法を頭ごなしに否定したり毛嫌いしたりする風潮があります。営利の世界で行われていることを、崇高な福祉の世界に持ち込んでもうまくいかない、という、私に言わせれば「馬鹿げた理念」がはびこっていて、大変残念なことです。しかも、現場の職員や施設長クラス、あるいは保護者出身の経営運営者においても、そのような科学的な労務管理に対して興味関心が薄い(そもそも、知らない)ために、結果として、やりがい搾取を利用されることで本来なら得られるはずの待遇や利益を、みすみす逃していることになっているのです。しかも、これは滑稽なことに、現場の職員がそのことに気付いていない。
次回以降は、やりがい搾取という手法を使わずに生産性向上を導く人間関係管理について考えていきます。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育という職場で行われる業務の質の向上、職員の生産性向上についての提案を発信しています。学童保育の運営に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った運営の方策についてその設定のお手伝いすることが可能です。
育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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