育成支援の現場と運営側にも必要なのは「伝令の神ヘルメス」。放課後児童クラブ(学童保育)は必ず確保しよう。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
放課後児童クラブの現場(=育成支援を業務として実施する場所)と運営(児童クラブ運営事業者の運営本部や事務局等、いわゆるバックオフィス)に何より必要な人、欠かせない能力を持った人は、どういう人だと思いますか? わたくし萩原の考えは「連絡調整のスペシャリスト」です。連絡調整の能力が抜きんでた、連絡調整おばけ(注:最大級の誉め言葉)であり、伝令の神ヘルメスが絶対に必要です。
※2026年3月3日(火曜日)と4日(水曜日)の運営支援ブログは投稿を行いません。他、予告なく投稿を休む場合があります。ご承知おきください。
※当面、ブログ投稿をSNSで告知いたしません。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<連絡調整>
連絡調整とは、従事する者にとって、ごくごく基本的な業務ですし、行動です。連絡調整とは具体的にどんなことがあるでしょう。連絡と調整それぞれについて無数にあるでしょうが、「業務予定を同僚や上司部下に伝える」ことや「状況を第三者に伝える」、「個人又は集団が行いたいと考えている行動や措置について第三者に伝えて了解を求めたり修正の意向を受け取って行動や措置の変更や軌道修正を働きかけたりする」という、およそ仕事をしていく上で誰しもが当たり前に行っていることです。
連絡と調整はおよそ他者(個人、集団、組織)とのやりとりであり、コミュニケーションです。つまりは、コミュニケーションが連絡調整の本質であり、コミュニケーション能力の優劣が連絡調整の質の良しあしを決めることになるでしょう。
連絡調整のうち、連絡は情報共有に関わる分野ですが、調整はもっと高度な内容を求める分野です。意志をもった複数の存在の、その意志をすりあわせて、時には妥協させたり我慢させたり軌道修正させたりしつつ、最終的に複数の存在が1つの目標、ゴールに向かって動き出すまで、その環境を整えるのですから、複数の存在が常に業務に従事している上では極めて重要な役割です。連絡はそれを意識的に行うことを常に心掛けていればできる範疇でしょうが、調整は職場の中では職位が上がれば上がるほどその能力が求められます。職位が上の立場の者は、現時点や将来について「何を為すべきか」を決めなければなりません。「何を為す」ことを決めたり判断したりする人や、そのような人を支えるポジションの人にとって調整は、必要不可欠な能力です。
<児童クラブの命運を左右する>
まず児童クラブは、複数のこどもの生命身体を守る場所です。ときには登所してきたこどもが1人ということもあるかもしれませんが、生命身体を守るのに1人も複数もその使命の重さに違いはありません。ただ複数のこどもが登所していることが通常ですから、それだけ、連絡調整が重要となってきます。こども数人と、こども数十人とでは、行われる連絡調整の行動の数は比較にならないほど違いが出てきます。室内で過ごすこどもがいれば外遊びをしているこどももいる、室内で宿題をしている子がいれば部屋の隅っこで集まって談笑に夢中なこどもたちもいます。学校から登所してきたこどももいますし、あるいは登所予定のこどもについて「下校班で帰っちゃったよー」とクラスメイトのこどもから言われて「大変! 学校に連絡しなきゃ」とあわてる職員だっています。
1つの場所において、その時点に取り組んでいることが異なっている個人や集団が複数存在しているのが児童クラブであって、しかもこどもゆえに大人(職員)には予測不可能な行動や判断をとっさに行うこともある状況のもとでは、「いまはどういう状況なのか。次に起こりうる状況は何か。このまま時が流れるとどのような状況に変わっていくか」を職員同士で常に共有して考え、その結果で導かれた判断や結論を職員やこどもたちと、常に共有し理解を等しくしていくことが必要です。
ここで留意したいのは、児童クラブは通常、それほど多くない職員でその場を管理運営していることです。こどもが40人登所していたら、職員は5、6人が御の字でしょう。シフトの都合によっては4人、あるいは3人の職員でその日を運営しなければならないことだってあるでしょう。
職員数が10人も十数人もいれば、それはそれで連絡調整は密に行われねばなりませんが、逆に5、6人程度の少数であればこそ、「少人数の職員で必要不可欠な様々な業務を欠かすことなく、失敗することなく、着実に実施する必要がある」ので、連絡調整については、その精度の高さは欠かせないものになります。あやふやな伝え方や、必要な情報共有に不備がある状態で業務を続けていては、少数の職員ゆえに手が届かない、目が行き届かないことが生じてしまい、結果的にトラブルを招くことになります。
これこそ、児童クラブにおいては連絡調整おばけ、コミュニケーション能力が秀でた者が必要な理由です。比較的少人数で業務に取り組まねばならないという環境が、常に情報共有や情報の吸い上げについて積極的に取り組んで行動できる職員をより強く必要とするのです。少数精鋭で業務をこなすには、絶対に落としてはならない、忘れてはならない業務を確実に遂行する必要があります。それを支えるのが連絡調整です。クラブの施設長や主任が、連絡調整大好きで得意であればいいのですが、その場の組織のトップが連絡調整について「抜けて」しまったり得意ではなかったりする場合は、トップを支える者が連絡調整おばけになって「いま、こういう状況です。どういう判断になりますか?」とトップに指示を出すことを促すことができれば良いのです。
クラブの現場に連絡調整が得意なものがいなければ、あるいは連絡調整の大事さを身に染みて分かっている者がいなかったら、どうなるでしょう。それは恐ろしい結果を招きやすい、つまり取り返しのつかないハザード、大事故や大災害を招くリスクが高まります。こどもがぐったりしている様子をみかけた非常勤の職員が「あれ、どうしたのかな?」と不思議に思ったとして、それをそのままにしておくか、あるいは連絡調整おばけ職員がいて常に「こどもたちに変わったところはない?」と他の職員たちに声をかけていた結果、「そういえばあの子、ちょっと元気が無いみたいです」と、尋ねられたことに応答したら、「なんですって? 確認しましょう」という次の行動につなげるわけです。その結果、「さっき頭をぶつけた」「ちょっと体がだるい」などこどもから異変をうかがわせる情報を得られる可能性が高まるのです。
連絡調整は現場のみならず運営側、経営側にも必要な能力です。複数のクラブを運営している事業者であれば、いろいろな方針や指示をもれなく複数クラブに伝える必要がありますが、連絡調整が行きとどいていなければ、必要なことを遂行できなくなるクラブが現れる可能性があります。例えば夏場、熱中症の発生を避けるために必要な業務上の指示に関して運営本部から現場に伝えねばならない内容に関して連絡や調整が不十分であれば、こどもや職員に熱中症をおこしてしまうかもしれません。
こどもであれ職員であれ、「人の生命身体の安全」を最優先に確保しなければならないのが児童クラブの現場です。連絡調整こそ重要であり、連絡調整の必要性を認識していなければならず、連絡調整のスキルに長けた人員が従事していることが必要です。
<具体的にどういう行動か>
・常に情報を収集すること。
→クラブの現場ならこどもや職員の様子で少しでも気になったことがあったら問いかける、尋ねてみる、事情について話をさせる時間や機会を確保する。
・入手した情報を速やかに共有すること。
→話を聞いたり尋ねたりして入手した情報を、自分の独断ではなく組織や集団として検討、判断する場に伝える。
・次の行動に速やかに取り組むこと。
→見聞きしたり収集した情報について、その情報を基に次の行動や業務の内容を決めることができる立場の者や集団にできる限り速やかに伝え、次の局面において必要な判断や指示が速やかに下される下地を作る。
・自分だけではなく特に職位が上位の者に情報を伝え、次の行動の指示や判断を出す環境を整えること。
→いわゆる「サブ」「副」と付く立場の者であればここを最優先の任務と理解するべきです。「副官」「秘書」というのはまさにそのような立場です。
・情報を積極的に「取りに行く」こと。
→情報が常時かつ多数集まるようにしなければなりません。児童クラブの場合、少人数ゆえ抱えている業務が多くて個々の職員は常に張り詰めて、いっぱいいっぱいの状況で業務に取り組んでいることが圧倒的なので、情報は「相手からやって来る」のではなくて「こちらから取りに行く」ことを肝に銘じるべきです。何かトラブルや困り事が起きた時に「言ってくれないと分からないよ」ではダメです。児童クラブの正規職であれば自ら積極的に情報を収集することが必要です。パートやアルバイト職員が積極的に情報を出してくれるとは限りません。
・その場において最善の結論を出すために、常に現状そして将来の目標を理解していること。
→調整の場において必要です。いま行うべきことは何か、何をすればこどもや職員、ひいてはクラブや運営事業者にとって最善の結果となりうるのかを判断し、そのために各方面に「すりあわせ」をすることが調整です。調整は最善の結果を出すために必要な行動ですが、その最善の結果を出すために必要な行動の方向性を見誤ってはなりません。調整をする者、調整を他者に促す者は、「いま、なにをするべきか。それは目標目的とずれていないか」を確認し続けねばなりません。
・組織として「連絡調整こそ、最重要業務の1つである」と意識づけをしていること。
→ややもすると、具体的にこどもや保護者と直接かかわってやりとりする人が「仕事をしている人」と見られがちなのが児童クラブです。クラブ職員たちや保護者、あるいは外部の機関(学校や地域の団体など)とやりとりをして情報を取りまとめてそれを他の人や会議体に伝える人は、「直接、こどもや保護者と関わる仕事ではない」から、軽視してしまいがちです。違うのです。こども、保護者や学校などど直接にやりとりする業務は、その業務の方向性が組織の考えている方向性と合致して初めて、意味のある業務となります。個々の任務が組織の目指す使命と方向性を同じくできるかどうかは、連絡調整の具合に左右されるのです。よって、「あの人はこどもと関わる時間より、誰かと話している時間が長い。さぼってる!」と一概に決めつけてはなりません。中には本当に無駄話をしているだけの人がいるかもしれませんが、話の内容がこどものことや保護者のことで現状の判断や将来に必要な業務の指示を下すための情報提供をしている人を、軽視してはなりません。
<クラブの中に「ヘルメス」が必要です>
ギリシア神話の「オリンポス12神」の中に「ヘルメス(ヘルメース)」がいます。伝令の神です。最高神ゼウスの使いとして有名ですね。神々のトップクラスが集う12神に、伝令の神が含まれていることに改めて注目しましょう。そうです。情報の収集と伝達は、古の人たちも極めて重要と考えていたのですね。
ではヘルメスになりうる人はどんな人か。もちろん「コミュニケーション能力」にすぐれた人です。「こういう人には話しかけにくいんだよなあ」ということが多い人は連絡調整能力にすぐれているとは言えません。仕事だから割り切ってやれ、というのはそれはそうなのですが、機敏な情報を得るには自分はもちろん、相手にも警戒されるような人では、なかなか連絡調整任務は務まりません。ヘルメスは雄弁の神でもあります。まあ、頭の回転がものすごく早いんでしょうね。智謀に長けているというか。ヘルメスはなんと泥棒の神様でもあります。
気が利く人。機知に富む人。相手の顔色を見て「今はこういうアプローチがいいな」とすぐに判断できる人です。わたくし萩原が思うに、いわゆる戦国時代の三傑、織田信長、羽柴秀吉、徳川家康であれば、やっぱり秀吉タイプでしょうね。
手が早い人。別に危ない意味ではありません。行動が早い人です。気になったらすぐに行動して、現地に赴いたり電話をしたりメールを送ったりして、情報をせっせと集めることができる人です。そして得た情報をこれまたすぐに上司や組織に伝えて共有できる人です。ちょっと話がずれますが(いつもずれまくりですが)、わたくしは「組織(及び組織の中核人物)の勢い、パワー」を図るのに、組織から帰って来るメールや電話の返事を尺度にしています。送った問いかけや質問、確認に、できる限り速やかに返信、返事ができる組織は「勢いがある、活発な組織であり、優れた中核人物が率いている」と判断しています。それはすぐに結論をよこせ、ということではなくて、「それについては後日、協議検討の上、結論をお示しいたします」ということをすぐに伝えてくることでも満たされます。「えー、そんな問い合わせかあ。まあ、あとで返信するか」と後回しにしたら結局、返事を忘れてしまうなんてことがあるでしょうが、そういうことを起こさない人は、ヘルメスさんです。(そういえばギリシア神話のヘルメスは危ない意味でも手が早かったような)
「情報の価値」を骨の髄まで理解している人です。これもまた「実践こそ児童クラブで大事」という、現場主義や実践主義が幅を利かす児童クラブ業界ですが、実践や実務から得られた情報から本質を分析したり先の展開を予測したりする能力も必要です。それこそ、情報の価値を理解している人です。あるいは、国や自治体が発する通知や意向を正確に捉え、それが児童クラブの経営と運営にどのように影響するであろうか、その影響度、脅威度を冷静に判定する能力を持つ人が必要です。これはまさにインテリジェンスの重要性を理解できているかどうか、そのものです。これについては組織の責任者や組織そのものが、情報の価値を心底、理解している必要があります。いまでいえば、日本版DBS制度ですね。これに関する情報はもうかなり国側から発せられています。その情報をどのように受け止めて理解するか、その組織の経営と運営の能力が試されている期間がまさに今なのです。
クラブや、運営本部また経営責任を担う機関決定構成員の中には必ず連絡調整おばけ、その組織のヘルメスを確保しましょう。それもまた1つのリスクマネジメントです。組織防衛です。保護者運営系クラブであれば、非常勤役員の保護者だっていいんです。アンテナを張り巡らしてキャッチした情報を、日々の実務を取り仕切っている立場の者に伝えて注意を促したり善処を求めたりすることは、できますよね。非常勤であっても組織経営と事業運営に責任を負っているのは当然ですから、少しでもより良い児童クラブ運営ができるように、連絡調整に心を配ることは、どのような立場の者だってできるものです。
ぜひとも、連絡調整が得意な人に、その権限を与えて思う存分に活躍させましょう。稼働人数が少ない児童クラブこそ、適材適所で、かつ、組織が存分に業務執行できるように必要な情報という栄養素を組織の隅々に届けることができる仕組みが必要です。ヘルメスさんの素質がありそうな人は、どんどん重用していきましょう。それが組織の安泰につながります。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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