育成支援は「託児事業」ではない。子どもの育ちと保護者の子育てを専門家の視点で援助すること。プロになれ!
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。
1カ月超に及びんだ夏季期間の学童保育も終わり、事業者は現場も運営本部も、ほっとしていることでしょう。2学期、子どもたちの中には、大きな変化が見られることもあります。夏休みの間に起きた生活や人間関係の変化から、生活リズムの乱れが元に戻らなかったり、これまで落ち着いた生活を送っていた子どもに生活の規律の乱れが生じたりと、生活において好ましくない方面への変化が生じることがあります。学童保育の職員は、放課後児童支援員や補助員含め、子どもたちの、ささいな変化を見逃してはなりません。
そのためには、普段から、子どもたちの様子についてしっかりを把握していることが前提条件となるのは言うまでもありません。以前の様子を把握して理解していないと、変化があったことに、気が付かないわけですから。
ここで学童保育で働くすべての者が改めて確認し、認識を新たにしてほしいことがあります。学童保育(この場合、放課後児童クラブを指します)で働く者は、「育成支援」を行う、「子どもの育ちを支える専門家である」ということです。
育成支援は言うまでもなく、「子どもの健全な育成と遊び及び生活の支援」を指します(放課後児童クラブ運営指針に規定されています)。この育成支援には、学童保育所だけで行われる健全育成だけにとどまらず、保護者と密接な連携をとり、保護者が安心して子どもを育て、子育てと仕事等を両立できるように支援することが必要と、運営指針に明記されています。子ども自身への支援と同時に、学校等と連携して、「子どもの生活の基盤である家庭での養育を支援することも必要である」とも、明記されているのです(運営指針第1章総則の3 放課後児童クラブにおける育成支援の基本(2)参照)。
つまり、放課後児童支援をはじめとする学童保育所の職員は、学童保育所における子どもの様子だけを見ていればよいのでは、決してないのです。学童保育所内で子どもが元気に遊んだ、過ごした、それだけを気にしていればいいというものでは全くありません。親子関係、家庭での子どもの立場、境遇にもしっかりと注意を向け、子育てにおいて子どもだけでなく保護者も何か困ったことがないのかを、常に気にかけておくことが、当然の職務なのです。
まして「学童保育所で暴れていた子どもが親のお迎えが来ると態度を一変させる」という光景が、もし学童職員の目の前で繰り広げられたら、職員は即座に、その子の、保護者との関係について、ありとあらゆる可能性を考慮して直ちに対応に取り組むべきなのです。虐待の可能性があります。強固な抑圧関係が固定化されている可能性があります。あらゆる可能性を想定するべきです。
それが、「学童保育所で働く者の、育成支援における専門性」の、基礎中の基礎である職務であるはずです。
学童保育所で働く人はいつも、「社会が学童を評価してくれない。子どもをただ預かっているとしか見てくれない。専門性の評価が無いから給料も高くならない」と、不平不満を口にします。SNSにも不満がいっぱい投稿されています。
社会の、学童保育に対する厳しい評価というものは、子どもを実際にただ預かっていることの仕事だけしか行っていない学童保育所の職員が実際に存在しているから、社会が正しい評価を学童保育所に向けることがないからだと、考えてほしいのです。SNSの投稿を読んだ人たちが、あるいは、実際に託児レベルで仕事をしている職員の仕事ぶりを目にした保護者が、学童保育に対する厳しい評価を下しているのです。
学童保育所の仕事は確かに厳しすぎる雇用条件で、直ちに改善が必要です。だからといって、専門性の向上に取り組まずに、楽な託児に逃げ込んで、子どもや保護者と向き合う、時間も気苦労もたくさん必要な取り組むから避けていたら、いつまでたっても、学童保育に対する社会的な評価も専門性の認知も、広がりませんよ。ずっと、「学童は託児、単なる子どもの居場所」として社会に存在することになってしまいますよ。それはすなわち、職員の賃金はずっと安いまま、ということにも、なるのですよ。
学童保育で働くすべての人は、自らが社会に対して示さなければならない「職務の専門性」について、もっとシビアに認識しなければなりません。「自分は専門性を意識して仕事をしている」と思うだけではダメです。「社会が、外部の第三者が、あなたたち学童保育で働く人たちを眺めて、プロだ、プロの子どもの支援者だ、と認識すること」が必要なのです。第三者から認知される、認識されることです。
そのためにも、「指導員」と名乗るようでは学童保育にとって迷惑ですね。学童で育成支援をする者は、子どもの生活を指導するのですか?違いますよね。運営指針に「指導する」という単語がありますか?指針に無いことを名乗って、子どもの指導を業としていることを世間に認知させることは、学童保育の健全な発展にとって、害悪そのものです。一刻も早くやめていただきたい。指導員と名乗ることは学童保育の評価と価値を、内部からズタズタに傷つけていることを自覚するべきです。放課後児童支援員資格が無い者に対してはやむを得ないということであれば「支援員」と呼称するべきです。専門性と異なることを連想させる業務を名乗ることが、どれほど事の本質を傷つけるのか、その程度の自覚すらできない社会規範の低い者が多い実情が、私にとっては大変残念です。
まとめます。学童保育で働く者は、現場も運営本部もすべて、クラブの現場だけで子どもの育ちを支えることだけが任務だと、くれぐれも誤解しないようにしていただきたい。子どもも、保護者も、まとめて、「子育て中の今の時間」において支援をすることだと、認識を新たにしてください。子どもと遊んでいれば仕事OK!と思う者と、「子どもを指導する者」と世間に誤認させる「自称・学童指導員」は、直ちに考えを改め行動を正しくしてください。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育における子どもたちや職員の安全の確保について種々の意見提言を行っています。学童保育の運営に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った運営の方策についてその設定のお手伝いすることが可能です。
育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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