学童保育は子育てを応援する制度ですよね?出産と育児(介護も)に直面する職員に十分な配慮は当然です

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育の業界は、女性の活躍で支えられています。男女の雇用の均等に差があるわけではないですが、学童保育で働いている女性が多いのは事実です。(その背景には、賃金の低さから家計を支えたい男性にとって魅力的な就業先になかなかならない、という残念な状況がありますが)

 ご存じのように学童保育所は、働いている保護者の就労を支える役割を担っています。いま、少子社会を迎えて、仕事と育児の両立について種々の施策が実施されるようになっています。これはとりもなおさず、出産、育児、そして介護もですが、家庭内労働を担うことが多い女性の就業機会確保が重要だと国も認識していることの現れです。とはいえ、女性の育児休業取得率は2020年の調査(厚生労働白書)では81.6%に達する一方、2015年度の調査では第1子出産後の女性の継続就業割合は53.1%に留まっています。

 学童保育の世界で働いている女性はどうでしょう。私の見聞きした範囲では、やはり、出産や育児を機に離職を選択する女性職員はまだまだ多いと感じます。これには、学童保育の仕事ならではの事情も影響しているでしょう。

 学童保育の就業時間は、学童保育所の閉所時刻にもよりますがおよそ午後6時以降ということがほとんどでしょう。そうすると、子どもを保育所や学童保育所に託しながら働くことが必要となりますが、お分かりのように、勤務先の退勤時刻と保育所などの閉所時刻が近いために、子どもを保育所等に託しながら働くことが難しいのです。
 自らの業務についても、例えば子ども同士でのトラブル等があるとその対応で時間外勤務が必要となる場合もあり、子どもの保育所へのお迎えが間に合わないという状況になることも。乳児期の子どもは体調不良がよくありますが、子どもの看病のために休みことも多い。子育て支援の業界で働いている学童保育所の女性職員は、同じように働きながら子どもを育てている保護者を目の当たりにしているがゆえに、「自分は、もっと子どもを余裕をもって育てたい」という意識に傾きがちなところがあると、私は感じてきました。

 さらには、学童保育所の運営主体には企業規模が小さいところが多く、育児休業制度が十分整っていない、育児休業中の代替要員の確保が難しいなどで、学童保育所の女性職員が退職を選択する1つの要因にもなっています。

 つまり、学童保育所という世界は、働きながら子育てをしている保護者を支える制度でありながら、そこで働いている女性職員にとって厳しい就業環境であるというのが、事実なのです。まして、男性職員が育児休業を取得というのは、夢物語に近いイメージすらあります。
 また、残念なことですが、そんな厳しい就業環境を「生き抜いて」きたベテラン女性職員には、若手の女性職員に対し、産後の職場復帰や育児をしながらの就業について、厳しい態度を取ってしまう人が少なからず存在します。例えば、「異動したばかりだから、そこで妊娠、出産はないよね」とか「同僚が新人だから、新人が育つまでは子どもはまさかできないよね」など、残念なことを平気で口にする方もいました。私はよく、「女性は、女性に厳しい」という言葉を女性職員から聞かされてきましたが、そういうことは現実にあるのです。

 もちろん、出産や育児を機に離職してしまう女性職員が極力現れないように、組織の運営側はあらゆる手を尽くさねばなりません。女性職員が多い業界ですから、よりこの問題に敏感になって当然なのに、なぜか意識が薄いような気が私にはします。この採用難の時代において、ようやく採用した職員を成長させるためにつぎ込んだコストが、出産や育児による離職で失われるのは事業者にとって大きな痛手ですが、それに気づいていないのでしょうか。子育て、あるいは介護をしながらも、男女問わず職員が安定して勤務を続けられるような事業者としての制度を早急に確立することは、運営者の当然の責務です。

 手法はいくらでもあるでしょう。法律による育児休業や育児時間の確保、3歳に満たない子を育てる労働者の所定労働時間短縮の制度、子の看護休暇など、各種法令による制度の利用を促進することは大前提です。さらには事業所ごとに、特色ある制度を導入すればいいだけです。私もかつて、いろいろな制度を導入して男女問わず育児や介護をしながら学童保育所での就業を継続できるように最大限の留意を払いました。(そういう制度を導入すれば、職員採用において大きなアピールポイントにも、なりますからね)

 肝心なことは、制度の整備はさることながら、組織全体の意識を変えることです。特に先に述べたベテランの、ややもすると「私の時代は恵まれていなかったのに頑張った。今の若手は甘えすぎ」という偏見に近いような感情論を完全に一掃し、すべての職員や管理職に、「子育て支援を行う学童保育所だからこそ、ここで働く職員は男女問わず、育児や介護と仕事の両立が当然にできなければならない」という意識を、しっかりと認識させることです。また、職員のお子さんが不登校状態になったという状況もありえます。そういう状況に直面している職員を、雇用面でさらに不安にさせないことも当然ながら重要です。

 当たり前ですが、運営側(理事などの役員)が、職員の安定かつ継続的な雇用は極めて重要であるということを完全に理解する必要があります。

 社会からますますその存在が重要視されるようになった学童保育です。そこで働く人たちのワークライフバランスに十分配慮した、仕事と家庭生活(特に育児、介護)の両立が必ずできるようにしましょう。子どもの育成支援と保護者支援を腰を据えて実施するには、職員自らの生活が安定していることが、何より重要ですから。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所での就業環境について、具体的な改善につなげられる種々の助言ができます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。また、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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