横浜市の放課後キッズクラブで発覚した大規模児童盗撮疑い事案。放課後児童クラブ(学童保育所)の弱点だ。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
またしても残念な事案が報道されました。横浜市内の放課後キッズクラブで、大規模な児童への盗撮疑い事案が報道されました。つい先日、東京都足立区の放課後児童クラブで施設長だった人物がこどもにわいせつな行為をした疑いが報じられたばかりです。足立区の時も多くのメディアが報じましたが、この横浜の事案はさらに多くの報道が行われています。衝撃を受けた人は多かったでしょう。とりわけこどもを育てている保護者には不安もかきたてたことでしょう。わたくし萩原の見解ですが、児童クラブやそれに類する施設では児童の盗撮被害を完全に抑止しにくい環境、構造にあります。その点について紹介します。
<※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。
※放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾンで発売中です。(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!>
<報道から>
今回の横浜の盗撮疑い事案、新聞もテレビもこぞってとりあげています。NHKでは関東ローカルのニュース(2026年10月6日午後8時45分から)で、トップ(一番最初)で報じられました。いくつかの報道を引用します。
日テレNEWS NNN(ヤフーニュース掲載)「放課後キッズクラブで40人以上の男児盗撮か 元職員が動画と画像所持 横浜市」2026年10月6日21時4分配信
「横浜市は6日、市内の小学校の敷地内にある「放課後キッズクラブ」で、40人から50人の男子児童が盗撮の被害にあった疑いがあると発表しました。」
「ことし5月に保護者から施設と警察に相談があり、警察が捜査する過程でことし9月、元職員の男性が盗撮された動画や画像を所持していることが発覚したということです。この職員は保護者の相談が寄せられる前に自主退職しています。」
読売新聞オンライン(ヤフーニュース掲載)「横浜市の「放課後キッズクラブ」男性職員、男児40~50人を盗撮したとみられる画像・動画を所持」2026年10月6日20時9分配信
「市によると、クラブを利用する児童の保護者から5月にクラブと神奈川県警に相談があった。県警が捜査し、男子トイレ内で撮影した男児の画像や動画を男性職員が所持していることを9月に確認した。この職員は相談が寄せられた時点で退職していたという。」
「クラブは市内の全小学校にあり、市の補助で民間が運営している。市は児童の前で職員がスマートフォンなどの私用端末を使うことを禁止していたが、今回の事案を受け、児童が活動する場所への持ち込み禁止を周知する。」
毎日新聞(ヤフーニュース掲載)「放課後キッズクラブ元職員、トイレで男児40~50人盗撮か」2026年10月6日17時24分配信
「市によると、今年5月に児童の保護者がクラブの運営法人と神奈川県警に相談。県警が盗撮事件として捜査し、元職員が児童の画像や動画を複数所持していることが確認された。現時点で画像の流出などは確認されていないという。」
「市は昨年7月、教員グループが女子児童の盗撮画像などを交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとされる事件を受け、スマートフォンを児童の前で使用することを禁止する通知を出していた。今回の事案を受け、児童と接する場所へのスマホ持ち込み禁止を全クラブに通知し、安全管理体制の再点検などの徹底を図るとした。」
TBSテレビ(ヤフーニュース掲載)「放課後キッズクラブ男性職員が男子児童約40~50人分の動画や画像を所持 トイレにいる男子小学生が盗撮被害か 横浜市」2026年10月7日0時16分配信
「利用者の保護者がキッズクラブや警察に相談したことで発覚、男性職員はすでに退職しています。」
<児童クラブでの盗撮疑い事案は、起こりやすく防ぎにくい>
放課後児童クラブ、いわゆる学童保育所や、放課後児童クラブと放課後子供教室が一体的に運営(=校内交流型と国は呼んでいます)される、いわゆる「放課後全児童対策事業」ー横浜市の放課後キッズクラブもこの形態ーにおいては、残念ながら盗撮疑い事案は起こりやすく、防ぎにくいとわたくし萩原は考えています。以下その理由です。
・監視体制、チェック体制が、よほど意図的に力を入れていない限り、なかなか充実しないから。
→児童クラブも全児童対策事業も、児童数に比して従事する職員数はさほど多くありません。良心的な施設で、こども10人に対して職員1人を配置しますが、こども15~20人に職員1人、ということもあります。こども10人に職員1人配置であっても職員がシフトで休みになっている日もあるので、こども15~20人に職員1人という日がありえます。
また、職員全員が常にこどもと関わっているとは限りません。施設長や主任といった、その施設における管理職は、事務作業や他の作業に従事することも多く、事務室に入ってパソコンを操作している、ということも珍しくありません。キッチンなど調理施設で作業に従事している職員もいます。例えばこども40人が登所しているクラブで、施設長1人、常勤(正規)職員1~2人、非常勤職員(パートやアルバイト)2、3人のクラブでも、施設長が事務室内にこもっていて、非常勤職員が調理施設でこどもが使ったコップなどを洗っているとしたなら、こども40人に関わっている職員が3~5人となっている、という局面は、実はよくあることです。
さらに、こども同士でトラブルがあったり、あるいはこどもから頼まれて話し相手やゲームの相手に職員がなっている場合、目の前のこどもたちに関わっている職員がいる一方、施設内の様子を常に確認、チェックしている職員はそれだけ減ってしまいます。
つまり、もともと児童クラブにて日々、業務に従事している職員数が多くないうえ、こどもたちと関わっていたり事務作業や洗い物、おやつ提供片づけ準備をしている職員がいるとそれだけ、施設全体を見回して異変や不審なことがあるかどうかに気を配る職員はどんどん減っていくのです。何か異変が起きていないかをチェックする職員の「目」そのものが、少ないのです。それでは、不届き者の許しがたい行動を抑止するための効果はなかなか発揮できません。
・職員数が少ないことを背景に、職員同士の信頼感を強めざるを得ず、チェック監視機能が働きにくい職場環境にある。
→児童クラブは、日本全国圧倒的多くの職場で、こどもを守りたい、こどもの育ちを支えたいという、優れた志の職員が日々、頑張っています。それは間違いありません。ただごくごくわずかなところで問題事案、犯罪や非違行為が起きてしまっています。児童クラブの現場は、「こどものために」という意欲で働いている職員が多いのですが、それは当然に信頼感を生みます。職員同士で、「自分と同じように他の職員、同僚職員もきっとこどもを守りたい、こどもが好きなはずだから、自分と同じようにこどもに変なことをするわけがない」という、実は根拠のない意識がクラブの現場の職員に生まれがちなのです。少人数の職場ゆえ「同僚を信じないと、同僚に任せないと、とてもじゃないけど多くの業務をこなせない。こどもから相次いで寄せられる要望やリクエストに対応しきれない」ということになります。忙しすぎて他の職員の不審な行動をチェックする余裕がない上に「こどもに対してよもや変なことはしまい」という信頼感を互いに寄せ合うことで、その信頼感を逆手にとって、許しがたい行為をする輩が残念ながら存在する余地を生んでしまうのです。
・不審物やカメラなどの設置をチェックする機会や余裕がない。
→上記2点から、施設内に不審な物、盗撮に利用されやすい機器や物体が仕掛けられていないかどうかをチェック、確認する余裕が児童クラブの現場にはなかなかありません。もちろん、圧倒的多数の児童クラブで、報道されるようなひどい事案が起こっていないので「うちのクラブは、あんなひどい事件は起きない」と信じて疑わない、いわゆる正常性バイアスのようなものが働いて、トイレ内部の確認などがなされない、ということもあるでしょう。
今回の報道事案は男児が盗撮被害に遭ったとされています。男子トイレに普段から入れる職員は男性職員ですが、児童クラブでは男性職員は少数派です。仮に男性職員1人の場合、男子トイレに男性職員がカメラやスマホを仕掛けていたなら、「トイレの内部を確認します」と男性職員が他の職員に声をかけたところで、自分が盗撮を試みていながら自分で異変の有無をチェックするということで、他の職員からの異変の察知や事案の発覚まではなかなかたどり着かない、ということになります。
要は、児童クラブでは従事する職員数が少ないことで、クラブにおける異変や不審な状態を察知する「目」がもとより足りていないのです。さらには、少ない人数で業務をこなす上に必要なチームワークが無条件の相互信頼を招くことで、「不審なこと、犯罪のようなことなど、するはずはないでしょう」という結論を何の疑問もなく迎えることで、異変や不審な状況を見逃しやすい状況にある、ともいえるのです。
今回の横浜の事案ですが、こどもから話を受けた保護者が警察等に相談したことで明るみになったものです。このことを、設置主体や児童クラブ業界、メディアは深刻に考える必要があります。
まず、運営主体(運営事業者)が、見つけ出すこと、気づくことができなかったことを、真剣に反省しなければなりません。なぜ運営側、つまり盗撮疑い事案が起きた現場で従事していた職員、スタッフが、40~50人もの被害者がいる可能性がある大規模盗撮疑い事案(それは当然に比較的、まとまった期間を有する中での盗撮疑い行為がなされていた可能性があること)を早期に見つけ出すことができなかったのかを、調査究明する必要がある、と運営支援は考えます。
また、キッズクラブの利用者の保護者が警察に相談したのは、こどもから話を聞いたからでしょうが、そこに至るまでに次のような「関門」がありますから。
「こどもが、盗撮行為に気づく。不信を感じる」
「不信を感じたこどもが、保護者(親)に打ち明ける」←ここがとても重要。こどもにとって、とても勇気が必要な場合が多い。
「こどもから話を聞いた親が、警察に相談する」←これもとても重要。こどもから施設における不審な状況を打ち明けられた保護者の全員が全員とも警察に相談するとは限らない。警察に連絡すること自体、精神的にとても勇気が必要なことと感じる人も普通にいます。「とても嫌だけど、あとちょっとで施設の利用も終わるから」ということで黙って胸の内にしまい込む人だっています。
またありえないことではないのが、警察ではなくて施設の運営主体に相談した結果、そこで「もみ消される」ことです。これは実際にわたくしも相談を受けた事があります。(ですのでわたくしは、盗撮疑いなど刑事事件に関連あると判断できる相談内容の場合は直ちに警察に相談するように相談をしてきた方にお伝えしています)
いいですか、今の時点で盗撮被害にあった可能性があるこどもは40~50人に及ぶという大規模盗撮疑い事案です。警察に相談した世帯がどれぐらいあったのか報道では明確にされていませんが、報道内容から想像する限りでは1世帯か極めて少数でしょう。複数世帯からの相談が警察にあったならそのような内容の報道内容になるでしょうから。「相談が多数寄せられた」という文言が加わるということです。そうではない限り、ごく少数の世帯からしか、捜査機関に情報の提供がなかったということです。これはつまり、児童クラブなどの施設において、こどもが被害を受ける盗撮疑い事案というものが実はなかなか発覚しにくいということを示しています。
今回の横浜の事案、わたくし萩原は「奇跡的に発覚しただけであって、仮に本当に盗撮があったとしたら実行者がウハウハして過ごす日々が続いていた可能性の方が高かったのだろう」と考えます。被害者が多数いたところでたやすく発覚するものではない、というのが児童クラブ等を舞台にした、盗撮疑い事案の性質です。
<児童クラブで盗撮被害を防ぐ、抑止する、早期発見するには?>
1 「早期発見行動」の実践
運営支援ブログが訴えている「早期発見行動」を取り入れることです。早期発見行動とは、すべての職員が、他のすべての職員の言動行動に対して「その言動、行動に、合理的に説明できない点があるのではないか」と、常に疑問を持って解釈することです。例えば、ある職員が特定のこどもだけを連れて静養室や隔離スペースに入ることがたびたびある場合に、「どうしてあの先生は、あの子だけを連れて密室の中にはいるのだろう?」と、疑ってみるということです。施設長が他の職員に向けることだけではなく、アルバイト職員であっても施設長や他の正規職員の言動行動に関して「あの行動は、こどもにとって被害をもたらすことはないのだろうか」と一度は疑問を持って考えてみる思考の癖をつけることが、早期発見行動です。
早期発見行動は他にも環境設定として防犯カメラ、死角の防止などがあります。
早期発見行動は職員数が少なくても行うことができるので効果的です。難点は、児童クラブは「人が人を支える」という、「人」が重要な業務構造であって、その「人」に疑念の意を持つことに対して生理的に嫌悪感を示す職員が多いことです。ある意味、素朴と言うか純粋というか、「人を疑う」ということに慣れていない。それはわたくし萩原にいわせれば、「人間性を信じる」ことと「業務として行われる行動に合理的な説明がつくかどうか」の区別ができていないということでもあるのですが。
2 管理監督、チェックの強化
これはできる限り第三者によって行われることが望ましいですね。公設民営なら設置主体の行政の担当者でもいいので、「抜き打ち」の調査確認をしていただきたい。児童クラブの現場にも、運営本部や事務局でも。クラブの現場を抜き打ちで訪問して、まっすぐトイレに直行して、不審な物が置かれていないかどうかを確認することです。児童クラブではトイレが最も盗撮に使われやすい場です。あとはこどもたちが過ごすプレールームも当然、チェックしましょう。
「なにか疑われているようで嫌な気分」と、職員たちが思うでしょうが、気にすることはありません。職員の人間性や人格を疑っているのではなく、違法と思われる行動の痕跡があるかどうかを確認するだけの話です。
書類も当然チェックしましょう。配置基準がある事業ですから、しっかりと配置が守られているかどうか確認するのは当然のことです。
3 当然ですが法令順守研修、児童虐待防止の研修、人権に関する研修を必ず全員に受講させる
それら研修を受講させれば、盗撮や性暴力が絶対に発生しないというものではありませんが、「組織全体として、こどもへの性暴力、性加害は許さない」という意識を強く強く職員に与えることは組織全体としての抑止力効果の醸成に役立ちます。
(もっとも、組織防衛としてより有利です。生臭い話ですが、法令順守や児童虐待防止の研修を全くやっていない組織と、定期的に研修をまじめにしっかりと行って受講者にレポートや発表をさせてもいた組織があるとして、もしも犯罪行為が疑われる職員がどちらからも現れた場合、組織に問われる責任、向けられる批判の度合いは、もちろん後者の方が減ります。それは組織防衛の観点からすると憎たらしいですが重要なことです。要は「言い訳できる土台は少しでも作っておこう」ということです。もちろんこんなことはよそ様に公言しないでよい話です)
4 こどもに「嫌なことがあったら、すぐに信頼できる大人に話してね」「ちょっとでもおかしいと思ったら、信頼できる人に話してね」ということを丁寧に、かつ、しっかりと伝えて理解を得る。
→今回の横浜の事案も、おそらくは、こどもから話を聞いた保護者が行動したからこそ、事態が明るみになったのです。こどもは、自身が性被害に遭ったらなかなか打ち明けられないもの。そんなときに、こどもが意を決して相談できる、打ち明けられることができるように、普段から児童クラブが「こどもの意志の基盤」を整えておくことが必要です。それこそまさに「こどもの意見表明、意思表明」を「大丈夫だよ、それはあなたたちこどもが当然に行っていい権利だから」と伝えていくことです。普段から、児童クラブで、こどもが意見表明に自信を持てるようになっていれば、万が一の性暴力被害に直面したときに、こどもが窮地を脱する一歩を踏み出す土台になってくれるはずです。また、盗撮のように直接的な被害者であることが実感できない事案においても、疑問に思ったことを遠慮なく相談できるような下地を作っておくことは、児童クラブには欠かせないことです。
5 服務規程や懲戒規程は、万が一の場合に備えてしっかりと作りこんでおく
→万が一、問題行動や犯罪に該当するおそれがある行動をした職員が現れてしまったとき、どのように対応するか、どのように組織として処分するか、しっかりと規定化しておきましょう。わたくし萩原は、組織の使用者責任をより明確化するために、仮に捜査機関によって捜査、場合によっては逮捕されるようなことがあるとしたら、職員の懲戒処分は逮捕ないし起訴、送検の段階まで待つことがよいと考えます。
なお、どうも、事案が発覚したらすぐさま解雇というのが児童クラブの世界にありがちなようにわたくしには感じられます。一刻も早く手を切りたいのか何なのか分かりませんが、急いで懲戒解雇する、報道される前に「元」の呼称を付けたい(元職員とか、元役員とか)のかどうか、少しでも世間様からの風当たりを軽くしたいのでしょうかね。情けないです。雇った以上、とことんお付き合いなさい。
(なお、今回の横浜の事案では、職員が自己都合退職の後に盗撮疑い事案があったことが雇用者側に伝えられたようですね。その場合はさすがにどうしようもありません。万が一、盗撮疑いの可能性があることを使用者側が知っていたなら、わたくしは、しっかりと身分を保持、つまり労働者としての地位を事業者が責任を持って保持しておくことが大事だと考えます。それぐらい責任を持ちなさい、ということです。)
<こども性暴力防止法について>
児童クラブでこどもが被害者になる性犯罪事案が伝えられるたびに、児童クラブにおけるこども性暴力防止法への期待を込めたSNSへの投稿が見られます。今回もそうです。もとよりわたくしも期待はしますが、現実はそれほど甘くないことは、これまでの投稿でも示してきましたし、とりわけ鈴木愛子弁護士の訴えを目にした方には、よく理解できることかと存じます。
要は、児童クラブは貧弱な組織運営体制の事業者があまりにも多いので、こども性暴力防止法が求める種々の措置を確実に実施するには、とてもコストが負担できないのです。人的資源が足りない。資金的な余裕がない。ナイナイ尽くしですから。
とりわけ、児童クラブが、こども性暴力防止法による認定事業者になるのが大変です。すでに働いている職員と、これから新たに採用する職員には、最初の1回は、出生時から現時点まですべての戸籍情報をそろえて国に提出することで犯罪事実確認を行うのですが、この作業が膨大な作業コストを必要とします。「戸籍を集めるためにわざわざ膨大な手間をかけ、戸籍情報を得るお金も使ってまで、児童クラブで働き続けたい、新たに働きたいという人が、果たしてどれだけ確保できるのか」ということです。
わたくしが顧問となっている児童クラブですでに働いている職員にこの話をすると、そろって「そんな大変なことになるんですか!」と驚かれます。それほど、実際に作業をやらねばならない身にとっては、大変なことです。
机上の空論というか、会議室で、「犯罪事実確認のためにはこうしてください」と決めるのは楽です。ですが、実際に生身の人間が動いて、カネも時間も使うわけです。その生身の人間の心理的抵抗を軽く考えてはなりません。「こどものために必要ならそれぐらいやれますよね」と押し付けはなりません。なぜなら働き口は児童クラブ以外に山ほどあるんですよ。そんな手間をかけずともすぐに働いて時給を、月給を得られる仕事が山ほどあるんですよ。ただでさえ人手不足の児童クラブにおいてより人手が集まりにくくなる施策を導入するのが、このこども性暴力防止法です。それはこどもを守るために必要なコストとして理解しなければなりませんが、現実問題としてそのコストは児童クラブ、とりわけ地域に根差した小規模、零細規模の児童クラブにはとても酷な話です。
この点、行政、政治は真剣に考えていただきたい。もとより、こども性暴力防止法の確実な実施を期待するなら現実的に必要な資金面での補助を考えるべきです。そうでないととてもじゃないですが、対応できません。もちろん児童クラブ側にもたくさん注文がありますよ。「できない、むずかしい」と言うばかりではなくて、事業規模を大きくすればスケールメリットをもって対応できる事柄が増えるのは自明の理なのですから、こども性暴力防止法の時代を迎えるにあたって「自分たちが対応できる能力を作ろう」と動かねばダメだ、ということです。
まあとにかく、こども性暴力防止法をもってすれば盗撮やわいせつ行為を防げる、なんて簡単な話ではないことです。最終的には、人の目、機械(監視カメラ等)の力を活用して、犯罪行為を起こさない、起こした場合でもすぐに見つけ出す、ということを目指さねばならない、ということです。そのために必要な人数が足りない、カメラなどを活用する資金が足りない、ということも分かり切ったことなので、自治体や国は「カメラを持ち込ませない」「研修をしっかりする」という、口先だけの注意ではなくて、しっかりとした実用的な施策を実施できる根拠となるカネをしっかりと児童クラブに投入してください。「貧すれば鈍する」は残念ですが、児童クラブの世界においては、やっぱり事実です。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
New!☆
こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。
出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援
こちらをぜひご覧ください。「こどもを守る弁護士チャンネル」の特別版「出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援」の動画URLです。弁護士で、自ら放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士による詳細な解説です。
「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」が登校されました。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
☆
※こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+
☆
放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
☆
わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン))
2026年5月29日には「“産業化”の大波に飲み込まれる学童保育…企業はどう収益を上げているのか?事業構造から見える放課後育成の実情」という記事が公開配信中です。URLは以下の通りです。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40665
2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事も公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。こちらもぜひ読んでいただけるとうれしいです。
☆
「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
