採用されてもすぐに辞めてしまう人が多い学童保育業界。働きやすい職場環境を作ろう。まずは休憩時間から!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 本日5月2日、NHK「おはよう日本」で、保育士の働き方について特集されていました。保育士不足が叫ばれる中で、保育士を確保する方策として、「新採用(新人)の離職防止」と「潜在保育士の活用」の2つが必要とし、それを実現させる手立てとして、働きやすい業務設定をすることが効果的、という内容でした。残業、持ち帰り仕事を無くす種々の方策が紹介されていました。

 学童保育の世界もまったく同じです。低賃金と長時間労働で、毎年、多くの人が採用されても、同じように多くの人が離職しています。結果として慢性的な人手不足状態で、もう何十年もこの繰り返しです。もちろん、最大の要因は、業務内容にそぐわない低賃金であって、補助金交付で成り立っている育成支援系の学童保育所(=放課後児童クラブ)においては、賃金が事実上、公定価格で決まるので、補助金の増額なくして、この要因の解消はありません。

 とはいえ、国や行政の責任だから人手不足は解消しない、と諦めてはだめです。どのような状況であっても、困難を少しでも解消するための施策を考えることは、学童保育の組織運営者の当然の責務です。それができないようであれば、すぐにでもお辞めください。日々、頑張って働いている職員(現場も、運営本部も)が、かわいそうです。

 SNSを見ると、大変に多いのが「休憩が取れない」問題です。休憩時間が無いうえに残業、持ち帰り仕事もあるようでは、どれほど、子どもの育成支援の仕事の大切さを分かっていても、メンタルヘルスに変調をきたし、仕事を続けられることができなくなります。学童保育の組織運営者は、まず、職員の休憩時間を確保することから、確実に実施するようにしてください。

 言わずもがな、休憩時間は労働基準法で定められています。6時間を超える労働には、労働時間内に最低45分の休憩時間の設定が必要です。8時間を超える労働では1時間、となります。
 (つまり、6時間きっかりの労働では休憩時間付与は不要で、8時間きっかりの労働では45分の休憩時間です。ただ実際、6時間や8時間を1分でも超えない労働は不可能でしょうから、その点の配慮は必要です)

 休憩時間を確保するということは、休憩に入った職員の分、代わりに従事する職員の配置が必要です。有資格者の休憩の場合は、当然、有資格者を配置することが望ましいことになります。現状は、有資格者が休憩に入ったことで学童保育所における配置基準の補助金交付要綱を逸脱すると解釈されてはいないようですが、組織運営者としては当然、いつ国の解釈が変わっても対応できるように、常に有資格者が従事している配置状況を確保することが求められます。

 このことは、当たり前ですが、人件費の増加を招きます。ですが、やらねばならないことです。

 学童保育の世界を眺めていて不思議に思うのは、人材育成に投じたコストの概念が無い、ということです。採用した職員が辞めることになっても「あの人は、保育に向かなかったね」で、おしまい。いやいやそうじゃないのです。学童保育の仕事ができるように育てるのが、採用した事業者の当然の責務です。補助金、すなわち税金と、市民たる保護者から徴収しているお金で運営している以上、採用した人が1年前後で辞めてしまったというのは、公のお金の無駄遣いです。採用した人物を、曲がりなりにも育てることは必要です。

 話がそれましたが、休憩時間をしっかりと確保することは、すぐにやってください。ありがちな、「子どもと一緒にお昼ご飯を食べている時間が休憩時間」というのは、まやかしです。それは仕事です。しっかりと、自分でゆっくり過ごせる休憩時間を確保するように、組織運営者が、配慮をしなければなりません。現場任せでは、ダメです。

 休憩時間の確保は、適正な労働環境のイロハのイ、です。それぐらいやって当然なのですが、学童保育所のみならず児童福祉の世界では、残念ながら、そうはなっていないのです。今すぐ、この、悪しき慣習を是正しましょう。そして、働きやすい職場環境を目指す第一歩にしましょう。

  「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所の運営に関して必要な労働法規、リスクマネジメントとクライシスコントロールや、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に、離職者減少に役立つ具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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