完璧は求めないこと。高齢世代が働き手の中心になりつつある時代、「できること」を頑張ってもらいましょう。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育の業界は女性の活躍で支えられていると、昨日(7月11日)付のブログに記載しました。一方で、学童保育業界に身を置いている方は先刻ご承知のように、高齢者の働き手がどんどん増えている業界でも、あるのです。それは単純に、学童保育の現場が最も希望する30~40代の求職者が少ないことと、人口も多い高齢者、特に後期高齢者の応募が多く、採用するほかないという事情があります。

 よって、これからの学童保育業界は、いかにして、高齢者世代の職員を、業務上において必要な存在として戦力化していくのかについて、本腰を入れる必要があります。運営組織は、「高齢者は、子どもと遊べないから無理」ではなくて、「どうやったら子どもと楽しめる遊びに高齢職員に取り組んでもらえるか」を考える時代なのです。

 確かに、高齢職員が、学童保育で子どもと遊ぶのは、なかなか大変なことです。学童保育の仕事で、子どもと遊ぶことは極めて重要とされています。それは、子どもは遊びを通じて社会性を身に着けていきますが、職員にとっても、子どもと遊ぶことで子どもとの関係性が築かれ、職員の最重要な業務である、子どもの育ちを応援する育成支援の面がスムーズに運ぶようになるからです。

 外遊びは当然、体力が必要です。サッカー、鬼ごっこなど、体を激しく使う遊びがかなりあります。これについては、やはり、どうしても高齢職員の方には限界があるでしょう。とはいえ、「絶対に無理です」では困ってしまいます。まず、「なぜ子どもには、遊びが大事なのか。なぜ、職員は子どもと遊ぶことが重要なのか」について、みっちりと教え込むこと。先に理屈を叩き込みましょう。
 そして、できる範囲で体を動かしてもらいましょう。もちろん、体を動かす前には、ストレッチは入念にするように業務マニュアルで指示しましょう。

 また、室内での遊び、例えば将棋、囲碁、トランプ、ボードゲームといった高齢者が得意な分野の遊びも多いですので、高齢者の方がその立ち位置を発揮できる局面は、あることはあります。よって、クラブで、将棋や囲碁をブームにさせることができるといいですね。できる範囲で、子どもたちと外遊びができる、あるいは「やってみよう」という意欲を高齢職員に持たせるような意識づけを常に行うことが大事です。

 ところで、学童保育の世界は往々にして「完璧を求めがち」だと私は感じてきました。新人で仕事を始めて数か月の職員に、キャリア数年と同じレベルの業務執行を期待して、それができないと「あ~あ、ハズレかな」と切り捨てる職員の、なんと多いことか。日々、子どもの安全安心を守ることについて完璧を求められる業務ゆえに、新人職員にも完璧な業務執行を求めてしまうからなのですが、随分と他者に厳しい業界だなぁと、私は思っています。正規、常勤が新人でも、そのクラブに前からいる非常勤、補助員さんたちも含めて、クラブの職員集団でカバーできれば、いいじゃないですか。高齢職員に対しても、同じことです。30代、40代の女性職員のようなきめ細やかさ、学生アルバイトのような元気いっぱいの外遊びを同じレベルを求めても、無理なものは無理。ある意味、高齢職員を使用する側の「割り切り」が必要です。

 さて、高齢職員について最も不安なことは、私もそうですし、現場も一番だと思いますが、「かつての子育ての常識が、現在は通用しない」ということへの理解度です。例えば、言うことを聞かない子どもの頭をポカリ。昭和時代なら普通にあった光景ですが、もちろん、ダメです。(いや、昭和だってダメだったはずですが、世間が大目に見ていたということ)この、昔に自分がしてきた、あるいはされてきたような、往々にしてチカラの行使を伴う子どもへの対応は、現代では絶対に許されないことばかりです。

 ところが、過去には許されて現在はダメな数々の行動形態というのは、ことに企業戦士でバリバリと活躍してきた方を中心に、骨の髄までしみ込んでいる場合が多いですね。よって高齢職員に対しては、何度も何度も、しつこいぐらいに、研修やOJTで都度、不適切な育成支援の類型について、指導するほかありません。「そんなことまでいちいち指図されるのはたまらん」という方は、お辞めいただくほかありません。高齢者の求職は多いので、無理して目の前の1人だけにこだわる必要もありません。その点は運営組織側もある意味、高齢職員個々の適性をしっかり把握して、「どうしてもこの人には無理」と判断できるのならば、試用期間の間に雇用継続についてシビアに判断することも、大いにあり、でしょう。

 現場では正直、厄介者扱いされることもある高齢職員。それは大変失礼なことです。学童保育の業務、育成支援のスキルでは、常勤の正規職員に太刀打ちできるはずはありません。ただ、高齢の方には、その人なりの生きて刻んできた歴史があります。ぜひ、職員は、その歴史を高齢職員から、聞いてください。そして子どもたちに、また保護者たちに、昭和30年代や40年代、50年代の子どもたちがどう遊んできたのか、あるいは大人たちがやってきた子育てについて、話を披露する機会を高齢職員の方々に持たせてください。子育てに関する記憶と歴史を後世に伝えていくことは、子どもの育ちを支えることが使命である学童保育の世界で、とても大事なことだと思っています。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所での高齢職員の活用方法について、具体的な提案ができます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。また、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)