<運営支援ブログミニ62>高市政権の所信表明演説、子育てや児童福祉への思いが全く無いという残念さ。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 ミニブログです。高市早苗総理大臣は2026年10月5日に、第222回臨時国会で所信表明演説を行いました。全文は、首相官邸のホームページに「第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」(第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸)で読めますので、児童クラブ関係者もぜひご一読ください。児童クラブの運営支援を生業とするわたくし萩原には、児童クラブの今後の充実に関してみれば、とても残念な内容でした。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<子育て支援はいずこへ?>
 幅広い分野に言及する所信表明演説ですから、児童クラブという単一の事項に触れることはなかなか難しいのは理解できます。それでも過去には岸田政権や安倍政権において、学童保育等の文言が登場したことはありましたから、所信表明演説で児童クラブに言及するのが絶対的に無理だとか、ありえないということでもないのですが。
 参考として、第205回臨時国会での岸田文雄内閣総理大臣による所信表明演説(2021年10月8日)の一部を引用します。
 <保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育の制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援を促進します。こども目線での行政の在り方を検討し、実現していきます。>
 いまさらながら岸田元総理の卓越した見識に敬服です。わたくし萩原は、自民党であるなら岸田氏や石破茂氏にぜひとも再び総理になっていただきたい政治家と感じています。

 さてこのたびの高市総理の所信表明演説ですが、児童クラブはもとより、子育て支援とか、児童福祉に関係する事柄そのものが登場しませんでした。これは、児童クラブという児童福祉の世界のごくごく末端で活動している身としても残念極まりないことです。時事通信の報道によると、演説の文字数は約8800字で、昨年10月の自身初の所信表明演説よりも約1200字多いとのことですが、児童クラブへの言及はその膨大な文字数の中でも、ありませんでした。 

 では「子育て」「子育て支援」という文言が登場したのかどうか、このたびの所信表明演説で確認しましょう。

<働く皆様も、子育て世代の皆様も、御高齢の皆様も、地方で暮らす皆様も、「誰もが明日への希望を持てる日本」を創り上げてまいります。>
 「子育て」という文言が使われたのは、「一 はじめに」の部分、ここだけです。この文脈における「子育て世代」については、単にそういう状況にある人たちを区分するだけの意味で使われているだけで、子育て世帯に具体的にどのような施策を打ち出してその生活を支えていくかについての言及は、ありません。

<少子化対策は?>
 「少子化」という文言は1度だけ登場します。「二 「強い経済」の実現」の中にある、小見出しが「(「人口総合戦略」など)」という箇所の中に登場します。引用します。
<人口減少は、静かに進む国難です。少子化の流れを反転させるとともに、人口減少社会に適応した新たな国のかたちを築かなければなりません。
 年末を目途に「人口総合戦略」を策定し、人口動態の将来シミュレーションと対応策の全体像をお示しし、その後、分野横断的に施策の検討を進めてまいります。>
 少子化の流れを反転、とありますから少子化対策には取り組むのでしょう。児童クラブの施策は少子化対策の中で強化拡充されてきた歴史的経緯を踏まえると、少子化の流れを反転という、あいまいな表現の中に児童クラブ施策の強化拡充が含まれてほしいと、ただただ願うばかりです。

<「こども」は?>
 驚くことに、こたびの高市総理の所信表明演説では、「こども」「子ども」「子供」「児童」という文言はゼロ、つまり一切登場しません。ですから児童福祉、という単語も登場しません。驚くべきことに「福祉」という文言すら登場しません。

 福祉に関わる単語としては「介護」という文字は1回、登場します。先ほどと同じ、「二 「強い経済」の実現」の中にある、小見出しが「(「人口総合戦略」など)」という箇所の中に登場します。引用しましょうか。
<人手不足は、人口減少社会の最大の課題です。医療・介護、物流・公共交通などのエッセンシャルサービスを守り、国内投資拡大にも対応するため、AX(AIトランスフォーメーション)の社会実装を大胆に進めます。>

 介護については個人的な事象ですが高市総理も直面してきたことですから、より身近に感じられる分野です。人手不足という、介護はじめ福祉分野が頭を抱える大問題について取り上げたことは評価しますが、その対策がAXの整備では、児童クラブに関してはピントがずれています。人が、人と、全部生身の構造において関わることで行われる事業であるのが児童クラブですから、その「人」そのものをAIだのロボットだのでは代わりにすることができないのです。もちろん、事務作業や組織運営業務において役立つことはあるにしても。

<大丈夫なのか、この政権>
 高市政権になって児童クラブの分野で目立つのは民間活力の導入です。すでにモデル事業が始まっています。児童クラブの待機児童解消のために速効性ある施策であると、運営支援は評価していますが、モデル事業をもって児童クラブの発展的な位置づけとすることは、そもそもが児童クラブは放課後児童健全育成事業であって事業目的が異なる以上、期待はできません。やはり児童クラブそのものである放課後児童健全育成事業へのテコ入れ、強化拡充が重要です。その点において、いささか不安は残ります。
 後日触れたいと考えていますが、国は放課後児童支援員の基礎資格を拡大しました。大学と大学院の卒業者は、これまでような学部学科での専攻の縛りが撤廃され、1年間の児童福祉事業(詳細は不明)の従事経験があれば、放課後児童支援員認定資格研修の受講資格が得られるようになりました。また、こども家庭ソーシャルワーカーも基礎資格に追加されました。これらはすべて小手先の改革です。こども家庭ソーシャルワーカーの資格が、「わたしは児童クラブで働きたいから、放課後児童支援員資格が欲しいから、まずこども家庭ソーシャルワーカーになろう!」という人は、わたくし萩原の予想ですがほとんど0人でしょう。これは単に「お役所の、仕事をしている感」を出すためだけとしか思えません。大学等の卒業者の要件緩和では確かに放課後児童支援員になれる門戸は広がりました。だがそれがどこまで意味があるのでしょうかね。児童クラブで働く上での賃金待遇が良くないので人手不足なのですから、そこを改善せずに何も変わりません。

 最後に触れておきたいのが、所信表明演説でさんざん言及された「経世済民」です。「一 はじめに」の部分から引用しましょう。
<私が貫く志は、「経世済民(けいせいさんみん)」です。 「世を経(おさ)め、民を済(すく)う。」>

 国民を「民」と表現しているとわたくしには読み取れました。この経世済民における民は本来、どのような位置づけだったか。為政者から恩恵を受ける立場の位置づけです。もとより現在は国民主権です。どうも総理の頭の中には「私が国民を救ってやる」という意識があるのでしょうか。そんな意識では到底「こどもまんなか」という思想にはたどり着けぬではないかと大いに危機感を抱いた次第です。「じぶんまんなか」の思想を抱く政治家を支持してしまった結果がまさに今なのですが、いま大問題となっている農林水産大臣の利益誘導発言など、本来なら即刻「打ち首」レベルの、国民主権をないがしろにした大暴言なのに引き続き仕事をさせるというのは、もはや到底理解できない段階です。これから大波乱となる国会運営を収めるための「野党へのいけにえ」としての役割を持たせているのかもしれませんが、そこには国民主権の考え方は、まずないでしょう。大丈夫なのかこの政権は、という思いを新たにした、こたびの所信表明演説でした。
 
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 わたくし萩原が社会保険労務士となり、「あい和社会保険労務士事務所」を開業してから1年が過ぎました。ここまで続いてこれたのはひとえにみなさまのおかげです。どうもありがとうございました。「あい和社会保険労務士事務所」は、放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしてこども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS制度を含む)に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。
出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援
 こちらをぜひご覧ください。「こどもを守る弁護士チャンネル」の特別版「出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援」の動画URLです。弁護士で、自ら放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士による詳細な解説です。
 「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」が登校されました。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T 
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
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 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン))
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 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+
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 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
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萩原和也