<運営支援ブログミニ57>どうして学校と放課後児童クラブの臨時休所の連絡は同時にできないのですか?

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 ミニブログです。SNSで見かけたのですが、「臨時休所の連絡、どうして学校と学童は同時に決定して連絡されないのですか?」という疑問が呈されていました。台風や集中豪雨が予報されているときの対応ですね。かつて臨時休所の通知を出す側にいた、わたくし萩原には「同時に出ないことはよくあるよね」と当たり前に思うことが世間一般では全く当たり前ではないのだ、ということを改めて認識しました。今回のミニブログでわたくしの見解を紹介します。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<臨時閉所の連絡が学校と児童クラブでは一緒ではない理由>
 まず、自治体によって違うということを前提にしましょう。自治体によっては、小中学校の臨時休校と、放課後児童クラブや保育園の臨時閉所の告知、知らせが同時に発表されたり利用者に通知されたりします。つまり地域差、自治体ごとの違いがある、ということです。児童クラブの待機児童と同じように、「そうなる、そうならないは、地域によって違いがある」ということは、認識しておいてくださいね。

 臨時閉所の連絡が学校と児童クラブではズレる、ということは例えばこういうことですね。A自治体に小学校と児童クラブがあって、学校の臨時休校の連絡が午後8時に通知されたのに、児童クラブの臨時閉所する・しないの連絡が午後9時になったとか翌日午前7時になった、ということです。閉まるのか、通常通りなのかの連絡が同時ではないということです。10分や30分程度のずれを同時ではないと受け取るか、ほぼ同時だと受け取るかは人によって様々でしょうが、ずれが1時間を超えるようだと「どうして同時じゃないの?」と思う人が増えてもわたくしには不思議ではありませんね。

 なぜ閉所するしないの連絡が一緒ではないのか。それは「情報の出どころが違う」場合が多いからであり、つまるところ「学校と、児童クラブは、別々の部署が管轄している、管理運営している」ことが圧倒的に多いからです。管理運営している担当部署が違うので、臨時に閉まる、閉めないで開けるという連絡を出すタイミングがずれることが多い、ということです。
 小学校は教育委員会など教育部局が所管となっています。教育委員会という名前なのか教育部なのかは自治体によって異なるでしょうが、いわゆる教育委員会が学校を管理監督します。
 児童クラブですが、国レベルでは「こども家庭庁」、以前は厚生労働省でした。つまり福祉のジャンルに入るのです。自治体でも福祉部局と呼ばれる部署が児童クラブを所管することがありますが、地方自治体レベルにおいては教育委員会(教育部なども)が児童クラブを所管することも珍しくないのですね。ある意味、ねじれている現象があります。ごく少数ですが保育所も教育部局が所管している自治体もあるようです。幼稚園はもともと文部科学省管轄なので自治体でも教育部局のところが多いですね。
 「児童クラブを教育委員会が担当していても、臨時閉所の連絡が学校と同時ではないことがあるのか?」という疑問には「ありえる」というのがわたくしの見解です。それは教育委員会の内部でも、小学校の管理運営をする部署と児童クラブの管理運営をする部署が異なることが通常、一般的だからです。児童クラブを管理監督するのは教育部局内においては児童クラブや幼稚園を担当する部署だったり公民館や生涯学習施設を担当する生涯学習系の部署だったりすることが多いのです。
 かつてわたくしは(出来の悪い)サツ回り記者つまり事件記者をやっていた時期がありましたが、諸葛警察署1つとっても「刑事部」「交通部」「生活安全部」「地域部」「外事部」というように担当分野によって担当部署が分かれていました。今もあまり変わりがないでしょう。刑事部はさらに「刑事1課(強行犯や窃盗犯)」と「刑事2課(知能犯、組織犯罪)」と分かれていました。外部の人が「刑事部の警察官」といっても、殺人事件を捜査する人と、詐欺犯を捜す人と、分野が全然ちがうのですね。これが都道府県警レベルになるとテレビドラマでおなじみの捜査一課、捜査二課などに分かれていきます。

 つまり、外部の人、市民や住民にとってみれば「同じA自治体」の学校や児童クラブなのに、臨時休校や臨時閉所の連絡がずれるのは「担当している部署が違うから」ということになります。

 もうひとつ、「設置主体」ー通常は自治体ーと「運営主体」との関係があります。また設置主体と運営主体が民間事業者の民設民営児童クラブでも、行っている事業ー放課後児童健全育成事業のことーが業務委託の位置づけだったり事業への補助金が交付されていたりする場合、設置主体や事業を任せる側の意向が大いに影響します。要は、自治体の意向に結局は左右される、ということです。学校側から保護者に臨時休校するしないの連絡が発信されても、設置主体や事業を任せる時違い側の段取りの遅れや連絡の遅れなどで、児童クラブの運営主体に「臨時閉所してよいですよ」などの意向が伝わるのが遅くなると、学校からの情報発信と、児童クラブ側からの情報発信にタイムラグ、時間差が生じるということも、あります。

<そんな縦割り、おかしくないですか? 市民本位じゃないですよね?>
 その通りです。たとえ担当する部署が異なっても、自治体として一丸となって市民住民に情報を発信すれば良いのです。わたくしもそう思います。
 このところ線状降水帯の予測がひんぱんに出て、災害級の豪雨が予想される状況が増えています。自治体がホームページで学校と児童クラブの開所状況を合わせて公表している地域があれば、SNSで「情報がバラバラ」と書かれている地域もあり、やっぱり地域差が激しいようですね。

 児童クラブと学校の担当部署が同じだろうが違っていようが、最終的に自治体として、情報発信の管理監督をしっかり行って地域住民に必要な情報を届ける、という意識と姿勢を構築するべきです。これは学校や児童クラブの担当部署を超えた自治体全体の意識の問題になるでしょう。改善が必要な自治体は多そうですね。

 以前も紹介したかもしれませんがわたくしの体験を紹介します。新型コロナウイルス流行初期の、全国の小中学校の臨時一斉休校の通知を国が出したときのことです。夕方に報道の速報が出ました。児童クラブの運営本部にはニュースを聞いた保護者から「明日から学校が閉まるんですが学童はどうなりますか? 閉所は困るんですが」という問い合わせが来るようになりました。
 わたくしは理事長として「何が何でも学童は開ける」と決めていたのですが、設置主体である行政(福祉部局)は「公表はまだ待ってください。教育委員会と調整が必要です」ということで、なんと一晩待たされました。翌朝のこと。保護者からの問い合わせは増えています。わたくしの独断で「正式には行政の発表を待たねばなりませんが、学童は開ける予定ですと話して構わない」と、電話に対応する職員に指示していました。
 行政側は朝から延々と部長級会議を開いています。様子をさぐると、「学校は臨時休校する、学童は開所する」という内容ではもめていないということ。ではなんで会議が躍っているのか。どうやら「いつ発表するか」で意見のすりあわせをしているということでした。もうね、怒り心頭でしたね。「いますぐでええやんか!」と頭に来ましたね。さらにわたくしをイライラさせたことがありました。担当課から「会議の内容がどうやら学童への文句に変わっている。事務局が学校は閉まっても学童を開けると保護者に伝えたようだ。順番はどうなっているんだ!と怒ってる出席者がいる」と伝えられたのです。
 あのときほど「役所ってのは何を気にするんだ。体面か? 段取りか? 市民の心配はどこにいったんだ?」と思ったことはありませんでしたね。
 それからまあ、「学校は閉まるが学童は開く」という正式な通知が行政から発出されたのですが、「保護者、市民住民のために必要な情報をいち早く伝える」というよりも、「役所内部の調整で、突出して行動する部署はあってはならない。市民住民には同時に同じ情報を届けられる環境にするべきだ」という意識の方がとても強いものだ、という実感をまざまざとわたくしは感じました。
 まあ、分かるのですよ。一部の人が有利になるような事態は、公平公正を旨とする自治体には悪い状況ですから。その「一部の人が得することがないように」という意識が結局はスピード感としては遅れてしまう、ということにもなります。
 そして大事なことは「全体に同時に届くように」という意識における「全体」とは、得てしてそれぞれの部局が担当する世界のことを指すことが多いように見えるのです。学校なら学校を利用する人であって、児童クラブ利用者のことは「世界の外のこと」です。児童クラブを担当する部局であれば児童クラブ利用の保護者であって、学校の保護者ではないのです。

 まとめますと、自治体の中の「縦割り」と「縄張り」意識が強いと、情報の出どころが別々、情報が出るタイミングも別々、となって不思議ではないということです。児童クラブは小学校と同じ部署で管理監督していることはまずありえないので、臨時に閉所するだの開所を続けるだの、という情報の出るタイミングがずれてしまうことが、大いにありえるということです。

 市民本位、住民本位として、自治体で情報を取りまとめて同時に情報を出してほしいのですが、その取りまとめに時間がかかることもあるので、なかなか困ったものですね。この、いろいろな部署の調整や横断的に機能することというのは日本社会が苦手とすることなのでしょうか。過去には旧日本陸軍と旧日本海軍の強烈な縦割り縄張り構造がありました。その点、欧米こと米国は「何を達成するべきか」の目標に到達するための合理的な手法を重視していたようにわたくしには見受けられます。もちろんそれでも陸軍のマッカーサーと海軍のニミッツとの間でいろいろあったようですが。

 ぜひ自治体の内部にいる方々、そして運営を行っている民間事業者の運営本部に属する方々は、必要な情報をできるだけ早く市民住民利用者に届けるように、苦労されていることは承知ですが、「誰が本当にその情報を必要にしているのか」という観点で、合理的な選択を重ねていただきたいと、運営支援はお願いいたします。

 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 わたくし萩原が社会保険労務士となり、「あい和社会保険労務士事務所」を開業してから1年が過ぎました。ここまで続いてこれたのはひとえにみなさまのおかげです。どうもありがとうございました。「あい和社会保険労務士事務所」は、放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしてこども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS制度を含む)に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
 第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
※ミニブログは、ページ全体の文字数が多くても7,000文字程度の投稿を指しています。また、文字数が多い場合でも「肩の力を入れずに気楽に読んでほしい」という内容の場合もあります。

投稿者プロフィール

萩原和也