保護者主体や非営利法人の学童保育の事業者が、競争に勝つために必要なことは、これしかない。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。
全国の学童保育(この場合は、放課後児童クラブ)はいま、大変な競争時代に直面しています。その競争は、指定管理者制度による公募です。これまで学童保育所が指定管理者制度の公募に直面するのは、「公営学童の民営化又は準公営ともいえる社会福祉協議会が学童保育所運営を手放すことによる営利企業への変更」や、「指定管理者である学童保育事業者が、3~5年の期間を経て次の公募に挑む」局面が多かったのですが、いま問題となっている愛知県津島市での事例のように、子どもや保護者からおおむね高い支持を受けていた事業者が、営利企業と公募で真っ向対決するという例が、これから増えてくると思われます。
どれだけ、保護者が運営に参画し、あるいは保護者の希望や要望をできる限り取り入れて、子どもの育成支援と職員の雇用待遇に配慮して運営していたとしても、学童保育所に補助金を出すことを決めている市区町村が生殺与奪の権を握っている以上、市区町村の意向を覆すことは、現状において、はなはだ困難です。このような状況において、育成支援の質を重視し、かつ、職員の雇用待遇にも留意している学童保育所の運営事業者は、どのように事業運営を進めていけばよいのか、この難問に、必死になって取り組まねばなりません。
昨日(12月5日)、旧ツイッター(X)にて、私にはとても素晴らしいと思える投稿(ポスト)を拝見しました。沖縄で学童保育所を運営している「ひろひろ@学童クラブ長&塾長」さんの投稿です。
「健全育成「事業」と名付けられているからには、サービスの持続可能性や質の確保を考えなければならない。福祉事業は社会的意義のあるものだけど慈善活動とは別。」と記されていました。
まさに私が延々と当ブログで主張を重ねていることの内容です。本当にその通りだと、私は思います。
もちろん、放課後児童健全育成事業の中心は、児童の健全育成です。育成支援が事業の中核です。よって、子どもの育ちを最優先に考えるということは、絶対にぶれない軸です。
ただし、「軸がそれだけ」では、残念ながら、社会にはなかなか評価されない。学童保育所は、保護者の子育て生活を支援することも重要であり、それは保護者の日々の生活に利便性をもたらすことです。さらに、税金が補助金として交付されている以上、社会からのニーズを意識した事業もまた、展開しなければならないのです。(なお、放課後児童健全育成事業を行っていながら補助金が交付されていない状態は、あってはなりません。そのような事態は大至急、是正されねばならないのは言うまでもありません)
つまり、育成支援の充実(それは職員雇用待遇の充実が前提としてなされるもの)にプラスして、「その地域における子育て世帯の生活を十分支援するだけの児童福祉サービスの充実」であり、それによって「地域社会や市区町村に、その施設、その事業者は欠かせないと思わせるだけの高い評価を得ること」なのです。
私が考える具体的な方策は次のとおりです。大前提として、育成支援を丁寧に行うこと、質の高い育成支援を行うために職員の雇用待遇と、研修教育による資質の向上に努めていることは当然です。
・保護者の就労等と子育ての生活に時間的な余裕が生じるような開所時間の設定。開所は早く、閉所は遅く。
・保護者のニーズが高い昼食提供や学習支援に柔軟に対応。
・運営に不安定な要素を持ち込む「保護者の運営面への強制的な参加」は止める。希望者のみで十分。
・市区町村や地域自治会等が行う事業(各種のお祭り、〇〇大会といった児童参加型イベントやごみ拾い等)への積極的な参加。
・地域にある障碍者福祉の施設、高齢者福祉の施設との頻繁な交流。
・定期的(最低でも半年に1回)に、子どもと保護者の双方に利用者調査(アンケート)を行い、その内容すべての公表。
・保護者や子どもから寄せられた、個人的な人間関係による問題以外の改善要望、苦情についてその内容の公表と対応策の公表。
・利用者調査(アンケート)では、常に「今の事業者の運営方針を支持する、しない」の調査結果を公表。
積極的に利用者(すなわち市民であり有権者、納税者である)からのニーズをくみ取り、出来る限り迅速に対応しつつ、地域社会にしっかりと根を下ろすことです。市区町村はじめ地域社会の種々の活動の一部に積極的に入り込むことです。その際は、決して、職員個人としての参加ではだめです。事業者として積極的に加わっていくことです。
そうして、利用者や地域から、その事業者が「欠かせない存在」としての評価を積み重ねていくほか、ありません。市区町村が行う、〇〇大会といった、多くの保護者が「面倒くさい」「参加に意味ない」と思われるようなイベントにも積極的に事業者として参加することです。そうすれば、「存在してくれなければ困る」という評価をいずれ確立することができます。まして、学童保育の所管部署の方にとっても、とてもありがたい存在として認識されることになります。(そうして学童保育の所管の方に「手柄」を立てさせることが大事なのです)
また、利用者から調査で高い評価を得られるようになれば、その評価を数値として大々的に世間にアピールしましょう。「とても信頼している」「信頼している」といった評価項目の数値が合計で9割以上をキープできるように事業運営に努めましょう。
これらは、「これほどまでに高い評価を得ている事業者」という評価をつかむということです。それによって恣意的に事業者の変更をもくろむ動きがあったとしても、「民意」を背景に対抗できるというものです。この評価をつかむにはとても大変な労力、コストはかかります。かかりますが、「子どもの支援だけ熱心」で、保護者や地域社会のニーズにはつれない対応を繰り返していると、いずれ、しっぺ返しがきます。育成支援だけ熱心でも、それは大事な事なのですが残念ながら現実は育成支援の充実だけでは市区町村が事業者を積極的に選択する有利な動機にはならない。その冷酷な事実を踏まえて、「事業として高い評価を得ること」を念頭に、事業運営をすることなのです。
持続的かつ安定的に、育成支援を大事にした学童保育所の事業運営を実現させることはとても大変です。ですが、事業者である以上、事業の経営者である以上、覚悟をしてください。「どんなことをしても、この事業を将来までずっと続ける。子どもの大切な居場所を守るためにはあらゆる手段をいとわない」という覚悟です。
育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。
育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!
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