学童保育を苦しめる「やりがい搾取」。経営側、いや国や行政が「やりがい搾取」で利益を得ている残念さよ。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育の問題解決と運営を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育で働く人たちに投げかけられる言葉で「子どものため、でしょ」という言葉が多くの有能な人たちを消耗させてきたと、前日にブログでつづりました。この言葉、とりわけ、長く学童保育で働いていて、しかも子どものことを(その質の高低はともかく)最優先に考える人が発することが多いように私には思えます。子どもの事を大事に考えるあまり、すべてにおいて「子どものことが優先」という思考になってしまうのだと私は分析しています。個人の事情より、子どもに関することが全てにおいて優越する。子どもの事なら何でも我慢できるでしょ?それがまさに「やりがい搾取」なのです。

 この「やりがい搾取」、経営側にとっては大変便利なのです。子どものために頑張って働いてくれる職員で構成される現場組織なら、本来であれば必要な賃金を用意しなくても、子どものためならと、頑張って働いてくれるからです。子どもが好きな人は大勢いますし、毎年、どんどん社会人になる人を一定数採用できれば、3~5年間も働いてそれこそボロボロになるまで消耗した職員が退職しても、新採用者による補充ができます。新卒でなくても、保育士資格など子どもに関する資格を取得する中途採用者もそれなりに多いです。しかもそういう人たちに払うのは初任給からですから賃金は一番安い。(保育所や幼稚園は、学童保育の世界以上に、この様相が明確になっているのではないでしょうか)
 こうして、賃金を支払う側にしてみれば、安上がりの人件費で事業が継続できるという構図が確たるものになるのです。これは、経営側が必要以上に利益を得ることができる、大変都合の良い仕組みですが、このことによって、最も利益を得ているのは、私は国や行政だと考えています。本来必要な人件費分のコストを、個人のやりがいという精神的要素で「穴埋め」できているのですから補助金の基準額を抑制することができるからです。

 しかし、この構図はもう破たんしています。

 理由として、「学童保育は以前に増して育成支援の専門性が求められる業種となった。よって短期間で技能スキルが得られる仕事ではなくなった。長期にわたり職員を雇用し、必要な専門性を取得させることが事業の質の向上、生産性向上に資する。短期での入れ替わりを前提とした雇用形態では、質の高い育成支援が実施できない」からです。

 また、「超高齢化社会の到来で、体力的に無理が効く若い職員を雇用することが難しくなっている。安い人件費で雇用できる安い労働力を確保することができない。高齢者や、労働時間に種々の条件がある人を雇用するには、子どもが好きというやりがいだけでは求人応募の動機にならず、必要な労働力を確保できない。しかも雇っても事業の最低限の質を確保することも困難なことが予想される」からです。

 事業が継続できなければ、最終的には、学童保育を必要としている子どもたちの居場所がなくなることになり、子どもの最善の利益がまったく保障できない事態になってしまいます。学童保育所が「安定して継続して存在する」ことが、子ども、もちろん保護者にもですが、その最善の利益を保障することになるのです。

 そのためにも、学童保育所で働く人をしっかりと確保しなければならないのです。やりがい搾取で有望な人材を消耗し尽くす馬鹿げたことは止め、事業の質の向上に役立つ優れた人材に育てあげなければならないのです。それを実現させる方策を、次回以降は考えてみましょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育という職場で行われる業務の質の向上、職員の生産性向上についての提案を発信しています。学童保育の運営に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った運営の方策についてその設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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