2024年度スタート。放課後児童クラブに重大局面の年。「運営支援」の活用を!学童保育のことは運営支援へ!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。今回は年度最初の運営支援ブログ更新ということで、新年度の展望をお伝えします。

 2024年(令和6年)度がスタートし、学童保育の運営支援を掲げて誕生した「あい和学童クラブ運営法人」も、本格的に活動を開始して2年目に入ります。私はぜひ、今年度こそ、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の世界に、運営支援の取り組みを活用していただきたいと心から願うばかりです。

 2024年度は、次のようなことが児童クラブの世界を大いに揺るがすでしょう。
・日本版DBS法案(「こども性暴力防止法案」)について政府内で制度の調整が進み、児童クラブ事業者に対応が必要となる事項が次々に明らかになり、「対応できる事業者」と「対応できそうにない事業者」に二分されていく。
・「放課後児童対策パッケージ」に基づく種々の施策の実行が迫られる。夏休み短期開所クラブ、早朝受け入れに消極的な事業者は低評価となる。
・公設公営の児童クラブはもちろん、民営クラブであっても、営利か非営利か問わず、安定した運営を評価されやすい広域展開事業者がますますクラブ運営を担うケースが増える。育成支援の質より「(見た目の)安定性と(見た目の)優れた育成プログラム」が評価されて大きな事業者ほど有利になる。児童クラブ市場の占有化が進む。
・安全計画の義務化など、新たに課せられた義務について実施状況が確認される。
・昼食提供のさらなる推進など利便性向上への取り組みが期待される。対応できない事業者は低評価となる。

 いずれも、これまでの児童クラブ業界(学童保育業界)の考え方や意識でいる限り、とても対応できないことばかりです。とりわけ、日本版DBS法案への対応は児童クラブ運営事業者にとって死活問題です。この法案そのものの問題点や懸念点はごく一部の有識者で共有される程度で、圧倒的多くの保護者は、過去の性犯罪歴がある人物がクラブで勤務することを拒否するのは当然ですから、日本版DBSの導入を保護者が強く希望することは間違いありません。児童クラブは認定制度ですから認定事業者となることを事実上、強制されることになります。その結果、間違いなく、膨大な事務作業が必要となるため、小さな非営利法人や保護者運営では対応が難しくなります。さらにこれは新たに雇う人だけでなく、すでに雇用されて働いている人にも順次、犯罪歴の確認を行うことになりますから、事業者にとっては事務作業だけでも大きな負担です。ところが、保護者や行政もおそらく認定事業者となることを事実上強制するでしょうから、制度に対応できない事業者は、「うちは規模が大きな会社ですから当然、準備万端です」という広域展開事業者に取って替わられる、という事態を招きかねません。

 2024年度は、上記のような展開が実現するか、あるいは違う方向へ展開することになるか、その命運を左右する年度になるでしょう。

 どの業態であれ、市場は、シェアを拡大しつつある事業者に有利です。雪だるまは、転がせば転がすほど雪が付いて大きくなります。それと同じことです。児童クラブの業界はまさに、大きくなりつつある数社の事業者がさらにシェアの拡大を果たすでしょう。その大きな波に、いずれ、多くの地域が飲み込まれていくでしょう。正確に言えば「その波がやってくるのを大歓迎で迎える」でしょう。広域展開事業者が掲げているICT化システムや、育成支援のプログラム、職員研修システムは、「見た目」大変すばらしいので、多くの保護者や行政担当者が高く評価します。出席欠席の確認などのICT化は当然ながら必要ですが、育成支援のプログラムは本当に子どもの育成支援に必要でしょうか?有効でしょうか?そのような観点からの研究がまったく進んでいない中、大手の広域展開事業者がアピールする、あの手この手の手法に、たやすく魅せられてしまっているのが今の現状です。2024年度は、さらに多くの地域で、多くのクラブが広域展開事業者の運営に委ねられることが決まっていくでしょう。

 また地域的な事象では、さいたま市で行われるモデル事業の行方が気になります。保護者主体の児童クラブが多い地域で、いわゆる全児童対策的な事業が、それぞれの立場でどう評価され、受け止められるのか、実に興味深い。また、愛知県津島市や埼玉県北本市での今後の推移も気になります。保護者が参画する児童クラブ運営が今後も守られていくのかどうか、気が気ではありません。

 激変間違いなしの2024年度。運営主体のカタチはどうあれ、学童の運営支援を掲げる弊会は、学童保育、放課後児童クラブに関する相談事や悩み事はもちろん、どのようなことでも話を聞き、一緒に考えることができます。運営支援の最終的な目標は、児童クラブの世界で働く人たちの雇用労働条件の安定とさらなる改善です。それは、児童クラブの事業を安定させることと等しいからです。それはつまり、子どもの育成支援を確実に実施できる環境が実現されるということでもあります。

 残念ながら、運営支援という考え方は、まだまだまったく児童クラブの世界では広まっていませんし、受け止められていません。運営支援も活用されなけれは存在意義はありません。このままではそう遠くない将来、運営支援のともしびは消えてしまうことにもなってしまいます。運営支援は児童クラブの世界に必要なかったと言われれば、それまでの話なのですが、私としては、そうなってほしくないのです。まだまだ児童クラブの世界で働くほとんどの職員がワーキングプア状態にある中で、その改善を求めて社会に声を上げ続ける存在は今こそ必要だからです。

 ですのでぜひ、児童クラブの世界に関わる方は、運営支援をご活用ください。もっと知名度を上げるために活用してください。存在を社会に認知させるためにご利用ください。オファーをいただければ、(ひそひそ声で「私の生活の安定に伴って」)事業活動も安定します。
 時折、「あなたは自分が目立ちたいだけですよね?」と言われますが、「目立って何が悪いのですか?」と私は答えるようにしています。なぜなら、目立つことは手段の確保だからです。児童クラブの世界は多くの改善が必要、しかしそのことはなかなか社会や国会、議会に届かない。それは、知名度のある、影響力のある人や団体から残念ながら児童クラブに関する改善や進歩の声が発信されていないからです。だったら、運営支援がその存在を多く知られるようになり、知名度を上げ、社会に十分認知されるようになって、そこから改善や進歩を求める声や意見を発信すればいいのです。そのために、私も、運営支援も、知名度や認知度を上げようとしているのです。有名になりたいからこういうことをやっているのではありません。「有名になって、知名度を上げて」発信を社会に続けることで、児童クラブの世界、学童保育の世界の改善の機運を高めたい。ただ、それだけのことです。私と運営支援の知名度を上げることは、児童クラブの世界にもっと社会の関心を向けるための、単なる手段の獲得です。

 2024年度はぜひとも、多くのみなさまに運営支援をご活用ください。
・激変に対応できる事業運営を、一緒に考える(規則規程類の整備、事業目標の設定や理解の活動)
・職員の雇用労働条件改善のためにできることを、一緒に考える(生産性向上の取り組み)
・育成支援の事業の質を上げるためのスキルアップを、一緒に考える(セミナー、講演、ワークショップ)
・放課後児童クラブに関する現状と今後の予想、諸問題を、一緒に考える(勉強会、セミナー)
・運営者、職員、保護者、行政担当者、地域の方々と、放課後児童クラブに関することを、一緒に考える(講演、勉強会)

 社会にとって必要不可欠な制度となった放課後児童クラブのため、そこで働く人たちのため、最後の力を振り絞って運営支援は2024年に向き合っていきます。どうかご理解とご支援の程、よろしくお願いいたします。

 運営支援を行う日本唯一の組織である「あい和学童クラブ運営法人」は、放課後児童クラブ(学童保育)の世界をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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