「打倒!小1の壁クエスト」第4話。えっ、その塩対応ってどういうこと?

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 「打倒!小1の壁」クエストが始まりました。主人公は、来春にお子さんが新1年生となるご夫婦、学童保育について普通に入れるものと思っていたようですが、市役所を訪ねても学童保育については完全スルー。学童保育って保育所と全然違うじゃないの!

 ~打倒!小1の壁クエスト~第4話:まさかの塩対応!学童保育は大丈夫なの!

(前回までのあらすじ)子どもが来年春、学童保育にフツーに入れるものだと思っていた勇者ママと勇者パパ。市役所へリサーチに出向いたら、学童保育については運営者に聞いてくれと完全スルーでびっくり。さあ、どうする学童。どうなる学童。

勇者ママ「入学する小学校の敷地内に学童保育所があるわ。そんなところにあるなんてあまり意識しなかった。とりあえず、今度の平日の午後に行ってみるわ」
勇者パパ「よろしくお願いしますね。小学校の子どもたちがいる時間帯だと、様子も見られていいかもね」

 というわけで、勇者ママは数日後、平日の午後に、子どもが入学予定の小学校敷地内にある学童保育所に行ってみました。その途中では、下校中の小学生と何度もすれ違いました。ということは、学童保育所にも子どもたちがいるでしょう。どんなふうに過ごしているのかな?と興味もわき始めた勇者ママ。学校を取り囲むフェンスの一部に、学童保育所向けの専用の出入り口がありました。その扉を開けて、敷地内に入ったのですが。。。
勇者ママ「すみません、あの、私、来年の春に子どもを学童保育所に預けてもらいたくて、何か資料があればと思って来たのですが」
学童保育所らしき建物の外にいた大人の人が職員だろうと思って声をかけた勇者ママ。ところがその大人は「私は分からないので、正規を呼んできます」といって、そそくさと建物内に入っていきました。

勇者ママは「私は分からない?ってどういうこと?ここで働いている人じゃないの??」と不思議に思いました。

しばらくして、若い職員が建物から出てきましたが、開口一番、「えっと、何ですか?」と言ったっきり。こちらを見ています。

勇者ママ「あの、来年の春に子どもを学童保育所で預かってもらいたくて、手続とかそういうことを知りたくて、何か資料があればと思ったんですが」
正規職員「あーそういうことですか。突然来られても対応できませんし、資料は本部に問い合わせてください。今、子どもたちが来始めた時間帯なので忙しいのでそもそも対応できないんですよね」

そういって、正規職員は建物の中に入っていってしまいました。
 あっけにとられる勇者ママ。「確かにそういえば事前に電話しなかったのはこっちのミスね。でもそれにしても、何か違うよね。迷惑そうに思われてる気がする。なんか違うよね」と、内心、不思議な気持ちでいっぱいになりました。

 すると、向こうの方からランドセルを背負った子どもたちの集団がやってきました。勇者ママを見つけると、みな大きな声で「こんにちはー!」と、元気にあいさつをしてくれました。勇者ママも「あ、あの子は去年、保育所で見たことがある子だな」と思いつつ、元気な子どもたちの声に「こんにちはー!みんな元気だね!」と返事をしました。「みんな、学童って楽しい?」と聞いてみました。

 すると、子どもたちから「学童たのしーよ!」と明るい言葉が返ってきました。それを聞いて、勇者ママは少し、ほっとした気持ちを覚えました。

 それから勇者ママはスマホで学童保育の運営本部の場所を調べ、その足で訪れました。対応に出た本部の職員は事務的に「学童保育所の入所資料は来月に配布予定ですので今はありません。ホームページにも配布予定日に概要を公表するのでそれまでは公表できません」と答えるのみ。「入所について、何らかの基準とか選考方法があるんですか?保育所のように」と勇者ママが質問しても、「入所選考については一切お答えできません」とぴしゃりと返されました。
「何だろう、この違和感は。学童保育を利用したいということは、実は学童保育の人たちにとってあまり歓迎されていないってこと?」と、勇者ママは次第にそんな気持ちが強くなっていきました。

 配布予定日の目安だけ本部の職員に確認して、勇者ママはその足でハギを尋ねました。

ハギ「ははは。それもよくある話じゃ。先にわしのところに聞きにくればよかったものを。まあ、それも勉強じゃ」
勇者ママ「よくある話って、変ですよ、やっぱり変。確かにアポ無しで行ったのは、こちらの落ち度だけど、なんかこう、一言も、歓迎されている!って言葉がなかったと思うんですよね」
ハギ「確かに、アポ無しはあかんかったの。学童保育所の一番忙しい時間というか、一番、神経がピリピリする時間帯というのが、子どもが下校して学童保育所にやってくる<登所>の時間帯なのじゃよ。ほら、学童を休むという連絡がないのに子どもが登所してこなかったということがあったら、学童の職員は学校に連絡して所在を確認せねばならないのじゃ。だから、一日の中で一番、神経を使う時間帯でもある。その時間帯にアポ無し訪問は、ちと厳しかったの」
勇者ママ「そうなんですね。でも学童で会った子どもたちは、学童たのしーよ!と元気でした。それとね、大人の職員との比較が、あまりにも差がありすぎですよ。やっぱり変です」
ハギ「うむ。これは、わしの私見だがの、学童保育というのは、自分たちで営業して子どもたちを集めてくるということは、今じゃ皆無じゃ。昔はあったようだがの。今は、学童保育を必要としている子育て世帯がたくさんあるから、黙っていても子どもたちが入ってくる。営業努力なんていらないんじゃ。学童保育に入りたいという人のことは、あくまで施設を利用したい人。学童側がお願いして利用してもらうわけじゃない。だから、入りたい人は<お客様>ではないのじゃ。歓迎しようという意識は薄いのう。むしろ、<これ以上、学童保育所に子どもを入れたくない!>とすら、思う学童保育の職員は普通におるんじゃ」

「ちょっと、それ、おかしくない?」と勇者ママ。「お客様扱いはどうでもいいけど、子どもを学童に入れたくないって、子どもを受け入れるのが学童の仕事じゃないの!」と声のトーンが上がりました。
ハギ「民間のビジネスの感覚では、なかなか理解できんのじゃ。学童側の立場になると、やっぱり子どもたちに過ごしやすい環境を実現するのが絶対的に優先したい。ここで<児童福祉>の考え方が優先するのじゃ。学童保育はの、児童福祉の事業の1つとなっておる。あまり多くの子どもたちが学童に入所してくると、子どもたちにとって過ごしにくい環境になってしまう。学童保育で働く多くの人たちは、生真面目すぎての、子ども絶対優先主義だから、子どものためにならないことは全部、反対なのじゃ。だからの、小1の壁にしたって、壁があるから子どもたちの入所人数がむやみに増えることを食い止めてくれているとして、内心、小1の壁があっていいと思っている学童保育所側の人間も多数派じゃないが、結構おるんじゃ。つまりは、大事にしたいのは、まずは自分たちのクラブに入っている子どもたち。クラブに入っていない子どもたちのことは、あまり気にならないのじゃな」
ハギ「もちろん、利用したい人があってこそ存在している学童保育所だからの。ホスピタリティというのは、忘れてはならん。心地よく学童保育所を利用してもらうための丁寧な案内じゃ。誰だって最初は特に不安だからの。子育ては今は<孤育て>となって不安な保護者が大勢おるんじゃ。もっと学童保育所は子育て世帯に寄り添わねばならぬ。だが残念じゃが、保護者側に<あなたも子育ての当事者として責任を持つべきだ>という意識が強い学童の職員にとっては、ホスピタリティよりも、保護者としての責務を要求するあまり、あれをせい、これをせいという対応になりがちな面も、まだまだあるのう。わしは、そういうのはいかんと言い続けておるんじゃが」

勇者ママは、ますます学童保育所が分からなくなってきました。学童の子どもたちを大事にしたい気持ちは当然だけれど、学童に入っていない子どもたちのことは、あまり気にならないって、それが分からない。小1の壁があっても学童側は困らないというとますますイミフ。利用者に優しくしないのも何かが違う。

「でも、同じ子どもじゃないですか。それなのに大事にしたくならないの?」と勇者ママ。
ハギ「同じ子どもじゃが、学童保育所に在籍している子どもたちではないからじゃ。学童保育というのはの、家庭の代わりに、子どもの成長を支える場所。つまり第二の家庭じゃ。家庭の外までは、なかなか意識がむかんじゃろ。だいたい、職員1人で20~40人もの子どもたちと関わっていくんじゃ。目の前の子どもたちだけのことでも、いっぱいいっぱいじゃ。しかも、子どもたちがいつもすんなりと学童の職員の話を聞いておとなしくしているわけはあるまい。そりゃ、本当の家庭だって同じじゃ。子どもたちは、第二の家庭である学童保育所で、解放された気分でのびのび過ごすし、職員もそうさせたいんじゃ。その分、手間がかかるがの、何せ、学童保育所で働いている人の数が絶対的に足りないんじゃ」

 学童保育は、何やらいろいろな事情があるんだなと、なんとなく感じ始めた勇者ママ。とりあえず、無事に入所の申し込みをしなければならないので、その準備を進めることにしますが、「もうちょっと、学童について知っておかないと、こちらが困る」と思い始めたのでした。引き続きしばらくの間、「打倒!小1の壁」のクエストで、小1の壁について学んで、一緒に打倒法を考えましょう。(たぶん続く)

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育に関連する多くの問題、小1の壁の問題解決や、保護者の負担感といった学童保育に立ちはだかる多くの問題の解決について、学童保育の運営に関して具体的な実践と経験を積んだ代表が、具体的な解決策を提示することが可能です。

 学童保育の運営についても、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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