<運営支援ブログミニ46>夏休みの放課後児童クラブ(学童保育所)は「ほうれんそう」を大切に。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 夏休みの放課後児童クラブは、朝から夜までの一日開所が続きます。現場クラブの職員はほとんど現場で従事します。運営本部や事務局機能を備えている児童クラブ運営事業者の場合は、現場と本部とのやりとり、情報共有が学校課業日と比べるとその回数も時間も減りがち。だからこそ「ほうれんそう」を大事にしましょう。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<ほうれんそう>
 報告と、連絡と、相談。組織において絶対に欠かせないことですが、組織があわただしく動く期間はなかなか徹底が難しい。児童クラブ運営事業でいえば、朝から夜までの一日開所が続く夏休み期間中がまさにその期間となります。
 夏休み期間中の児童クラブ運営は、放課後に児童が登所してくる学校課業日と比べると、当たり前ですが現場職員は現場につきっきりになります。児童クラブを運営する民営の事業者には、「1法人・団体が1ないし数個の支援の単位の、ごく小さな事業者で、運営本部的な機能は特に持っていない」事業者があれば、「複数クラブを運営しており、運営本部や事務局のようなバックオフィスを備え運営業務専従の役職員が従事している事業者」もあります。複数の自治体で児童クラブを運営する広域展開事業者のように、各地域に事業運営本部、地域事業所のような出先機関を設けてそこで運営業務を担っている形態もあります。

 いずれにせよ、夏休み期間中は、現場における育成支援事業に従事する職員は現場につきっきりになりがちなので、組織運営や事業運営を統括したり責任を負ったりする立場の職員と、現場職員との間での連絡や打ち合わせ、相談に使える時間や機会が大幅に減ります。
 「顔を合わせばあれこれ指摘してくる本部の人と顔を合わせる機会が減るから、せいせいするわ」という猛者もいますが、組織運営事業運営を担う側と、現場でこどもと保護者の援助支援に従事する側は車の両輪。お互いに連携していかないと、全体としての児童クラブ運営事業に差しさわりが出るのは当然でしょう。

 ですが、学校課業日と比べると両者の連携、打ち合わせや相談に充てられる時間がどうしても少ないゆえに、困ったことも起こりがちです。
「普段であればすぐに対処でき解決する性質のトラブルなのに、両者の連携不足で問題がこじれてしまった」
「運営本部側が現場に要請する、熱中症やけが防止の具体的な指示が、なかなか現場の各職員に伝わらなかった」
「保護者や外部の方々からの依頼や相談が、運営と現場の双方にしっかり浸透しなかった」

 普段なら、しょっちゅう顔を合わせる機会があるので、問題やトラブルも大きくこじれる前に芽を摘んで解決できるのに、夏はどうしても朝から夜までの育成支援業務の比重が大きくなるので、それ以外の業務や対応に時間や人をなかなか当てられずに、問題がこじれてしまう、ということがありがちです。
 運営本部側も現場クラブを巡回訪問して「何か困っていませんか?」と聞いても、現場はこどもや保護者への援助支援にかかりきりで、相談したり報告したりする時間をなかなか確保できない、ということもあります。

 だからこそ、改めて意識しておきたいのが「ほうれんそう」です。

<最優先に>
 夏休みの児童クラブは「ほうれんそう」を最優先業務と位置付けましょう。
「報告、連絡、相談は、何をさておきその時間を必ず確保する」
「報告、連絡、相談は、その場の責任者が率先して行う」
「忙しい現場の実情に応じた、報告、連絡、相談の手段や機会を考えておく」

 いずれも「そんなこと分かり切っている」と思われることですが、分かり切っていると考えていることが実際に実施できるかどうかは別問題であって、現実的にあたふたしてしまうこともあるのです。とりわけ、どういう手段や機会でほうれんそうを実施するか、それは運営事業者やクラブの実情に応じて異なるでしょうが、しっかりと確立しておくことが求められます。電話なのかSNSなのか、自転車で数分行けば運営本部があるのでそこに職員が行くか(又は運営側から人を派遣するか)は、それぞれに考えて実施すればよいでしょう。
 また、それぞれの持ち場の責任者は、あらゆる出来事、事象に関してその取扱いに関する重要度の優先順位を判断し、「これはすぐにほうれんそうだ」「これは落ち着いた時間が取れそうな数日後にほうれんそうだ」「これは急がないから気に留めておいて夏休み運営が終わったら本部と相談しよう」などと考えることになります。この判断を間違わないようにしましょう。判断に悩んだらそれこそほうれんそうです。

 なお、外部の方が関係することは極力、現場と運営本部が事態情報を共有していきましょう。外部の方は、児童クラブが夏休み期間の運営であろうが、普段の放課後の運営であろうが、どういう運営状況の違いがあるかなんか知る由もありませんし、そんなことは外部の方々に関係のないことです。「夏休み中は現場と運営本部で、あまり協議相談する機会がないもので、結論は9月以降で」なんて内部の事情は外部の方々に関係ないことです。
 外部の方々が関わる問題ごとや相談ごとは、対応の優先順位を常に最上位ランクにしておきましょう。

<ほうれんそうは「確実に届けること」>
 夏休み期間中に限らず、ほうれんそうは確実に相手に伝えること。いや、「伝わったことを確認すること」です。伝えた「つもり」では、「伝えた」ことにはなりません。相手が「確かにそのことは聞いた。知った」と「伝わった」ことではじめて、ほうれんそうが成立します。
 特に、大事なことを伝えようとしたけれど、伝えたい相手先が留守だったり離席だったりで直接、伝えられなかった場合は伝言やメモで対応した人に情報を届けることを依頼することになりますが、これに注意です。うまく伝わらなかった場合、業務としては情報の仲介を依頼指示された人の業務執行上の問題になりますがそれは組織内部の話であって、情報がしっかりと伝えたい人に届かなかったことによる影響は組織全体の問題となります。
 ほうれんそうをしたい相手側がすぐに確保できなかった時の伝達リレーにはとりわけ注意しましょう。

<ほうれんそうは、自ら作れ>
 組織でありがちな失態は「みなさん、しっかりほうれんそうしてください」と、組織の偉い人が呼びかけるだけで実際に情報や状況の報告や連絡を発信する立場にいる側が、ほうれんそうを実行できないことです。これには「ほうれんそうをしなさいと言われたのでその通りにしたら『そんなことをいちいち伝えてこないで自分で判断したらどうだ』と叱責された」ということがよくあります。また「大事だと思ってほうれんそうしたら『ああ、それね。気にしないでいいからね」と軽くあしらわれたので、二度とするもんかと思った」ということもありがちですね。

 ほうれんそうを呼び掛けるのは基本的に事態や問題の解決や解消に関して最終的に責任を負う立場の者が多いです。クラブでいえば主任や施設長ですし、運営本部では事務局長や部長、全体でいえば理事長や代表理事という立場の方々です。えてしてそういう方々は口を開けば「ほうれんそう」なのに、実際にほうれんそうをしてくれた職員への対応が、おざなりです。
 わたくし萩原は断言します。
「ほうれんそうは、ほうれんそうを求める立場の者からまずは行うこと」
「ほうれんそうを受けたら必ず謝意、感謝を示し、そしてほうれんそうによって組織運営上、有利な点があったならそれを評価して待遇面に反映させよ」
 この2点をやらずして、ほうれんそうは実効性を持ちません。まずは「偉い人」から、当たりをやわらかく、優しくほうれんそうを行いましょう。
 ほうれんそうをこまめに行う職員で、そのほうれんそうで少しでも事業運営上に有利な点が認められるなら、人事上の評価を行いましょう。しっかりと表彰規程を設けたうえで、わずかでもいいので目に見える形で還元しましょう。月数千円の褒賞でいいですから。

 「ほうれんそうは、組織を強くする。自分たちの立場も有利にする」という意識を根付かせることです。そしてそれは、職員同士の連携の機会が確保しにくい夏休み期間中にこそ徹底するべきですよ。
 夏休み期間中の運営は児童クラブ運営事業者を強くするんだ、ということです。

<おまけ>
 ほうれんそうが分かりやすい標語となっているのはもちろん野菜の「ホウレンソウ」があってこそです。野菜のホウレンソウ、いまでこそごく当たり前の野菜ですが、わたくし萩原が小学生だった1970年代後半の記憶では、漫画「ポパイ」の影響で、「人間をパワーアップする、すごい野菜」という位置づけでした。そう言えば漫画のポパイも、そのキャラクターも、今ではなかなか目にしませんね。20代の児童クラブ職員や保護者さんは、そもそも知らないかもしれませんね。
 力持ちの水兵(要は海軍の兵隊さん)のポパイは、ホウレンソウを食べると途端にパワーアップするのです。恋人のオリーブが「ポパ~イ!」と叫ぶその様子は昭和のこどもたちはよく口にしていたものです。

 ホウレンソウは人体にとても良い野菜、というイメージが漫画の影響でも認知されていたのですね。ということはですね、人体に良い、ということは「癖のある野菜」でもあるということです。わたくしが小さいの頃のホウレンソウは、葉っぱの色が強い緑色で、根っこが真っ赤の東洋種が多く、クセが強かったので好き嫌いが多い野菜の1つでした。ピーマンとホウレンソウがダメ、というこどもは決して珍しくなかったのですよ。
 いまのホウレンソウは、根っこがあまり赤くない、葉っぱの色も優しい緑色の西洋種が中心です。癖もさほどではなく、今ではサラダで生食もできるホウレンソウも一般的になりました。
(なおさらに余談ですが、わたくし、新人記者だった1992年、赴任先の静岡市の支局で勤務していたのですが、「サラダホウレンソウがブームへ」という記事を取材して書いたことがあります。いくつか八百屋さんをめぐりましたが、サラダホウレンソウが出回りかけたころで、取り扱っている店もあまり多くなかったことを覚えています)

 ホウレンソウは体に良い、体を丈夫にする野菜。そういうイメージが、組織を丈夫にする「報告連絡相談」のほうれんそうにも重なったのでしょうね。
 
 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
※ミニブログは、ページ全体の文字数が多くても7,000文字程度の投稿を指しています。また、文字数が多い場合でも「肩の力を入れずに気楽に読んでほしい」という内容の場合もあります。

投稿者プロフィール

萩原和也