学童保育所には公的責任があります。事業が適正に行われているかどうかをチェックできる監事の存在が重要です。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 育成支援を行う学童保育所(放課後児童クラブ)には、種々の運営形態が存在しています。その中でも、自治体の運営ではない学童保育所では、株式会社やNPO法人、社会福祉法人による法人での運営と、保護者会や地域運営委員会という任意団体による運営の形態の、大きく2種に分かれています。そのいずれにしても、事業が円滑に、かつ、適法に実施されているかどうか、常に第三者によるチェックを受けることが必要なのは言うまでもありません。

 学童保育所には第三者評価が必要とされており、国が音頭を取って徐々にその仕組みが整えられています。第三者評価機関による評価が、全国のどの学童保育所に広がることを期待しています。
 一方、それとは別に、学童保育所を組織的に運営している場合、その運営組織に「監事」が設置されていることと思います。特に法人の場合、理事会や取締役会を設置している場合は監事を置くことが必要となります。また任意団体であっても、年間の会計をチェックすために監査を担当する役員を設けていることがほとんどでしょう。

 多くの人の認識では、監事というと「年度末に、会計のミスがないかどうかを確認する仕事でしょ?」というところかもしれません。会計の監査は確かに監事として重要な業務ですが、学童保育所の場合、会計監査と等しく、いやそれ以上に重要視されるべきなのが、業務執行に対するチェック、すなわち「事業監査(業務監査)」なのです。

 事業監査とはどういう内容なのでしょうか。実はそれほど複雑なものではありません。運営組織(事業体)が行う事業が適正に執行されているかどうかについて目を光らせるということ。すなわち、運営組織において、法令や組織内規範(就業規則等も含む)に反する業務の執行が行われていないか、業務の実施について調査と確認を適宜行うことです。その範囲は、組織内のことだけではなく、その組織が対外的に行う活動も当然含みます。また、組織は通常、年度における事業計画や、中長期的な事業目標を設定して日々の事業を行っていますが、その事業計画や事業目標への達成度合いについてもチェックすることも、事業監査の内容です。

 すなわち、運営が適正に行われているかどうかをチェックし、もし適正でない場合は速やかに正すことを運営責任者に求めるという、大事な役割を監事は担っているのです。

 とりわけ、運営組織(事業体)の意思決定機関である理事(理事会)が、コンプライアンス違反を犯していないかどうかをチェックすることが重要です。すなわち、理事の業務執行を監査すること、です。特に、理事(理事会)がルールを無視した行動をしていないかどうか、例えば、一部の者による恣意的な運営だったり理事長(代表理事)の知らない間に勝手に組織の運営方針を決めたのに正当に決定したと偽って外部に公表、報告をするような違法な振る舞いが起きないように、理事(理事会)の活動について、厳しくチェックすることが重要です。まして、組織統治(ガバナンス)を無視した理事(理事会)の活動をうのみにして同調するようでは、その監事は監事の業務を執行するにあたってまったく不適切ということは言うまでもありません。監事も役員であり、就任している運営組織が適正に事業執行できるかどうかについて善管注意義務を負っていることも、忘れてはなりません。

 学童保育所は、税金由来の補助金の交付と、学童保育所を利用する保護者が支払う負担金(保育料、月謝)で運営されています。学童保育は児童福祉上の法定事業であり、公に設置が必要とされるシステムです。よってその運営は当然、法令に違反することはできませんし、倫理的、道徳的にも、常に公正でなければなりません。その公正さがゆがめられていないか、公正に事業が執行されているか、そして予算の無駄遣いになるような事業の怠慢が起こらないよう、運営組織をしっかりとチェックするのが監事なのです。
 こうしたことから、できれば、監事はそのメンバーのうち最低1人は、外部の有識者、法曹関係者に就任していただくことが望ましいでしょう。もっとも、外部から招いた人が、学童保育と言う事業について無知であっては困りますし、他の監事の怠慢な業務に同調しては、ますます意味が無いでしょう。学童保育事業に対して理解と熱意のある第三者の有識者を監事として迎えることは、学童保育の正しい進化発展に極めて重要であると、弊会は考えています。

 学童保育所を運営する多くの団体で、保護者由来の団体については、以前に運営を担当していた保護者が監事に就任することが多いでしょう。いわば「仲間うち」、顔見知りの人物が監事を務めることになります。それも全否定するわけではないですが、監事が負う重要な職責に対して、監事全員が運営側と顔見知りで仲良し、というのでは監事の事業の質に疑問をもたらしかねません。多額の税金と保護者からいただくお金を使って運営しているのですから、外部から見て常に適正に運営していることを証明できる運営体制を整えるべきで、まずは監事について、ふさわしい人物を選任することが必要でしょう。少なくとも、外部からの有識者を監事に招いていない運営組織は、「ナアナア」で運営している可能性は完全否定できないと、第三者(つまり、社会)からそのように厳しく思われることを覚悟するべきでしょう。

 公的な責任のある学童保育所だからこそ、自らを厳しく律する運営組織にしなければなりません。それは当然のことです。そのために、監事の役割が極めて重要であるということです。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所が社会にとって必要なシステムであることを前提に、コンプライアンスを最も重視した運営方法について種々の提言が可能です。自治体にとっても、学童保育所への評価と信頼が高まることによる地域の魅力アップ=子育て施策への高評価=人口増ということが期待できるような種々の提言が可能です。そのほか、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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