学童保育所の設置運営者は、直ちに(そして常に)安全管理上の点検を行おう。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 大型連休が終わって本日から学童保育所も通常開所の施設が多いでしょう。この大型連休中、保育所での重大事故と、石川県で震度6強を観測する強い地震がありました。それぞれに、学童保育所の設置運営者なら、すぐに考え、行動を起こさねばならない要素を含んでいます。それが分からなかったなら、設置運営者としては残念ながら知識も理解も足りていません。

 保育所での重大事故は、5月2日午後、保育所の園庭で遊んでいた3歳の男児の首にロープが巻き付き、男児が重体となったものです。本当に悲惨な事故で、男児の一日も早い回復を願うばかりです。この事故については、園庭の築山の頂上付近にある木造の設置物から、いわゆる「トラロープ」が築山の斜面に下ろされており、男児がロープをもってジャンプしたところ巻き付いてしまったという報道がされています。
 私が気になったのは2点。まず、この事故発生時に保育士が誰も目撃していなかった=その場に不在だった、ということです。他の園児が保育士に異変を伝えたという報道があります。こども34人が遊んでいて保育士は6人いたという報道ですが、その6人とも見ていなかった。
 そしてロープですが、常設ではなく、その日に取り付けられていたということです。

 この2点において、残念ながら、子どもの遊びに関わる者として、安全管理の意識が欠けていたと指摘せざるを得ないのです。高低差のあるところからジャンプする遊びは、けがの可能性が比較的高い遊びです。子どもがジャンプすることは問題ないのです。それは子どもにとってスリルのある楽しい遊びです。問題は、そういったリスクを含む遊びから、取り返しのつかない事態=ハザードを生じることは可能性として存在するため、大人がしっかりと様子を見ていなければならないということです。それが、おざなりになっていた。
 そして、ロープが当日に取り付けられていたということは、そのロープの使い方について、こどもが常に把握して理解していたものではないということです。また、そのロープにおいてどういう現象が起こりえるかの経験の積み重ねもありません。であれば、なおのこと、大人は常に、こどもがそのロープをどうやって使っているのかを注意して見ておく必要があったのです。

 遊びは子どもにとって、冒険心を刺激するものです。国土交通省がまとめた「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」(改訂第2版)には、こう説明されています。
 「子どもが遊びを通して冒険や挑戦をすることは自然な行為であり、子どもは予期しない遊びをすることがある。
また、子どもは、ある程度の危険性を内在している遊びに惹かれ、こうした遊びに挑戦することにより自己の心身の能力を高めてゆくものであり、子どもの発育発達段階によって、遊びに対するニーズや求める冒険、危険に関する予
知能力や事故の回避能力に違いがみられる。」(引用ここまで)

 リスクのある遊びをすることは子どもの成長に必要なことです。子どもは大人が予期しない遊びをすることがあり、それがハザードを招く余地を含んでいます。上記指針には、次のように説明されています。
 「子どもは、遊びを通して冒険や挑戦をし、心身の能力を高めていくものであり、それは遊びの価値のひとつであるが、冒険や挑戦には危険性も内在している。子どもの遊びにおける安全確保に当たっては、子どもの遊びに内在する危険性が遊びの価値のひとつでもあることから、事故の回避能力を育む危険性あるいは子どもが判断可能な危険性であるリスクと、事故につながる危険性あるいは子どもが判断不可能な危険性であるハザードとに区分するものとする。」(引用ここまで)

 今回の悲惨な事故の原因は、現在も続いているであろう捜査によっていずれ明らかにされるでしょう。しかし、事故があってからでは、遅いのです。学童保育所は、まさに、子どもたちが遊びを通じて成長する場です。当然、学童保育の事業に関わる全ての者(現場従事者、運営者の双方)は、子どもの遊びに関わるリスクとハザードの意味を確実に理解し、ハザードを極力排除するために考え、行動することが必要です。

 今すぐにでも、学童保育所の運営組織は、この点についてしっかりと学び、考える時間を確保することが必要です。なお、遊びに関わることだけでなく、おやつの時間帯、送迎の時間帯、常にリスクとハザードの境界線を意識しておくべき時間帯が、学童保育所に存在します。子どもの育成支援に関わる者は、常に、子どもの身体への危害を防止するための行動が確実に実行できることが絶対に必要です。妥協はなりません。子どもをしっかりと守れる組織にしなければなりません。

 次は地震です。こちらはもう、言わずもがな、施設で地震動による被害を防止するための備えをすること(家具や電化製品の転倒および落下防止の備え)や、避難訓練を行うことが当然、必要です。この大きな地震があっても、施設の点検をしない、避難訓練をしないという学童保育所の運営組織は、子どもの命を軽視しているとまったく同じです。「ひと1人の命を、確実に守る」という、当たり前の意識を徹底してこそ、子どもが安全安心して過ごせる居場所の当然の姿です。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所の運営に関して絶対に必要な「子どもの命を守る」ことで理解が必要なリスクマネジメントとクライシスコントロールについて、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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