「こんな放課後児童クラブ(学童保育所)は嫌だ!」(保護者の立場編)~GW特別版です~

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。ゴールデンウイーク(大型連休)です。運営支援ブログもGW特別版として「こんな放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)は嫌!だ!」シリーズ第2弾をお送りします。もちろん、筆者萩原の独断と偏見です。気楽にご覧くださいね。
 ※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~開設時間が短すぎる!平日終わりは午後6時台、朝は午前8時なんて!
 →困りますね。放課後児童クラブは、保護者の就労等を支える目的を持っているはずなのに、とても保護者の子育て生活を支えている存在になっているかどうか、地域によっては疑問符が付くところがあります。学校がある日の閉所時刻はせめて午後7時、学校休業日や土曜日などの朝の開所は当然午前7時台、最低でも午前7時30分が標準となるように、運営側も市区町村側も意識しなければなりませんよ。運営費の半分以上を現実に占めている補助金は国民の税金です。納税者たる保護者が納めた税金です。その保護者の使い勝手が良くない児童クラブは、あってはならないですよ。
 こういうと、「子どもが長い時間、児童クラブで過ごすようになってしまう。親子関係にもよくない」と児童クラブ側や研究者から反論が出ます。ではそれを、就労先の規定でフルタイムで働かざるをえず、午前7時台から午後7時ごろまでどうしても児童クラブを利用せざるを得ない保護者に「あなたの子育ては、子どもにとって良くないですよ。もっと子どもと一緒にいられるようにしてください」と、言えますか?言えもしないことを、さも正論を装ってしたり顔で言うことこそ、現実から目を背ける背信行為そのものです。「いま、現に、そうしないと暮らせない」人を支えることを放棄して理想論に逃げ込む立場こそ現実問題をさらに悪化させるだけです。国や経済界には育児休業、育児時短勤務、介護休業や看護休業のより充実を強く働きかけつつ、現実に就労を支えるための児童クラブ開設時間を実現できるための補助金増額や制度の改定にも力を入れるべきなのですよ。保護者が「これではせっかく学童に入れても役に立たない」と途方に暮れる状態は早く無くしたいですね。
 もう1点、これは細かい点ですが、表記方法を改めたほうがいいと私が思うのは、開設時間の取扱い。かなり多くの市区町村で、午後5時や午後6時を基本的な開設時間として、その後もクラブにて子どもを受け入れる時間を「延長利用(時間)」として延長(追加)料金を徴収する方式を採用しています。この仕組み自体は、利用時間に応じた料金負担ということで合理的な理由は否定できませんが、午後6時過ぎや午後7時まで利用することが多い保護者には、心理的な圧迫感を及ぼすのですよ、「うちは、いつも延長利用だから」と。単純に、例えば利用時間を甲乙丙なりABCなりに分ければいいだけ。午後6時過ぎや午後7時までクラブを利用するのは「延長」ではなくて「通常」なのですから。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~朝の開所時間に、しょっちゅう職員が遅刻してくる!すみませんと言いながら何度も繰り返す!仕事の責任感はどうなってる!
 →ありませんか?保護者は1分でも早く子どもをクラブの管理下に渡して出勤したいのですよ。それなのに、時々、クラブの職員が遅刻してくる。午前8時開所では出勤時間に間に合うかどうかギリギリなのに、職員が遅刻して「すみませーん」などと言いながらやってくる。あのね、すみませ-んじゃ、済まないのですよ。こちらは仕事があるんです。1分1秒ごとに賃金が発生しているんです。仕事で関わる相手がいるんです。それをね、すみませーんと申し訳なさそうな顔をしていながら、数か月に1回、遅刻するってどういうことですか?
 これは事業者に大いに問題があります。育成支援の質のうんぬんを問うより、社会人としての基礎的な教育が徹底できていないというこは、事業者の組織そのものが、いい加減でだらしないということです。まして、「遅刻はもちろんダメ。でもそれをもって職員を処分するのはいかがなものか。厳しい処分は、職員のやる気をそいでしまいます」と真顔で言う児童クラブの運営関係者は「私は職員にいい人だと思われたい、うぬぼれた甘ちゃんです」ということを自覚してほしいですね。職員の給料を上げろ上げろと言う一方で、職員の社会人としての質の向上、生産性の向上に無関心な児童クラブ側の意識も問題ですし、平然と遅刻を繰り返すような職員を平然と雇用し続ける事業者もまた、程度が低すぎるのです。しかし残念ながら、そんな事業者ばっかりです。
 保護者は、こういう場面があったら遠慮なく市区町村の児童クラブ担当に実名を出して苦情を入れてください。効果的なのは、おおよその市区町村にある「市長(区長、町長、村長)へのメール、おたより」です。実名で指摘を入れることで担当部署が対応して返答を出します。匿名で苦情や意見を寄せても、何ら対応されることはありませんよ。「実名で苦情を入れたら、後で子どもが嫌がらせを受けるかもしれない。子どもが人質だから」と思うことが、すでに児童クラブ側にとっては「しめしめ」です。仮に、市区町村に苦情を入れたから子どもへの職員の扱いがひどくなったら、それこそ大問題です。差別ですから。その事業者は運営から外されてもおかしくない重大な事態です。そんなことはまず起きないので、遠慮なく保護者は市区町村に「実名で」指摘してくださいね。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~子どもの様子を知ってほしいからと参加を強制される保護者会があって、いつも職員が一方的に話すだけ。保護者が意見を言っても「それはちょっと」とか「うーん難しいですね」ばかり。だいたい保護者会の役員って何よ!保護者会の意味が分からない!
 →保護者会関係は一筋縄ではいかない問題ですね。というのは、クラブが存在するために保護者会の存在が必須となっている場合(保護者会運営)は、保護者会に入らないという選択肢が取れないからです。この場合は、家庭生活環境にとても余裕がなく運営活動任務をこなすことが難しい世帯には配慮するなど、運営に関わる担当者になる、ならないのところで現実的な配慮をすればいいのです。
 保護者会が直接、運営に関わらない場合は、「児童クラブで子どもがどのように過ごしているか職員が保護者と情報を共有したい」ということで保護者会が定期的に開催されることになります。キャンプや行事の話し合いもかねて保護者会が設定されることもありますね。そのとき、一方的に職員や会長が話をして、他の人はただ話を聞くだけという状況になっていませんか?しかも、ダラダラと時間ばかりかけて、配布してある書面を読み上げるだけ。職員から「なにか意見がありますか?」と投げかけられたとき、思い切って意見を言っても簡単にその場で退けられる。そんな会合なら、なくて充分です。
 本当に必要な会議なら、参加者が本当に参加して意見を言い合い、「議論」がそこにあります。議論がない会議は不要な会議。意見を出し合えない会議は、意味がないムダな会議です。そんな保護者会だったら無くても大丈夫ですから。堂々と廃止を主張しましょう。無くしたところで、本当に必要なら自然に復活しますから。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~「手作りのお弁当こそ、親の愛情なんですよ。お父さんお母さんも10分早く起きてお弁当を作ってくださいね」としたり顔で言う職員がいるクラブ。うちはしっかり愛情を注いでいますから!
 →困ったことに、「親が子どもにかける手数の分だけ、親子関係が手厚く、豊かになる」ということを絶対的に優先している児童クラブの支援員はかなりいます。もちろん、親が子育てに関わらない、無関心であることは児童虐待たるネグレクトそのものです。しかし、そのようなケースではなく、手作りのお弁当を作る家庭は子どもの育ちに十分関心がある家庭、手作りのお弁当より買ってきた弁当や総菜で間に合うと思う家庭は子どもの育ちに関心を持てない保護者であるという見分け方は、無意味を通り越して有害です。
 手作りのお弁当を持たせたからって、子どもが好きでもないおかずばかり、出来栄えや見た目にこだわったおかずを弁当に詰め込む保護者が、子どもの育ちに、子どもの気持ちに寄り添った保護者と言えますか?そんな単純なことすら考慮せずに「手作り=親の愛情」と簡単に判断する児童クラブ職員こそ、児童の健全育成の専門職として設けられた放課後児童支援員の「底の浅さ」を如実にさらけ出しているだけ、と認識してほしいですね。
 その家庭における親子関係については、個々の具体的な状況において判断すればいいことです。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~たまに職員が話しかけてきたと思ったら「きょう、〇〇くん(さん)がこんなことをしたんですよ」とトラブルの報告。普段の様子を伝えずに悪いことしか伝えてこないのってどうよ?
 →むかしから「便りの無いのは良い便り」と言いますが、児童クラブにて問題がない、トラブルがない場合が当然多いのですが、そういうときに子どもの様子を保護者に伝えず、誰かとのトラブルや設備を壊したなどのトラブルの場合だけ、職員が保護者に伝えることは、かなり多いですね。職員側に言わせれば「普段の様子を伝えようとしても、保護者が急いで子どもを連れて帰ってしまう」とか「クラブに来てもスマホを見ているばかりで話しかけられない」「入所人数が多くて1人1人の子どもの保護者と接する時間が持てない」とか、いろいろ言いたいことはあるんですが、それは私に言わせれば職務怠慢。もちろん保護者にも、クラブにおける子どもの様子に興味関心を持っていただきたい。それは否定しませんが、しかしそれは、職員の働きかけによって、保護者のクラブへの興味関心を醸成させるべき要素が強いのです。
 普段、きっといいことがたくさんあるはずなのに、ダメなときだけ伝えられたら、そりゃ保護者としては気分を害しますよ。そんなことで職員と保護者との関係性が強固になるはずもありません。職員は日々のお迎え時のコミュニケーション、連絡帳、週1回は出しているであろう「おたより」など、様々なコミュニケーションの場を利用して意思疎通に努めるべきですよ。

・こんな放課後児童クラブは嫌だ!~「保護者さんが休みの日はクラブを利用しないでください。仕事が終わったらまっすぐクラブに迎えに来てください。子どもさんは親を待っていますよ」とガミガミ言ってくる!
 →およそほとんどの児童クラブでは「保護者が仕事を休みの日は利用できません」と規定に設けています。法律の趣旨が保護者の就労を支えるから、という理屈なのですが、私に言わせればそれは放課後児童健全育成の本質を見誤っているか、別の本音を隠したいからです。放課後児童健全育成の本質は、子どもが健やかに育っていくこと。社会性や主体性、コミュニケーション能力を、放課後児童支援員による適切な支援、援助を受けて、子どもが自ら育てていくことです。それは本来、家庭において保護者が子どもに対して行う責務だったのでしょうが、保護者が社会を支える存在して社会における活動に参加することが欠かせない現在においては、放課後児童クラブが家庭の担うべき役割を、全てではないにしても代替して行っているのです。その児童クラブの務めは第二の家庭と言われることもありますね。さて保護者が仕事の休みの日、普段の労働の疲れを癒したい、介護や看病の重圧から解放されたいということは当然あります。子どもと一緒に過ごすことで普段のストレスを解消できる保護者は、当然に子どもと過ごせばいいでしょう。しかし、「1人でリラックスしたい」という保護者の願いを「あなたはきょう、仕事が休みなんですから子どもを児童クラブに登所させないでください」という硬直的なルールで押しつぶすことが、本質的な子育て支援になりますか?児童クラブは子どもの育ちを支える仕組みです。そこに任せることに何ら問題がありますか?これもまた極論を出して「1年じゅう、保護者は児童クラブに預けっぱなしになる」と問題点を指摘する人が児童クラブの業界にわんさかといますが、どうして「ゼロか百か」の議論にもっていきたくなるのでしょう。平日の年間休日が60日前後あるとして、その半分でも、子どもが児童クラブに登所してもいいじゃないですか。
 本音は「児童クラブに登所する子どもの数が減れば、登所している子どもに職員が関われる機会が増える」なのですが、それもまた飾られています。本音は「仕事量が減るから楽になる。特に、手間のかかる、いろいろ問題のある子が親の仕事の休みの日にクラブを休んでくれるとホッとする」からです。それは言えませんよね。「あなたの子どもが登所しないと、クラブは平和になるんですよ」って。
 仕事終わりに買い物しないですぐにお迎えに来てくださいっていうのも、ヘンですよ。どう時間を使おうが保護者の自由ですよ。仮に、閉所時刻を過ぎるようなら規定通り、超過料金を請求すればいいだけ。それを繰り返すなら規定によって退所処分も考慮することになるのはやむを得ないものです。クラブを利用できる時間帯に利用できるために料金を支払っているなら、なんら問題はありませんよ。

 <おわりに>
 放課後児童クラブの世界は、得てして、保護者の利便性を追求しようとする考えに対し「こどもの気持ちを考えていない」「長い時間、子どもがクラブで過ごすのはかわいそう」という、一見すると子どもの立場からの正論を装う意見が噴出します。それは実のところ、子どもの立場を「錦の御旗」に仕立てて児童クラブ側や行政の本音をうまく隠していることが多いのです。現実に、子育て生活に追われる保護者の日々の生活を少しでも楽にするための子育て支援の仕組みとしての児童クラブの利便性向上は必要です。「そんなに長い時間、児童クラブを利用するなんて子供がかわいそう。子育てにもよくない」という意見は別途、国や経済界に対して、育児と仕事の両立を確実とする制度の充実発展を求めていくことであって、両者をごちゃまぜにしてはいけません、というのが私の大原則です。それがごちゃまぜになっているのが、特に伝統的な児童クラブの世界には未だに残っているのが残念です。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

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