「打倒!小1の壁クエスト」第7話。学童保育の料金も、運営も、フシギがいっぱいだ!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 「打倒!小1の壁」クエストです。主人公は、来春にお子さんが新1年生となるご夫婦。学童保育の料金や利用時間帯の説明を聞いたら、またまた疑問が増した2人。なんか、利用する側からすると、ちょっとずれてるなぁと思った2人でした。

 ~打倒!小1の壁クエスト~第7話:学童保育の料金も運営も、フシギがいっぱいだ!

(前回までのあらすじ)入所申請書を提出する前に、料金や利用時間について運営本部に問い合わせた勇者パパ。結構、高い料金とシビアなお迎え時間に、疑問がわいてきたのでした。

 毎月の料金が、おやつ代を入れて1万6500円になると聞いてびっくり。しかも午後7時を過ぎることが3回あったら強制退所。いったいどうしてそういう仕組みなのか、2人はハギに疑問をぶつけてみることにしました。
勇者ママ「教えてほしいんです。これから入所を申し込む学童保育所の料金が高いと思うんですよ。保育所と全然違う。保育所も学童保育も、同じじゃないんですか?」
勇者パパ「それに、午後6時までが基本で、それ以降は延長だなんて、どうして午後7時まで普通に開所できないんですかね?」
ハギ「毎月の負担額じゃな。まあ確かにわしも、料金は安い方がよいと思っておる。学童保育は児童福祉法という法律に記載されておる仕組みじゃから、しっかりと公費の負担がなされれば、もっと安くなるんだがの」
勇者ママ「では、1万6500円は、ぼったくりということ?学童を運営している人たちが儲かってるってことですか?」
ハギ「いやいや、そんなことはまったくないはずじゃ。むしろ、学童で働いている人は間違いなく、お給料は激安じゃ。このあたりだと、キャリア数年で、せいぜい手取り17万円前後かの」
勇者パパ「そりゃ、人件費が一番コストがかかる、それぐらいは理解できます。それにしても、他の地域では1万円ぐらいのところがあると聞いているんで、それと比較するとどうにも高さが際立っちゃうんですよね」

 次々と料金について不信感を示す勇者パパと勇者パパ。それに対し、苦笑いを浮かべつつハギは答えます。
ハギ「そもそも、学童保育に対して国が出している補助金というのが、保育所と比べて低いんじゃ。保育所の事はあまり詳しくないがの、60人定員の保育所はだいたい700万円ぐらいと聞いておる。学童保育の場合は460万円ぐらいじゃ。あと、保育所と同じく学童保育にも、開いている時間や日数や資格を持っている職員に対する補助などがあるんじゃが、そもそも、職員3人分の補助金としてしか、計算されていなんじゃ」
勇者ママ「3人じゃ少なすぎませんか?見学に行ったとき、6、7人ぐらい職員がいましたよ。パートさんがほとんどでしたけど」
ハギ「国はの、補助金と同じ額のお金を、学童を利用する保護者から集金してね、と言っておる。だから合わせて、6人ぐらいの職員は確保できることになるんじゃが、今は、給料が安いと人がなかなか集まらないから、もらえる補助金の額だけじゃ、足らないんじゃ。だからわしは、国はもっと補助金を増やすべきだと言っておるし、特に保護者から集めるお金の割合をもっと下げて、国がもっと出すべきじゃと言っておる」

 ふと疑問に思った勇者パパ。じゃあ、あの1万円ぐらいの料金の学童はどうやって人を雇っているんだろう。
勇者パパ「1万円ぐらいの料金の学童がありますよね?それはいったい、どうやって人件費を確保している?」
ハギ「簡単な事じゃ。給料が極端に安いんじゃよ。学校がある日は午後だけの数時間勤務にして、時々は午前中から研修もするようじゃが、そもそもが非常勤雇用からして、月給は月に15万円いけばいいほうじゃ」

 確かに、保育士の給料がかなり低くて社会問題になっているとは聞いたことがありました。学童保育も同じ構図なのかと改めて認識した2人。それでも1万6500円、うち2500円はおやつ代にしても、ちょっと高いかなという気持ちはぬぐえません。
ハギ「1万数千円台の学童保育所の場合は、たいてい、そこで働く正規職員を無期雇用として、長く働いてもらうように処遇していることが多いんじゃ。そうすることで、育成支援という学童保育の任務を、長く、継続してできるようになるから、質も上がるんじゃ。安いところはたいていは契約職員や非常勤職員で、数年もしたら顔ぶれが変わってしまうことも多い。だから、育成支援の質が高いとは、なかなか言いずらいんじゃよ。つまり、料金の差は、質の差になって現れることがある、ということじゃ。まあ、高い給料をもらっても、あきれるほど低レベルの職員も、いるがの。ほほほほ」

 子どもが安心して通える質の高さが、毎月の、お高めの料金が支えているとならば、やむを得ないかもしれないけど、と思いつつ、もう1つ気になった受け入れ時間についても聞いてみました。
ハギ「あ~午後6時が基本閉所じゃな。昔はの、それでもよかったんじゃ。近場で働いている人が多かったからの。いまは遠くに通勤している人が増えているんじゃが、学童保育の世界は、なかなか昔の状態から変えようとしないところがあるんじゃ。国の補助金も、そんな実態に合わせて午後6時以降が長時間開所扱いとなっておる。ということは、午後6時までが基本という考え方が根底にあるんじゃな。もちろん、今の時代、まったくふさわしくないがの」
勇者パパ「それで、午後7時まで別料金なんですね。でもちょっと納得できないな。今の時代、女性のフルタイム勤務も多いのに、午後6時閉所が基本で進化しないのは、おかしいと思うんですよね」
ハギ「まあそう思うのが普通じゃな。わしもそう思う。ただ、学童側にしてみると、給料が安い、さらに長時間労働ということで、抵抗したい気持ちが強いんじゃな。今はそうではないが、昔は学童保育の職員の労働組合がいっぱいあって、開所する時間を伸ばすことには強い反対もあったもんじゃ。勤務時間が増えた分、別途支払う賃金に充てるために別料金を徴収するので合意にこぎつけたという理由もあったようじゃ」

 「保護者会は何をするんですか?保育所では、懇談会なら半年に1回あったけど、学童はなんか毎月あるみたいで、忙しいのになんでそんなに集まらなきゃいけないんですか。すごい負担ですよね!」と勇者ママはご立腹です。
ハギ「まあまあそう怒らんでも。これも難しい問題じゃ。これを説明するにはあと1万文字が必要じゃが、ぐっと圧縮するとな、保護者のお力を借りて運営に係るコストを節約してきた歴史があるんじゃ。運営面じゃ。プラス、子どもの育ちを学童の職員と一緒に話し合っていこうという、この2つの点で、保護者会が必要とされてきたんじゃ」
勇者ママ「運営は、保護者がするのはおかしいと思うんですけど。パパが聞いた話だと、必要な連絡を保護者が行うとかいろいろやらなきゃいけないらしくて」
ハギ「わしも、そう思うんじゃが、昔から事業をしている歴史のある学童保育になればなるほど、保護者が参加する学童保育を理想とすることが多いのう。確かに昔は、本当に補助金が少なくて、運営のための人を雇う余裕がなかったから保護者が肩代わりしなくちゃならんかった。だが、今はもう、学童保育の中身が専門性を求められるようになったからの、しっかりとした運営責任者たちが運営に取り組まないと、事業継続が難しい時代になったんだがのう」
勇者パパ「保護者が運営の責任を負うということは、例えば、もし職員が子どもにヘンなことをしでかしたら?」
ハギ「当然、保護者が運営責任者であれば、法的な責任を負うことになるの。使用者責任しかり、事業運営に関する善管注意義務しかり。場合によっては損害賠償責任を負う羽目になるかもしれんの」

 驚いた勇者ママと勇者パパ。その顔を見てハギが続けます。
「まあ、そういうことも、保護者にとっては、学童保育の小1の壁と言えるかもしれんの。保護者に全面的に運営の責任を負ってもらう学童保育所は、最近減っているからの。おまいさんたちが入りたい学童保育所には、専従の運営者がいるから、保護者はお手伝い程度じゃ。だから賠償責任などは心配せんでもよいはずじゃが、それでも、何かイベントで子どもの見守りを依頼されたとき、よほどさぼっていて子どもが事故に巻き込まれたら、当然、責任は負うことになるがの。ま、それは、学童とは関係なしに、お友達の家庭の子どもを預かったときだって同じだがの」

 いろいろと、今までの生活では意識したことがなかったことが、学童保育の世界にはいっぱいあると知った2人。入所申請書の提出日が、まもなくやってきます。次回はどんな展開が?「打倒!小1の壁」のクエストで、小1の壁について学んで、一緒に打倒法を考えましょう。(たぶん続く)

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育に関連する多くの問題、小1の壁の問題解決や、保護者の負担感といった学童保育に立ちはだかる多くの問題の解決について、学童保育の運営に関して具体的な実践と経験を積んだ代表が、具体的な解決策を提示することが可能です。

 学童保育の運営についても、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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