学童保育の指定管理者を選ぶ「選定基準・評価項目」に疑問。もっと育成支援を重視した選定基準等にするべし。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 新潟市が、学童保育所(この場合は、放課後児童クラブ)を指定管理者制度で選定した際に、保護者から異議の声が上がっていることを前日16日のブログに記しました。本日はその件で、新潟市が公表している指定管理者の選定に関する選定基準・評価項目について抱いた疑問について記します。

 新潟市が公表している指定管理者の選定基準・評価項目は以下の通りです。
1 基本方針(15点)
指定管理者に応募した動機・市の施策(施設の設置目的)に対する理解(5点)
運営にあたる理念及び基本方針 (5点)
類似業務の運営実績(5点)
2 運営組織 (40点)
職員数、資格要件を含む職員体制 (5点)
勤務体制及び考え方 (5点)
ワークライフバランスの推進や誰もが働きやすい職場環境づくりへの取り組み(10点)
職員の人材確保(主に市内居住者の雇用確保)の方法 (5点)
職員の資質向上のための育成、研修に対する考え方及び内容(10点)
個人情報の保護やコンプライアンスの取り組み( 5点)
3 運営全般(70点)
児童の発達段階に応じた健全育成などの運営全般に対する考え方及び支援内容(10点)
利用者の平等な利用の確保及びサービス向上のための具体的な取り組み(利用者ニーズの反映、独創的・魅力的な事業展開・自主事業の内容)(10点)
配慮を要する児童(障がい児・医療的ケア児・アレルギー・虐待など)に対する支援(10点)
保護者との連携及び保護者への支援(保護者負担の軽減など)(10点)
学校・地域との積極的連携(10点)
第三者委員設置等を含んだ要望・苦情に対する対応(10点)
効率的な運営による経費削減のための工夫(5点)
事業計画の具体性及び実現性(5点)
4 危機・維持管理(25点)
事故防止、防災・防犯に対する考え方と対処方法、虐待の見逃し防止のための措置(10点)
事故、災害、緊急時の迅速な対応及び体制(10点)
施設管理に関する考え方及び内容(5点)
合計 150 点

 この選定基準・評価項目を算定するために、公表されていない種々の採点基準、採点項目があると信じたいのですが、公表されているこの基準と項目では、放課後児童健全育成事業の中核ともいえる「育成支援」の最も重要となる項目が、「児童の発達段階に応じた健全育成などの運営全般に対する考え方及び支援内容」の、1つしかありません。子どもの育ちを支援、援助する専門的な職務内容が問われているのがたった1つというのは、中核的事業たる育成支援をさほど重視していないと、私は考えます。

 もちろん、育成支援の範囲に含まれる、配慮を要する児童への対応も選定基準・評価項目に入っていますし、保護者との連携や支援も入っています。ただし、それらは、まず子どもの育ちに対する職員や運営組織の理念とその実行がしっかりと行われていることが前提となるものです。しかも保護者の項目ではカッコ書きで「保護者負担の軽減」とわざわざ付け加えられているのが、私には気になります。
 子どもの育ちに関する遊びの重要性を理解して遊びの工夫における配慮をしているか
 おやつについて食育を踏まえた手作りおやつを提供する意欲がみられるか

 育成支援に関して、もっと掘り下げた選定基準や評価項目が足りません。「運営全般」と、ざっくりとくくられていることも残念です。

 なお、育成支援に関連する得点は10点の配点で高いとはいえますが、この選定基準・評価項目では、例えば育成支援を重点的に、保護者の意見を取り入れて地域密着で運営している事業者が普段から得ている高い評価がそのまま反映されるようなものではありません。むしろ、各地域で手広く学童保育所を運営している、アウトソーシング事業を中核としている営利企業、つまり補助金ビジネスで成長している営利企業であれば、多くの基準や項目で高い点を獲得しやすい基準や項目ばかりといえます。特に、「職員の資質向上のための育成、研修に対する考え方及び内容」の10点配点は、企業規模が大きい組織が得意となってアピールできるところです。

 結局のところ、学童保育所の指定管理者選定においては、全国各地において、事業の中核である育成支援、子どもの育ちについては、たった1つの配点で済まされてしまっていて、それも普段から育成支援に尽力している、地元に根差した事業者よりも、各地で事業を展開している企業に有利になってしまう仕組みが備わっているのです。
 今回紹介したのは新潟市の例ですが、全国の他の地域でも、選定基準や評価項目については、あまり差がないと私は思っています。結果的に、多くの地域で事業規模が大きい営利企業ばかりが選定されてしまっていることは、その裏返しだと私には思えます。

 市区町村は、育成支援の充実を最優先にした事業者を選ぶべきです。それには、指定管理者選定において、育成支援を重要視してきた実績と、今後の計画について多方面から評価できる基準、項目を設けて指定管理者の選定に行わせるべきでしょう。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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