学童保育で働く人の賃金保障に「公契約条例」の制定を急いでください!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。次元の異なる子育て支援の中核の1つとなる学童保育所の充実をサポートする重要性を訴え続けています。

 学童保育所で働いている放課後児童支援員や補助員の方々(以下「職員」。)は、ごく一部の方を除いて、安心して生活ができるほどの所得を得ていません。残念ながら事実です。ごく一部の方とは、運営する学童保育所の単位数(クラブ数)が十数か所から数十にも及ぶ大規模非営利団体に雇用されている方や、管理職クラスが正規公務員であるごくわずかな地方自治体の学童保育所で働く方々です。大規模非営利団体の被雇用者であっても、家族で暮らすにはとても十分な収入があるとは言えません。

 なぜかと言えばごく当たり前で、人件費として措置されている予算額が少ないからです。

 とりわけ、公設公営学童で会計年度任用職員で勤務されている方々や、公営学童を民営化して民間企業の指定管理者制度で学童運営を行っている企業で雇用されて勤務されている方々は、所定労働時間週30時間以上あっても、給与の手取り額が10万円台半ばから10万円台後半に過ぎない、ということが、珍しくないのです。

 これも1つの「官製ワーキングプア」でしょう。

 早急に是正が必要です。

 本来であれば、その地域の学童保育所で、国が定めた放課後児童クラブ運営指針に基づいた育成支援業務を行うにあたり、その業務を必要十分かつ円滑に行うことができるだけの職員配置を、質(雇用体系、資格の有無、勤務経験等)と数(人員数)の双方で計算したうえで、その学童保育所を運営するに必要な諸経費を算定し、人件費と諸経費の合計を下らない額の予算を、自治体が措置するべきなのです。

 その学童保育所における人件費+その学童保育所における諸経費≧自治体の予算措置

 明快な定量的議論で学童保育に必要な予算額が算定できるはずなのですが、現実はまったくかけ離れています。

 その原因は実のところ、自治体が考える育成支援の内容が、指針が求めている育成支援の内容と比べ著しく低い水準にある=自治体が子どもの育ちについての学童保育所の役割を理解しているとはいいがたい、というこれも単純明快なところであるのです。役割を理解していないから、必要不十分な職員体制で見積もってしまう。結果、問題が絶えない学童保育所が全国無数に存在してしまう。この問題の解消こそ、次元の異なる子育て支援の1つのポイントであり、かつ、4月に発足する「こども家庭庁」の役割だとわたくしは考えています。

 さてそのような基本的な考えを整理しつつ、具体的に学童保育所の職員の所得を向上させるための「技術」として必要なのが、「公契約条例」といえます。

 公契約条例の定義はインターネットでいくらでも検索して調べられますが、ウィキペディアによると「国や地方自治体の事業を受託した業者に雇用される労働者に対し、地方自治体が指定した賃金の支払いを確保させることを規定している。指定される賃金は、国の最低賃金法に基づいて規定される最低賃金よりも高く設定されており、ワーキングプアに配慮した内容になっている。」とあります。(ウィキペディアからでは原典の孫引きになるんですけれどご容赦を)

 自治体が設置し、補助金を交付している学童保育所にあっては、事業委託契約か、行政処分たる指定管理者制度での施設運営に二分されます。いずれにしても、自治体との関係で、自治体が行うべき公共サービスに従事している以上、公契約条例で賃金条項(一定額の賃金以上とすることを定める規定)を設ければ、学童保育所で働く職員もこの条例で最低限度の賃金保障をすることができます。

 国はまもなく、次元の異なる子育て支援策を骨太方針として取りまとめます。できればそこに間に合うように、間に合わなくても早急に、学童保育所で働く職員の質と量を確保するため、ただ単に学童保育への補助金を増やすだけでなく、この公契約条例の制定を自治体に促すことで、学童保育所の質の向上につなげる施策を打ち出してほしいと、強く希望します。仮に、自治体が公契約条例の制定に後ろ向きな場合は、学童保育への補助金を一定限度でカットするなり、地方交付税交付金を減額するなりのペナルティー措置も同時に打ち出すべきでしょう。

 それぐらい思い切ったことを行わないと、学童保育は充実しません。

 学童保育が充実しないままでは、次元の異なる子育て支援策は、絵に描いた餅に終わります。

 学童保育の充実のため、弊会は様々な提言、提案をしています。ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る学童保育所の発展のために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく学童保育です。学童保育の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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