<運営支援ブログミニ34>おやつ、のこと。放課後児童クラブ(学童保育所)はおやつこそ大事。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。
 今回はミニ版。おやつの話をわたくし萩原が思うがままにつづります。ところで児童クラブでは、おやつはとても大切だとわたくしは確信しています。おやつを提供しないクラブは、おやつ提供に踏み切ってくださいね。

(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。) 

<園庭になっていた>
 昨日(2026年5月15日)に報じられたニュースで、都内の小学生が校外学習の際に桑の実を食べて小学生が腹痛やのどの違和感を訴えて病院に搬送された、という報道がありました。職員も同行して一緒に食べたと読み取れる記事でした。
 食べたのが本当に桑の実なのか? という疑問もX(旧ツイッター)の投稿では示されていますが、仮に桑の実だとしても、熟していない桑の実を食べると体調に異変をもたらすことがあるようですね。

 桑の実のことで思い出したのですが、わたくしの一人息子がお世話になった学童保育所では、おやつに桑の実が出たことがあります。桑の木が施設のそばにあるんですね。5月になると、桑の実を摘んで食べることで、自然の恵みを学童で体験できる。とてもいいことだとわたくしは当時から感心していました。なにより、ちゅうちょなく園庭で捕れた桑の実をこどもたちと一緒に食べることを選択した当時の職員の先生たちに感謝です。

 わたくしもこどものころ、桑の実をよく食べました。わたくしがこども時代を過ごした東京都多摩市、それもニュータウン地域ではなくて開発から取り残された地域では、桑の木があちこちに普通に生えていました。ですから学校の帰り、桑の実が食べ放題でした。連光寺小学校に通っていたのですが自宅までの通学路は雑木林の中を1キロ以上歩きます。そこにも、そして雑木林を出てからも道路沿いのあちこちに桑の木がありましたから。

 わたくしにとって桑の実、マルベリーの甘酸っぱさは懐かしい味です。時は流れて息子が大学生となり、茨城県結城市に考古学の発掘のため年に数回、合宿で過ごすようになりました。発掘の成果発表会に参加したことがあります。その帰り、結城駅の土産物店で、桑の実ジャムを売っていたので買って帰りました。結城は織物の街なので、桑の木がたくさんあるんでしょう。大事に大事に食べました。

 いま、児童クラブで自生または昔の人が養蚕のために植えた桑の木になっている実を食べることって、あるんでしょうか。

<運営側にまわると>
 さてそんなわたくしですが児童クラブのユーザーから経営者に立場を変えました。一転、悩ましくなるのです。自生している果実をこどもたちに食べさせることを。「びわ」が生えている施設があって、もちろん時期になるとびわを食べさせたくなりますね。現場から「びわがなったのでこどもに食べさせますよ」と連絡が入ると、もちろん「それはいいね、食べ過ぎないでね」とOKは出すのですが、「頼むから事故、トラブルだけは起こさないでね」とひたすら願うばかりでした。

 児童クラブの運営責任を負うようになると、「こどもが被害にあうトラブル、事故がないように。事故を職員が引き起こさないように」という点に極めて敏感になります。そうなると、自然にできたものを食べることは、製造販売過程において品質管理を徹底の上で市販されている食品よりも、体調異変や体調不良を招くリスクは高くなると考えると、心境はなかなか穏やかにはならないのですね。

 でも、こどもにとって児童クラブのおやつはとても大切。放課後児童クラブ運営指針にも、おやつの意義が説明されているのですから。しかしすべての児童クラブでおやつが出されているかといえばそんなことはありません。わたくしはそれが不思議です。

 児童クラブでこどもの健康へのリスクが考えられる最も大きなことはやはり摂食、おやつや食事の提供でしょう。ただしだからといって、こどもの活力面を支えることや栄養補給に重要な役割を持つおやつを省略することはあまりにも短絡的であり、わたくしは反対です。おやつは、児童クラブにおける事業運営の本旨の1つである、という認識を設置主体と運営主体は理解しなければなりません。

<おやつは、いろいろ>
 市販のおやつを利用するクラブも、時折は手作りおやつを提供する場合も、基本的に手作りのおやつとしているクラブも、実にいろいろあることでしょう。児童クラブ向けのおやつ販売を手掛けている事業者もあります。どんなおやつがあるでしょう。
・市販の菓子類。
・市販のパン。バターロールや、食パンをちぎって袋に入れて、パウダー状のもので味付けをする「シャカシャカパン」は人気のおやつでしょう。ココア味、塩味、いろいろできます。
・せんべい、あられ。
・駄菓子。結構人気ですよね。近所に駄菓子を売っている店があれば、社会体験としてこどもたちが店に行って決められた予算内で好きなおやつを買う、ということもできます。
・軽食類。油で揚げた味付け麺にお湯を入れるタイプがありますね。ブタメン、という商品名が代表的なものでしょうか。
・うどん、ラーメン、そうめん。場合によってはパスタ類も。小麦粉のものが多いですね。そばはアレルギーの問題でなかなか用意しづらいのではないでしょうか。
・おにぎり。
・ちょっとしたどんぶりもの。「肉ニラ丼」は、簡単にできる上にボリュームもあります。
・果物。バナナなど。ただアレルギー関係に配慮が必要です。
・小魚類。干物や煮干しですね。栄養はあります。ただ食べるのに難儀したり、口の中を傷つけるこどももいます。
・アイス、氷菓類。夏場は好まれますね。チューブ状に入ったものを凍らせるもの、よく「チューペット」などのような名前で販売されているのが安いので購入しやすいです。

 まあ、いろいろありますね。季節を感じられるおやつを、現場がメニューを工夫して、限られた予算内で用意することになります。

<どういうおやつがよいのか>
 市販でも手作りでも、運営主体の中でしっかりと考えて提供するおやつを決めていけばいいのですが、当然ながら提供する施設側が徹底的に留意しなければならないことはあります。
「窒息事故を起こしやすいものは避ける」=以前、現場で働く職員から「うちのクラブでは球状の餅をおやつとして出す用意をしていますが、大丈夫ですか?」という問い合わせがありました。餅しかも球状では、こどもがのどに詰まらせるリスクは高いだろうと想像できます。「避けるべきですよ」と回答しました。

「傷みやすいもの、腐敗しやすいものは避ける」=たいていはおやつ提供を準備して摂食までの時間はそれほどかからないのでしょうが、保存の環境も考えると、傷みやすいものは避けたほうが無難です。誕生日会のケーキなどは搬入してから提供までの保存環境に十分な注意が必要ですね。

「提供時刻や量について、保護者側と情報交換をして理解を共有しておく」=おやつに関して施設側に寄せられる保護者の意見としては「おやつが多すぎで家での夕食が食べられない」というものが実に多いです。おやつの提供時刻が午後5時過ぎであることが、とりわけ放課後全児童対策事業には多いようです。午後5時ごろまでは、放課後子供教室としての役割、それ以降は放課後児童健全育成事業とするのがこの全児童対策ですが、おやつ提供は放課後児童健全育成事業つまり放課後児童クラブとしての運営に切り替わってから、ということなので午後5時台や6時ごろの提供となりがちです。これは完全に、大人つまり制度上の都合によりますね。こどものことを考えたら午後3時台や4時台が望ましい。わたくしはこの点の改善が必要だと考えます。「こどものことを考えて、おやつを提供しようよ!」ということです。午後5時台まで待たないとおやつがないなんて、許せませんよ。

「おやつの種類に関しても保護者側の理解を得ておく」=「加工品や添加物があるおやつは提供しないでください。こどもの健康被害が心配ではないのですか?」と保護者さんから意見をいただくことがあります。いわゆるオーガニック系の自然食品のおやつを出してくれ、あとは「国産のおやつにしてください」というリクエストも受けたことがわたくしにはありました。

 児童クラブではできることとできないことがあります。こどもの健康被害をもたらす可能性が低いものであれば、外国産だろうが添加物が使用されていようが、わたくしは児童クラブで提供するのは当然に問題ないという立場です。
 施設側に気を付けてほしいのはもう1つ、予算の管理です。月の下旬になって「おやつ用の予算が足りない!」というのは困ります。月の中頃まで、ちょっと値段が高いチョコレート菓子をバンバンだしておいて、月の下旬は「うまい棒1本と麦茶」だけでは困ります。児童クラブの職員は、そのクラブの経営を担っているということも忘れずに。
 あとはもちろん、賞味期限、消費期限は厳守です。アレルゲンの誤提供などはもってのほかですよ。

<捕食の面を重視しよう>
 育ち盛りですからね、必要な栄養素に配慮したおやつを児童クラブでこどもに提供するのは大切なことです。特定のニーズに対応している民設民営クラブ以外は、いろいろな世帯のこどもが入所してきます。中には家庭であまり食事に恵まれていない世帯のこどもがいることもあります。給食のない夏休み期間中はとりわけ、栄養面も考慮したおやつを児童クラブで提供したいものです。
 その点でわたくしは国に、栄養関係の資格を持った人を雇い入れているクラブに別途、補助金を創設してほしいと考えます。

<おやつの予算補助を。施設の充実を。>
 おやつは受益者負担としておやつ代を毎月の利用料(保育料等)とは区別している場合がほとんどです。徴収は利用料と同時としても、毎月の徴収額のうちおやつ代の部分は何円、となっている場合が多いですね。
 たしかにこども自身が食べるものです。ですが、おやつはこどもの育ちに欠かせないとして運営指針にも掲載されているものですから、国や自治体にはおやつ代の補助について積極的に考えてほしいですね。なにせ、とにかく物価が上がっています。月々2000円台のおやつ代でも、児童クラブの入所人数があまり多くないと、やりくりが大変です。手作りは原材料費を抑えられるのですが手作りを担う労働力の確保が難しい。施設、設備面にも問題がありがちです。ミニキッチン程度の施設では数十人分のおやつを作るのは大変です。調理施設の準備にも使える補助金があるといいですね。あくまで家庭の台所の延長程度のものですが、大きめの鍋や寸胴、やかんが使えるぐらいのIH設備は欲しいものです。

 児童クラブのおやつ、保護者のみなさんもぜひ興味関心を持ってくださいね。クラブ側は、おたよりやアプリ配信で、提供予定のおやつメニューを積極的に保護者さんに伝えましょう。1食ごとに必要な予算やカロリーについても同時に情報提供できるといいですね。

 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf

(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf

 「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

投稿者プロフィール

萩原和也