学童保育所で「困っている子どもたち」を支える専門的な仕組みを取り入れよう。臨床心理士巡回事業等が効果的。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育所には、多くの子どもたちが在所しています。子どもたちの中には、他の子どもたちと同じような行動が難しい子ども、他の子どもたちや職員に対して時には乱暴な行為に及ぶ子どもたちがいます。世間一般に、「学童保育所で子どもたちは遊んだり宿題をしたりおやつを食べたりして、楽しく過ごしている」と思われがちかもしれません。しかし、現実の学童保育所の多くの施設で、いわゆる「問題行動」と呼ばれる行動、すなわち、他者と上手に関われない子どもたちが、学童保育所に多く在所しているのが事実です。

 もちろん、そうした子どもたちが悪い、ということは全くありません。ですが現実に、問題行動を頻発させる子どもたちと一緒に過ごすことをためらってしまい、学童保育所を辞めてしまう子どもたちもいます。対応する職員にも、心理的に追い込まれて離職するケースもあります。

 残念なことですが、そうした状況を知った保護者や、信じられないことに放課後児童支援員や組織運営者の中にも、「問題行動を繰り返す子どもには、学童保育所を辞めてもらうのが一番」と、広言してはばからない人も、いるのです。もちろん、それは絶対にあってはならないのです。

 「問題行動」とひとくくりにしてしまうのも、私としてはどうかと思うのですが、便宜上、あえて問題行動という単語を使用していきます。当たり前ですが、人間の行動には、その行動を引き起こす「理由」が必ずあります。問題行動と呼ばれる行動を起こす子どもたちにも、その行動を起こす理由が当然、あるのです。そして多くの場合、子どもたち自身は、その問題行動を意図的に起こしたくて起こしているわけではなく、「やむを得ず」、結果として、問題行動に及んでしまっているということを、子どもの育成支援に関わる者は、理解をしなくてはなりません。

 問題行動を引き起こしてしまう子どもたちの要因は何かを考えることが、この事態を解消する上で、当然必要になってきます。その点で、私がぜひとも学童保育所の組織運営者が取り入れてほしいのは、専門家を交えた多角的、総合的な対応システムの導入です。

 具体的には、学童保育所、小学校、行政担当機関(子どもの発達に関することを取り扱う部署)に所属する臨床心理士や作業療法士、児童相談所、児童精神医学の専門医を交えた会議(カンファレンス)の設定です。当然、学童保育所が単独で設定することは難しいため、行政(市町村)が主体となって設定することが基本です。
 当該の子どもの保護者にも、協力を当然、求めるべきでしょう。

 問題行動で学童保育所にて過ごすことが自他ともに大変困難となっている場合、「何が」その子どもを苦しめているのかを、事実や事例をもとに調べ、子どもを苦しめている原因を除去する方策を探り、実際に支援に関わる者が実行する。そして実行の過程を詳細に記録し、一定期間後に改めて検討のカンファレンスを開催する。この繰り返しになります。

 実際、埼玉県上尾市においては2016年度から臨床心理士による巡回事業を実施し、大きな効果を上げています。また岡山県はじめ各地で、作業療法士が子どもたちに関わることで、問題行動への対応がうまくいっているという報告があります。何より、対応に苦慮している現場の放課後児童支援員のフォローとして効果的に機能しています。

 言わずもがな、学童保育所は子どもたちの生活の場であって、そこで子どもたちの最善の利益が守られることが必要です。それは、問題行動の結果、心理的に追い詰められたり物理的な打撃等を受けたりして苦しむ子どもだけでなく、問題行動を起こしてしまう子どもたちにこそ、育成支援に関わる者が寄り添って対応することが必要なのです。

 この点で欠かせないのは、実際に支援にあたる放課後児童支援員と補助員、そして組織運営者の姿勢です。臨床心理士や児童精神医学専門医の専門的な知見に基づく助言を確実に理解し、助言に基づく育成支援計画を立てて実行することが必要なのです。これは実はかなり難しい作業で、放課後児童支援員の育成支援スキルが問われる場面です。単に子どもが好きだから程度の動機で放課後児童支援員として働いているようでは、実行が難しいものです。放課後児童支援員はチームとして育成支援に当たる他の職員と一緒に、育成支援計画をチームとして実施していくことが必要です。その育成支援計画が、専門家の助言と相違することであっては困るわけです。

 学童保育所で過ごす子どもたちは、大変なストレスを負っています。家庭でも学校でも、「いい子」でいなければならない空気感の中で、学童保育所はそのような「縛り」「重し」がない空間であり場所。いきおい、子どもたちは、普段はため込んで隠している「子どもらしさ」=自由に、やりたいことに挑み、遊び、自己を満足させる行為を、何倍ものパワーで発揮しがちなのです。定型発達の子どもたちでそうなのです。
 また、外部情報のインプット、アウトプットが難しい発達障害の子どもたちや、発達障害に近い子どもたちにとっては、学童保育所での集団での行動が苦痛であることが通例です。障がいのある子どもたちを支援する専門的な職員の加配制度がありますが、配置できる人数に限りがあることや、加配職員の専門的な見地不足もあって、発達障害などの子どもたちへの効果的な支援も、なかなか難しい現状があります。

 だからといって、そのままにしておくことも、まして学童保育所を退所させようなんてことは、絶対にしてはなりません。どんなに手間がかかっても、大変であっても、子どもたちが自分たちで未来を切り開くための援助を、学童保育所はしなければなりません。

 行政担当機関と相談し、学童保育所で困り、悩んで、苦しんでいる子どもたちと、職員をフォローする仕組みを、早急に整えましょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所の運営に関して生じる種々の問題について、効果的なアドバイスができます。問題行動への対応策の構築方法はもちろん、リスクマネジメントとクライシスコントロールについて、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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