<運営支援ブログミニ48>消費税が1%に減税される? 放課後児童クラブ(学童保育所)運営に影響は?
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
政府は2027年度から2年間、食料品の消費税を1%に引き下げることを閣議決定しました(2026年8月5日の臨時閣議)。秋の臨時国会に関連法案を政府が提出し、国会で可決成立すれば、消費税初の引き下げとなります。野党の反対が根強いとされるので、法案の行方はどうなるか分かりませんが、もしも「食料品消費税1%」が実現したら放課後児童クラブの世界はどうなるか、運営支援が夢想します。あくまで夢想です。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<補助金は大丈夫?>
消費税を食料品限定で1%、さらに2027年6月以降は中低所得者を対象に1%分の現金給付を行うというのが、政府の考えとのことです。この引き下げでは、年5兆円、2年間で10兆円分の税収が失われる、つまり「代わりの財源」が必要とされています。しかしこの代替財源について政府は明確に示していません。
ここが非常に気になっています。つまり、2027年度と2028年度は、福祉関係の予算がバッサリ削られるのではないかと言う不安を、わたくし萩原は漠然と抱いています。なにせ、赤字国債で対応するのであれば政府や通貨への信頼がさらに失われ、きわめて質の悪いインフレーションに襲われる可能性があります。ただでさえ、放漫財政として市場から冷たく見られている日本経済です。質の悪いインフレに襲われたら減税分の値下げ効果なんて簡単に吹っ飛んでしまい、とめどもない物価上昇に見舞われて結果として中低所得者の日々の生活が現在より、もっと苦しくなる可能性すらあるからです。
さて児童クラブには国の子ども・子育て支援交付金が補助金としてつぎ込まれています。子ども・子育て支援交付金は、その財源として「年金特別会計子ども・子育て支援勘定」が充てられていると政府資料にあります。その中身で重要なのは「子ども・子育て拠出金」です。これは、厚生年金の適用事業所が支払う税金です。
こども家庭庁の資料では、令和8年度の当初予算案では2755億円が放課後児童健全育成への予算となっており、この予算に子ども・子育て拠出金(事業主拠出金)が充当されています。そして、運営費の配分の考え方として、国が負担する児童クラブへの補助金は運営費全体の6分の1ですが、それは事業主拠出金となっています。
児童クラブへの国の補助金のどれぐらいが、子ども・子育て拠出金であるのかその割合を明確に示す利用は手に入れていないのですが、ほぼほぼこの拠出金が児童クラブへ使われているとなると、消費税の1%への引き下げとは別の「お財布」なので、児童クラブへの即座への影響、つまり補助金が減額やカットされるということは、あまり心配しなくてもよいかもしれません。しれませんが、実はよく分かりません。
このあたり、こども家庭庁は、児童クラブへ使われる予算のそのお金は「どこからもってきたのか」を一般国民に分かりやすく周知広報してほしいです。
ただ、わたくしは心配しています。まず年間5兆円もの節約を、政府はしなければなりません。赤字国債でどれだけまかなうのかも分かりません(そもそも税率引き下げの法案が可決成立するかどうかも、実はよく分かりません)が、予算の節約は必要でしょう。一方で政府は、成長分野への投資に上限を設けない「青天井」を、令和9年度の予算の概算要求基準としてします。福祉の分野が成長分野としているかどうか分かりませんが、高市政権が導入した「こどもの預かり機能モデル」は、1事業場ごとに1000万円超の補助金が付いており、かなり優遇されています。こういう分野には予算を投じる一方で、既存の放課後児童健全育成事業への予算は、減りはしなくても増える期待を持ちにくいのが、わたくしの現在の想像です。アクセルを踏みながら一方でブレーキをしっかり踏む、ウラオモテある政策をこの2年間で実施されることになるわけです。
もう、どうなるんでしょう。ここでわたくしが言いたいのは「児童クラブの運営者さん、経営者さんは、もしもの事態に備えよう」ということです。つまり、このところ運営費は徐々に単価が引き上げられてきました。常勤職員2人配置の運営費が新設されるなど改善されてきました。その流れが、この後の2年間、あまり期待しないほうがよい、つまり収入がさほど増えないということを想定した児童クラブ運営組織の経営と事業運営を考えておくべきだ、ということです。
備えあれば患いなし、です。
なおこども家庭庁を担当する大臣は高市総理の側近中の側近です。総理が考える方針に全面的に賛成するどころか率先して賛同し流れを作る可能性があります。となると、こども家庭庁の予算編成にも影響があるかもしれません。そういうこともまた、「児童クラブへの補助金、当分の間はあまり増えないかもしれない。預かり機能といった民間活力導入型の施策に偏った予算の投下になりそうだ」という心配をわたくしが抱く要因です。
とにかく、2027年度、28年度は「あまり収入が増えない」ことを念頭に、いまのうちから次年度の事業計画や人事政策を考えたほうが、よさそうですよ。
<支出は増えそう>
食料品の消費税1%への引き下げは、単純に考えて、児童クラブ事業者が購入する食品の購入費用を押し下げる効果は期待できます。期待できますが、もう報道でいろいろ言われているように「7%分の下げ幅は期待できない」と、わたくしも考えています。つまり思ったほど、食料品の値段は下がらない、児童クラブで購入する、おやつや食材の費用がうんと少なく済むとは考えない方が良い、期待しない方が良い、というのが私の想像です。
というのも、今すでにコスト増で本来は値上げをしたいのに売り上げ減少を恐れて利益がかなり減ってしまうのを承知で値段を据え置いている食料品はおそらくたくさんあると想像されるからです。そもそも減るのは税率だけ。わたくしが食品の製造販売企業の経営者なら、「店頭の小売価格の目安は今までと同じで良い。税率が下がった分、販売価格をそのまま据え置けるなら、商品の製造販売コストに転嫁できる。ようやくひと息付けるぞ」と、言うでしょう。100円の商品が108円でしたが、それを101円で販売されるようにさせず、引き続き108円で売る。7円分が商品の製造販売コストに付加できます。
どうにも、税率だけ下がっても食料品の販売価格は、一部の目玉商品以外はほとんど下がらないとわたくしは恐れています。
さらにですね、市場から「いい加減な国家運営しやがって」とノーを突き付けられ、円安が加速するとさらに物価上昇が進行します。悪性インフレです。これで今よりもっと価格が上がる(というか、通貨の価値が下がる)のではないかと本気で心配しています。これは食料品以外に、エネルギー価格において最も心配です。
となると、児童クラブで買う食品の値段はほとんど変わらないか、最悪の場合なら逆に増えてしまうことだって、ありえます。前に記した「補助金が増えない」という収入面の傾向が物価上昇分に伴う支出増とあいまって、児童クラブ運営事業者の経営が苦しくなる局面に入ってしまうのではないか、という恐れを、わたくしは想像してしまいます。
こういうのは、悪いほう悪いほうに考えておくのが経営者の鉄則ですよ。そしてその最悪の事態を想定して経営、事業計画を立てる。そうすれば最悪の事態に対応できますし、最悪の事態に陥らなければダメージはもっと軽くなる。「そういう余分な備えは無駄なコスト増だ」というのは、公的な事業であり社会インフラである児童クラブ事業においては、間違っているというのがわたくしの立場です。限りなく、事業破綻、事業中断のリスクはゼロに近づけておくことが、公の事業である児童クラブの組織経営、事業運営に必要な姿勢であると、わたくしは強い言いたい。
収入は増えない、横ばい。一方で物価は上昇する。結果的に使える予算が減る。これが、消費税1%時代の児童クラブ運営になるのではなかろうか、というのがわたくしの夢想の内容です。
<保護者から>
あるテレビ局の調査では、今回の食料品の消費税1%への引き下げには過半数が賛成とのことでした。そりゃそうでしょう。「減税します」という響きは「あなたのことを心から愛しています」と同じぐらいうれしいものでしょう。
決してバカにしているのではなくて、減税がどのような影響を及ぼすかについて、深く広く考えている一般の人々はそんなにいない。それで当然です。毎日1回でも「消費税減税に伴う影響は?」と考えて暮らす一般の人々は、そりゃいないでしょう。
となると、仮にこの1%への引き下げが実現したら、2027年度の児童クラブの現場では「食料品が安くなったんだから、児童クラブの利用料もちょっと引き下げてよ」という保護者側の要望が沸き上がるかもしれません。「事業運営に必要なコストが減るんだから、それを利用者にも還元するべきです」という理屈です。
もしかすると児童クラブで働く職員、スタッフからも「食材購入コストが減った分、賃金アップに回してください」という要求があがるかもしれません。もっとも、日常的におやつや昼食材料を買い求める職員であれば「思ったほど値段が下がっていないぞ」と気づくことがあれば、減税に伴って生み出されるであろうコスト低下分を賃金に回せ、とは言わないかもしれませんが。
これからの半年、児童クラブの運営事業者の経営者や事業運営の責任者は、プロの専従の方であろうが、保護者や保護者OBOGのボランティアであろうが、事態の行方をつぶさに見守り、およそ想像できる展開ごとに対応できるシナリオ、組織経営事業運営の対処の計画を、構築しておくべきだとわたくしは言いたい。これは夢想じゃなくて、「現実に行っておくべし」ということです。
世の中、甘い話なんてありませんよ。そんなことが当たり前にあれば誰だって人生は楽勝です。甘い話なんてないから誰しも苦労して頑張って暮らしているんです。それを人生訓として、「消費税の引き下げ? おそらくもっと悪いことが起こる」と心して、対応するようにしてください。なぜなら児童クラブは、こどもの育ちを支える居場所です。なくてはならない場所です。児童クラブが急に無くなったり運営が立ち行かなくなったら、一番被害を受けるのは、こどもたちです。そしてもちろん子育て中の保護者も、働いて生計を立てている職員スタッフも、地域の児童福祉行政も破綻してしまい、みんなが困る、公の事業であり社会インフラであるからです。だからこそ、できる限りの努力をして、児童クラブが安定して継続できるようにあらゆる対処を考えるのが、児童クラブの経営者であり運営者の務めです。(だからこそ、児童クラブの経営者運営者は、毎日、胃に穴が開く苦しみを味わいながら奔走しているはず、です。すくなくともわたくしはそうでしたよ)
結びに、すでに組織経営事業運営に悩んでいる児童クラブの運営事業者のみなさま、運営支援をぜひ頼ってください。地域に根差した非営利の団体でも支払いできる程度の金額で事業運営顧問を引き受けることができますよ。日々の経営運営の悩みに、相談相手として、壁打ち相手として、また具体的なアイデアを出してもらうためにも、ぜひ、運営支援「あい和」を顧問契約先としてご検討ください。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
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わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン))
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こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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