<運営支援ブログミニ56>大雨や台風、大雪など気象災害が予想されるときの放課後児童クラブの開所

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 ミニブログです。台風(熱帯低気圧に変わりましたが)の接近で秋雨前線を活発化させるとして関東地方は2026年9月6日から7日にかけて災害級の豪雨が予報されていました。結果的には千葉県や東北南部でかなりの降水があったようですが、わたくし萩原の住む埼玉県はじめ心配されていた災害級の豪雨はなんとか免れたようです。当ブログ執筆時点では伊豆諸島や東北南部では引き続き災害発生の恐れがあるようですから、被害が極限まで抑え込まれることを期待します。で、こういうとき、つまり気象災害が予想されるときに持ち上がるのが「児童クラブ、開くの開かないの?」問題。多くの小学校が臨時休業を決める中で児童クラブはどうするの、がついてまわります。本当に難しい事象です。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<これが正解、というものはなかなか無い>
 児童クラブはこどもの生活の場です。どうしてそういう場が必要なのかと言えば、こどもの保護者が就労や就学、介護や看護、求職活動など社会経済活動を行うための時間を確保すること、それら社会経済活動を行っている間のこどもの安全を確保することで保護者が安心して社会経済活動に従事できる機会を保障することが必要だからです。生活の場ですからこどもたちは児童クラブで育っていく時間を過ごします。こどもが過ごす時間は漫然と預かっているのではなく、こどもが成長するために必要である健全育成をすることが児童クラブには求められるのです。これは大前提です。

 さて、気象災害の予報が出ているときにどうするべきか。「必ず閉めろ」「必ず開けろ」という考え方が交錯しますが、こどもの安全を確保するのはこどもの人権を守るための絶対的最優先事項である、ということを踏まえると、「どんなときでも『すべての』児童クラブは開所しなさい」という考え方は、運営支援は支持できません。
 一方で「どんなときでも『すべての』児童クラブは閉所しなさい」という考え方も、全面的には同意できないのがわたくし萩原の考え方です。なぜか。それは、災害が予想されるときであっても就労や各種の社会経済活動に従事せざるを得ない子育て世帯の保護者がいる、ということであれば、条件付きの開所ーこどもと、職員の生命身体の安全が確保できること。そういう状況で従事する職員に対して困難な職務に従事したことへの対価を雇用側が保障することーを行うべきだ、ということが求められると、わたくしは考えているからです。ですから、こどもと職員の身の安全が確保されないなら児童クラブは開所するべきではない。こどもと職員の身の安全が確保できる方策を運営主体(=児童クラブを運営する事業者)は徹底的に追求するべきであって、その徹底的な努力を怠って「開きません」というのは、社会インフラたる児童クラブとしては物足りないと考えるのです。

 わたくしはこのような考え方を持っていますが、もちろんこれが正解ではありません。あくまでわたくしだけの思想です。ですが、世間に広まればいいな、とは考えています。

 では社会一般的にあえて対象を広げて考えるなら、何が「最善の選択」なのか。それはもう、「できるだけ早いタイミングで、児童クラブを開所する、閉所するかの判断をして利用者や職員に通知すること。その判断の基準は公開されていること」であろうと、わたくしは考えます。

 ですから、今回の豪雨予報に際して、9月6日の日曜日のうちに閉所する、開所するの判断ができるのであったら、そうすることが良かったであろう、とわたくしは考えます。

<難しいのは、関係先があること>
 児童クラブの、気象災害が予想されるときの閉所開所の判断が難しいのは、「小学校がどうするか」という点が大いに関わることがあります。小学校はなんと通常の課業日、つまりこどもが登校して授業を受ける。しかし児童クラブは閉所する、というのではこどもも保護者も困ります。このように、関係先があることが児童クラブの気象災害が予測されるときの判断を難しくさせます。

 当然、設置主体つまり「放課後児童健全育成事業」を委託する側や指定管理者として選定した側の判断が非常に重要となります。多くの場合、児童クラブは、市区町村から児童クラブの本質である「放課後児童健全育成事業」を実施することを任されている存在です。ですから「任す側」の市区町村の判断が児童クラブ運営主体より上位にある、と言わざるを得ません。つまり運営主体だけで開所閉所を決められない、ということも判断を難しくさせる重要な要因であると、わたくしは考えます。「設置主体や委託側、指定管理者として選んだ側の意向に従う」ということが事実上求められるのです。
 児童クラブのこどもが通う小学校は通常は公立ですから、小学校の臨時休校するしないも自治体が決めるのであって、児童クラブはその判断に連動する、ということは自然にそうなるでしょう。公立の小学校が臨時休校し、公設クラブもまた閉所する、という自治体の判断があれば、それに運営主体は従うまでの話には、なります。

 なお、公設民営であれ、民設民営(放課後児童健全育成事業の事業委託や事業補助によって運営に公費が支出されている場合に限る)であれ、児童クラブの運営主体が判断して構わない、という内容の契約や仕様になっているのであれば運営主体が判断することになります。この場合ですが、わたくしが言っておきたいのは、いくら「(準)委任、委託事業だから。指定管理者の判断だから」といって自治体側がすべてを運営主体に丸投げするのは困るということです。児童クラブの運営主体が判断時点において合理的だと信じる理由があって開所するという判断をした結果、何らかの被害が生じた場合に、自治体側が「それはおたくらの判断で起こった結果」と突き放すのは、わたくしは賛成できません。現にそのようなことを数度言われたことがあるわたくし萩原ですが、設置主体である自治体は全く無関係である、という態度は自治体がとるべきではありません。運営主体からの相談に対応し、運営主体が下す判断に意見や見解を示すこともするべきです。運営主体が適切な判断ができるように情報を適宜提供し、気象災害に「強い」施設の整備に日頃から力を入れておくことも必要です。
 公設や委託事業、補助事業における児童クラブ運営に対しての自治体の完全な丸投げは、無責任です。

<急な変更は困る>
 今回の豪雨予想で、ある大きな自治体が事前に示した判断を数時間後に翻した結果、現場の運営主体が対応に追われてしまった、という事例があったようです。対象は保育所です。X(旧ツイッター)に挙げられている情報によると、9月6日の午後3時ごろに自治体が市内全園の7日休園を通知。ところが午後8時ごろ、先の休園決定通知を取り消して7日午前6時の状況で判断するように通知した、というものです。

 これは典型的な「後出しじゃんけん」であると、私は考えます。あってはならない例だと考えます。
 このたびの豪雨予報では、都内の区が「どんな状況になっても決定は変更しない」という一文を添えて前日6日に小学校の臨時休校を伝えていた、という事例があります。それが普通であり、望ましいことです。
 一方で「臨機応変」ということもまた重要な考え方です。ただ、その臨機応変は相手先、つまり児童クラブなどの事業の運営主体や現場、施設の利用者を混乱させるものでは困ります。もし先の自治体が臨機応変を盛り込んだ姿勢でいく、のであれば、午後3時ごろに出したという最初の通知において「原則臨時休園とするが、最終決定は各運営主体が翌日7日午前6時の状況で判断すること」とすればいいのです。そうであれば、保育所の運営主体ごとに、自らの状況を踏まえて適切に閉所開所の判断ができたでしょう。そうとはせず、「全園、閉めてください」と通知して数時間後に「さっきの通知はなし。朝に判断して」と後出しで示されたところで、閉所に向けて準備(それも当然、突貫で準備していたことでしょう)していた運営主体は、「いい加減にして!」と頭を抱えたくなるでしょう。本当に残念ですね。

 台風などの気象災害は「確実にこうなる」と予測することは不可能です。前日の午後から夜にかけて台風が襲来した、翌日も荒れ模様の天気予報となっていても朝から台風一過の晴天、ということはあるものです。こういう場合でも、前日に「臨時閉所とします」と決めたらそれは原則として貫くべきでしょう。または前日の通知において「翌日は好天となり被害も影響もない場合は、午後は開所します。その連絡は午前〇時までに行います」とあらかじめ決めて予告しておけばいいのであって、後の時刻になってずるずると通知内容を変更するようでは、相手側を混乱に招くだけです。やってはなりません。

<どうしても児童クラブの利用が必要な保護者だっている>
 児童クラブは社会経済活動をする子育て世帯を支える社会インフラです。荒天でも仕事がある人、荒天でも業務がある業界はたくさんたくさんあります。究極に言えば保育所や児童クラブだってそうですから。インフラ関係、行政関係は、よほど極端な大災害でもない限り、業務はありますし、どんな大災害でも警察消防国防海上保安、ライフラインの事業者は仕事があります。

 そういった仕事がある人のため、ギリギリまで、そのような業界で働いている世帯のこどもを受け入れる児童クラブは必要です。このことは、社会インフラである以上、当然であると理解していただきたいのが、わたくし萩原の主張です。

 「危険な状況で勤務させるというのは、職員の人権侵害だ」と反論の声をたくさんいただくのですが、「どんな状況でも、全員、仕事をしなさい」と言っていると勘違いされるんですね。そうではありません。自治体内でどこか1つの施設でもいいので開所して、どういう状況でも仕事に行かざるを得ないこどもの安全を確保することが重要だ、と言っているのです。どうも児童クラブの世界は「1か0」しか考えない人が多いようで困ります。
 設置主体と運営主体がしっかりと連携し、緊急時の最小限のクラブ開所の態勢を事前に整えておくこと。その場合に業務に従事する人についても事前に運営主体の内部で相談調整して決めておけばよいことです。やみくもに業務命令を出して「あなた出勤ね」では、へたくそな運営です。危急時においても最小限の受け入れ態勢を構築するために必要な準備を運営主体は怠ってはなりません。そういうときに出勤する職員は管理職になるでしょうし、あるいは特別な臨時ボーナスでも用意すれば応募者だって現れるでしょう。いずれにせよ、できる限り、子育て支援の仕組みとしては、その役目を果たす覚悟と実践が必要だと、わたくしは考えます。
 もし施設面で不可能であれば、設置主体と運営主体が施設面の不備を改善すればよいだけの話です。「今現在では」準備が整わずやむなく全施設を臨時閉所しても、将来的には最低1施設ぐらいは開所できるように準備に取り組むことが、社会インフラである児童クラブの世界に当然に求められることと、わたくしは考えます。

 児童クラブ側も「どうしてこの仕組みが社会に存在しているのか。どうして補助金が用意されているのか」まで考えたほうが良いですね。職員や運営側が「身の安全が確保できない」というのであれば「どういう状況になったら確保できないのか」しっかりと合理的に説明できるまで、理論を整えておきましょう。何も、大津波警報が出ているときの海沿いにある児童クラブを開所しろ、というのではありません。そういう極端な例を持ち出して「自然災害の時にも児童クラブを開所しろというのは、職員を守ろうとしていない」と批判する人は、大事なことを忘れています。「児童クラブは社会のためにある」ということを。それは職員の人命を軽視することとイコールではありませんよ。職員の人権を守りつつも、できうる限り、社会が機能するために必要な役割を果たしていく必要がある、ということなのです。

 そういったことをわたくしは改めて考えた、この豪雨予報でした。

 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 わたくし萩原が社会保険労務士となり、「あい和社会保険労務士事務所」を開業してから1年が過ぎました。ここまで続いてこれたのはひとえにみなさまのおかげです。どうもありがとうございました。「あい和社会保険労務士事務所」は、放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしてこども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS制度を含む)に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
 第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
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萩原和也