熱中症についてこども家庭庁が注意喚起。ありがたいですが本当に必要なのは、こどもが過ごせる環境実現だ。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 こども家庭庁が2026年7月29日、放課後児童クラブでの熱中症に関してさらなる注意を呼び掛ける通知を出しました。7月1日に出した通知に内容を追加しての再度の通知です。児童クラブでの熱中症発生リスクに関して、国も真剣に考えていることが伺えて評価しますが、隔靴掻痒(「かっかそうよう」と読みます。意味がわからない人は検索しよう!)です。大事なことは、「どうすればこどもと職員が熱中症のリスクが少ない場所で過ごせ、熱中症リスクを気にせずこどもたちが遊べる場所をどうやったら確保できるのか」なのです。ここに触れないようでは、「口先番長」と呼ばれてしまいますよ。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
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<通知>
 国が発出した事務連絡は「放課後児童クラブにおける夏季休暇中の安全管理の徹底について(再周知)」です。https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/beacf6d1/20270729_policies_kosodateshien_houkago-jidou_89.pdf
 冒頭に囲み記事で「全国的に猛暑が続いており、酷暑日も発生していることから、本年7月1日に発出した事務連絡に熱中症予防に関する事項を追記しました。各自治体においては、再度内容を
ご確認の上、管内事業者・事業所への周知をお願いいたします。」とあります。

 では、7月1日に発出した事務連絡で熱中症に関する記載はどうだったのか、抽出します。
「(3)熱中症の予防について
近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていますので、熱中症予防の普及啓発・注意喚起を行う等、対策に万全を期すようにしてください。その際、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラート等の関連情報を収集し、こどものみならず、放課後児童支援員等職員の安全確保にも努めるようにしてください。」
(ここまで)

 では、再度の周知ではどうなったでしょう。抽出します。
「(3)熱中症の予防について
近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていますので、熱中症予防の普及啓発・注意喚起を行う等、対策に万全を期すようにしてください。その際、環境省の「熱中症予防情報サイト」等から、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラート等の関連情報を収集し、こどものみならず、放課後児童支援員等職員の安全確保にも努めるようにしてください。
また、猛暑が続いている地域における、屋外施設等での外遊びには特に留意する必要があります。また、こどもと職員の安全の観点から、「暑さ指数に応じた活動の目安の例」(別添)を参考にして、各事業所や利用する屋外施設等の立地や建物の環境を踏まえて、活動内容に応じた対策や実施の判断について検討するようにしてください。
なお、こどもに対する熱中症予防に関する助言等も重要です。こどもの発達段階等を踏まえて、こども自身が身を守ることができるよう、情報提供(水分補給のタイミングや遊び方に関する掲示、声掛け等)することも有効です。
(※以下、囲みで
【参考サイト】
○文部科学省
・熱中症・水難事故防止関連情報
https://anzenkyouiku.mext.go.jp/heatillness/
○環境省
・熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/
・「熱中症環境保健マニュアル 2022」(2022 年 3 月改訂)
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php#manuals
※同マニュアルは現在改訂中であり、2025 年 7 月に総論部分のみ改訂さ
れています。
○公益財団法人日本スポーツ協会
・熱中症を防ごう
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html)
(萩原注記:最終ページに、囲み記事で、暑さ指数に応じた活動の目安の例、を紹介している)
(抽出ここまで)

 ちなみに2025年度の通知はこうなっていました。
「(3)熱中症の予防について
近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていますので、熱中症予防の普及啓発・注意喚起を行う等、対策に万全を期すようにしてください。その際、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラート等の関連情報を収集し、こどものみならず、放課後児童支援員等職員の安全確保にも努めるようにしてください。」
(2026年の最初の通知と全く同じ)

<もうやっています>
 追加の通知では、熱中症に関する情報を入手できるウェブ際のURLが追加されたことと、最終ページに、「暑さ指数に応じた活動の目安の例」が新たに加えられました。
 活動の目安では、例えば、暑さ指数31度以上では、運動は原則中止、となっています。

 わたくし萩原の想像ですが、「およそまともに運営している児童クラブなら、暑さ指数に応じてこどもの活動内容を決定している」ことでしょう。よほどいい加減な運営なら「夏場はずっと屋内で」と決めているでしょうが、そういう児童クラブがあればぜひ運営支援にご連絡ください。そういえば奈良県内にある、最大手の広域展開事業者が運営する児童クラブでは、職員数が足りなくてこどもを外に出さなかった、ということが議会で取り上げられましたね。

 わたくし萩原が児童クラブ運営責任者だったときも、いま、運営支援として運営に関わっている児童クラブも、当然ながら暑さ指数、また気温や室温を常にチェックして、こどもの活動の内容を決めていました。それは現場任せではなく、運営の責任者である萩原が熱中症警戒アラートや、暑さ指数の情報をもとに毎朝、もしくはすでに分かっている場合は前夜に、運営する全クラブに毎回毎回、その都度、こどもの活動内容の指示と、熱中症軽減のために水分と塩分を念入りに補給するように求めるメールを送っていたものです。

 熱中症の恐れがありそうな気温や状況なら、現場職員はこどもの外遊びを慎重に判断します。まだ気温が上がりきらない午前の早いうちに、10分や15分、最長でも20分だけの外遊びと徹底したクールダウンを組み合わせた外遊び活動を計画し、実施する。それが、まっとうに運営している児童クラブです。

 はっきりいえば、このたび、こども家庭庁が追加で通知したことは、「注意喚起」「念には念を入れよ」において正しいですし、良かったことと運営支援は評価します。評価しますが、そこに書かれている内容は、およそまっとうに運営している児童クラブや、こどもの体調管理をしっかり職務として捉えている、ごく普通の放課後児童支援員であれば、とっくに実践していることです。

 もちろん、大事なのは、「まっとうではない」運営をしている児童クラブへの呼びかけであり、「国は児童クラブの熱中症対策に取り組んでいますよ」というアピールです。それは分かりますが、隔靴掻痒です。

<本当に必要なのは>
 本当に必要なのは簡単なこと。「熱中症リスクが低い室内環境が実現できる、児童クラブ施設の整備提供」であり、「熱中症リスクを気にせずこどもが活動できる環境の準備提供」です。
 前者は、こういうことでしょう。
・こどもの人数が多すぎて室温が上がりやすい環境の解消。つまりギュウギュウ詰めの解消。適正人数の児童クラブの実現であり、大規模状態児童クラブの解消。
・断熱性に劣る、古い施設から新しい施設への移転。当然、エアコンは新しくて強い能力なもの。
・エアコンの能力が劣るなら、最新型のエアコンへの更新。
・断熱性に劣る施設で移転もできないなら、断熱性を向上させる工事の実施。
・エアコンを連日フル稼働させても、電気料金の心配をしないですむ、電気料金への補助。
・上記のことを自治体が行うための国の財政支援。運営主体が行う際の手厚い補助の実施。

 後者では、こういうことでしょう。
・小学校の施設で空調が完備されている部屋を児童クラブのこどもたちの活動に使えるようする。その手続きを簡便にし、当日に思い立っての利用ができるようにする。
・自治体内で学校側と児童クラブ側で夏場の施設利用に関して利用協定を結ぶ。児童クラブ側がこどものたちの活動に学校施設を活用できるようにする。
・学校だけではなく自治体が管理運営している公共施設で、空調が完備されている施設を児童クラブのこどもの活動に活用できるようにする。公民館や公共の体育館など。
・国、中央省庁がいくら「児童クラブと学校で連携して」と書面で通知しても、とりわけ学校側に「なんで児童クラブなんかに施設を貸さねばならないのか。壊されたらどうする」とか「児童クラブのこども? 学校が開いてないときのこどもは学校のこどもではないから関係ない」という態度を示す教職員が存在するのは残念ですが事実です。学校側による児童クラブへの無理解や蔑視によって悩まされている児童クラブ現場職員は大勢います。つまり、文科省がいくら言おうが、市区町村の首長部局が、あるいは基礎自治体の教育委員会の本部がいくら言おうが、「現場の小学校の校長や教頭」が、「児童クラブとの連携は大事だ。夏場の児童クラブのこどもたちの過ごす場として学校を活用するのは、こどもまんなか社会としては当然だ」という理解にならなければ、国がいくら書面を出しても、ほとんど効果はありません。「夏場の児童クラブに配慮ができなかった者は、分かっているよね」ということを教職員たちに理解していただく人事政策が必要だとわたくし萩原は考えます。
・小学校の管理職に「児童クラブとは、こういうことをする場です(なかなかできていない事業者や職員はいますが、それは申し訳ございません)ので、ご理解とご支援をお願いします」と、研修を受けさせること。

 つまり、「実効性」のある熱中症対策を、半ば強制的に行うような施策を国がひねり出すことです。児童クラブは市町村事業ですから国があれこれ強制はできないとしても、補助金による「アメとムチ」というお得意の手法はありますよね。もっと言えば、児童クラブの現場の熱中症対策に後ろ向きの自治体に対して、あらゆる局面で国が難色を示す、そのような姿勢を察知した広域自治体もまた基礎自治体に難色を示す、というお役所の世界ならではの「有象無象の圧力」も、それなりに得意でしょう。そういう裏の手を使ってでも、夏の児童クラブでは熱中症リスクを気にしないで活動できる時間と場所の確保に、本当に苦しんでいるのです。

 想像してほしいのです。来る日も来る日も、こどもたちが、施設内で座って過ごすことを余儀なくされている状態を。毎日、DVDを見せられて過ごすことを求められているこどもを。発散したくて、元気に運動したくてたまらないのに「外に出てはダメ」として施設内でイライラを募らせてしまうこどもたちの、やるせない気持ちを。
 そしてそのようなこどもたちに「ごめんね」と謝って残念でたまらない児童クラブ職員の気持ちを。

 児童クラブは、適切な遊びと生活の場です。その双方が整って、こどもの健全育成が可能となります。熱中症による活動制限によって、適切な遊びが実施できないことは、こどもにとって不利益です。また、熱中症のリスクを高める老朽化したエアコン設備や児童クラブ建物施設、また大規模状況による室温上昇は、生活の場としての機能を阻害しています。
 夏の熱中症対策は、児童クラブの本旨である「適切な遊び」と「生活の場」を、いかにして現実的に確保確立するかが重要です。「こういうときは、こうしましょう」と、このたび国が示したことで解決できるなら、今のこの時点で、夏の児童クラブは何も困りません。そんなことは百も承知だから。児童クラブの現場はそこまで馬鹿ではありません。
 「涼しい場所を用意してくれ。涼しい場所で遊べるように国や自治体は児童クラブに配慮してくれ」という児童クラブの願いをかなえる実効性のある提言と施策、具体的な措置を、運営支援は、こども家庭庁に大いに期待します。
 
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
New!☆
こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

※こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf

わたくし萩原が寄稿した記事が 「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」で2026年5月29日に公開されました。「“産業化”の大波に飲み込まれる学童保育…企業はどう収益を上げているのか?事業構造から見える放課後育成の実情」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40665
 2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事も公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。こちらもぜひ読んでいただけるとうれしいです。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也