東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)級の大震災、大地震はまた必ずやってくる。放課後児童クラブの備えを!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 昨日は3月11日。2011年3月11日に発生した超巨大地震(東北地方太平洋沖地震)から13年が過ぎました。メディアは鎮魂の放送を繰り返し伝えていました。あまりにも悲劇的な大惨事でした。当時の記憶は今もまざまざと残っています。あの地震では、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)も大きな被害を受けました。あまりメディアで取り上げられないのが残念ですが。

 あの地震の後も、今年元日の能登半島地震のように震度7を記録する大地震は繰り返し起きています。日本にいるかぎり、いつどこで、震度6~震度7の強烈な揺れに襲われるか、それは覚悟をしなければならないのです。つまりそれは、子どもたちが大勢集まって過ごす放課後児童クラブも、強烈な地震の揺れ、又は地震による火災、津波、山崩れ等の地震による被害を受ける可能性が当然あって、子どもと職員の生命が確実に守られなければならない方策が確保されねばならない、ということです。

 ところが実際はどうでしょうか。私は大変、心もとない状況だと考えています。なぜなら、放課後児童クラブとして特別に施設や建物の耐震性について基準を設けたり、火災に対する基準を設けてはいないからです。あくまで、一般的な建物に対する法令の規制の範ちゅうだけで対応することになっています。多くの子ども、そして職員が1つのところに過ごす特別、特殊な環境にありながら、放課後児童クラブに特化した施設面の安全水準はまったく何も考慮されていないのが、残念ながら日本の実態です。

 確かに日本はその一般的な基準においてそれなりに高いレベルです。建築基準法にしても、数度の地震被害を経て改正された耐震基準は諸外国に比べてはるかに厳しいものであることは理解しています。しかし私が訴えたいのは、一般的な法規制よりも、もっと厳しい基準を設けて、子どもたちの命を守るという姿勢を国として示すべきなのではないですか、ということです。

 こどもまんなか社会ということがしきりに言われます。次元の異なる少子化対策ともよく言われます。それらはおしなべてこの国が少子化と経済発展をどう両立していくかの知恵比べに過ぎないのですが、たとえそうであったとしても、子どもを育てながら働く保護者にとっては、子どもの身の安全は絶対に譲れない一点です。ですから、できる限り、児童クラブの施設、設備については耐震性も、防火面でも、この国が実施できる最高級の安全性を備えた基準を用意し、子どもたちの生命身体を守るんだ、という姿勢を、この国が、この社会が、子どもたちに常に提供しなければなりません。それこそが本当の「こどもまんなか社会」であると、私は考えています。

 現実は大変お寒い状況です。あちこちの児童クラブ、全児童対策事業では、とかく子どもの人数が施設にふさわしい人数をはるかに上回っています。そんな状況で、急いで避難をしなければならない状況に襲われたとき、果たして、無事に安全に子どもたち全員の避難が完了するでしょうか?児童クラブの建物は鉄筋コンクリートや軽量鉄骨(プレハブ)工法が多く、そう簡単に全壊、倒壊するような工法ではありませんが、そうであっても地盤が弱ければ傾いたり沈んだりしますし、周りの建物が崩れかかってくる可能性だってある。急いで逃げる、避難する必要があるときに、こどもが40人、50人いる、避難口は2か所しかない、では急いで逃げられません。それは火災の危機が迫っているときも同じです。

 その他にも、山崩れ、がけ崩れに巻き込まれる危険性はどうなのだろか。子どもたちが登所、あるいは降所するときのルート上に危険な箇所(ブロック塀が倒れてきてもおかしくない地点がある、がけ崩れが起こりやすい箇所がある等)はないだろうかと、子どもの生命身体を守るために大人が点検確認しなければならないことは、とてもたくさんあるはずです。海の近く、斜面の近くにあるクラブだけが神経質になるのではありません。繁華街にあるクラブも点検ポイントはたくさんあるはずです。近くに、大きなガラスを派手につかった建築物はありませんか?激しい揺れでガラスが割れると、ガラスの破片が危険な状態で降り注いできます。道路沿いの施設では、地震動にハンドルを取られて走行中の車が突っ込んでくる可能性があります。ダイレクトに車が施設内に突っ込んでこないように衝撃を吸収できる物体を意図的に置く(花壇やロッカーなど)ことも工夫の1つです。

 クラブの事業者は市区町村と連携して、直ちに、それも継続的に危険性のチェックを行いましょう。施設面で更新、修繕が必要であれば市区町村と協議して速やかに対応をとりましょう。そして定期的に避難訓練をしたり有識者を招いて心構えや避難について教えを乞うたりして、繰り返し、命を守るという意識をこどもたち1人1人の中に植え付けていきましょう。万が一の時に備えて水分、食料や必需品の備蓄も行いましょう。緊急時の連絡体制も定期的に稼働させて機能するかどうかを確認しておきましょう。
 前日の運営支援ブログに記載した安全計画は、こうした自然災害への対応、対策をも含むものです。地味で面倒くさい作業です。ですが、子どもたちの命を守ってこその放課後児童クラブです。遊びの場だ、生活の場だ、などどうわべだけ丁寧に取り組むのではなく、子ども1人1人の命を守るための仕組みを確実に構築するようにしましょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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