安全安心な学童保育事業のためには、「午前中の時間」こそ重要。質の高い学童保育実現に午前の業務時間を!

(代表萩原のブログ・オピニオン)学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」萩原和也です。「学童で働いた、こどもをあきらめた」の悲劇が起きないように全力で訴え続けます。

 学童保育(育成支援)では、何が一番大事でしょうか。それはもちろん、「子どもの最善の利益を守ること」です。その最たるものは、「子どもの生命、健康の保障」ではないでしょうか。遊びの最中に起こるけがは別として、不注意から起きてしまった大けが、まして虐待による負傷、アレルギー食品の誤提供、まして死亡事故など、絶対にあってはならないのです。
 もちろん、放課後児童支援員や補助員(以下、職員)、そして組織運営担当者も含め、学童保育事業に関わる全ての人が、子どもに「万が一の事」が起きてはならないと、強く意識して日々の業務を行っています。

 そのためには、何が必要でしょう。当たり前ですが、質の高い育成支援を行うには、職員の高い育成支援スキルが必要です。それには、育成支援の実務技術の習得に加えて育成支援の倫理もしっかりと学ぶ「研修」や、職員同士による「育成支援討議」(自分のクラブで、どのような支援を行うことが今求められているかを確認する作業)が、絶対に必要です。

 当然ながら、研修や育成支援討議は、午後の時間で行うことはほぼ不可能です。子どもを迎え入れる準備があるからです。よって、午前中の時間に行うことが必要となります。また、丁寧な育成支援を行うための準備時間として、午前中の時間は有効に活用できます。

 しかしながら、全国の多くの学童保育所と、その運営組織においては、この午前中の時間の確保に消極的なところが、今も大変多く存在しています。公設公営に多い会計年度任用職員の勤務時間は午後の5時間程度に設定されていたり、民間企業においても午後だけの就業時間が設定されていたります。そうすると、午前中に都道府県や連絡協議会が行う研修に参加した場合の賃金は無給、というケースもあるようです。保育の準備をしているのに無給、というのは、そもそも、労働には賃金が発生するという大原則、労働基準法に違反しています。

 自治体や民間企業にも、人件費を確保できない等、当事者としての理由があるのでしょう。しかし申し上げたとおり、質の高い学童保育事業を実施するには、職員の育成が最重要です。職員の育成をおろそかにしてしまい、育成支援のスキルが伸びないままの職員による学童保育事業が実施されるということは、ミスや事件事故の発生を的確に予防、防止できない事態につながります。子どもの最善の利益がおびやかされる可能性が高まります。

 つまり、事業において、何らかの事案が発生する高いリスクを背負ったままの状態になる、ということです。

 「今までは特に何も起きていなかったから、大丈夫」というのは、単なる偶然です。
 もちろん、今すぐに事案が必ず起こる、ということではありません。事案が発生するリスクが高い、ということです。しかし、子どもの身の安全を脅かす事案が万が一発生したとき、その運営組織はもちろんのこと、自治体や企業本体の評価、評判に、回復不可能な悪影響を及ぼす可能性がある、ということを認識しなければなりません。それは、「あの自治体の学童は、恐ろしいから」「あの企業が手掛けている学童、前に不祥事があったよね」という評判を招くことです。学童保育を通じた子育て支援に悪影響が出てしまうと、子育て世帯の定着を図ろうとしても、企業として業績を上げようとしても、難しい局面に追い込まれてしまう可能性がある、ということです。

 学童保育所は、子育て支援にとても重要な児童福祉事業です。万が一の事案を起こすリスクは極限まで減らさねばなりません。質の高い学童保育事業を行うために、万が一の不祥事事案を未然に防ぐためには、職員の研修や、職員同士の育成支援討議、また育成支援の準備時間が絶対に必要です。

 まだ午前中に職員が勤務する時間を設定していない自治体や企業におかれましては、午前中の職員勤務時間とその賃金を確保していただきたいのです。それこそが、学童保育事業における事案の発生リスクを低下させる、重要な、リスクマネジメントとなるからです。まずは週3日、週2日からでもいいのです。少子化対策に学童保育が必要であるなら、子育て世帯の支援に学童保育が必要であるなら、質の高い学童保育事業が実施できるよう、午前中の職員勤務時間確保について積極的に取り組んでいただきたいと、強く希望します。

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