ガソリンの値段が爆上がり。相次ぐ物価高に放課後児童クラブは大ピンチ。福祉の業界に国は緊急対策をするべきです。
放課後児童クラブ(学童保育)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。ガソリンの補助金が段階的に縮小されます。まず12月19日から始まり、すでにガソリンの店頭価格は上昇しています。他の物価も軒並み上昇中。放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)にとっては厳しすぎる冬になります。国の緊急対策が必要です。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<ガソリン、いくらになりました?>
ガソリンなど燃料油の価格は国際情勢の変化や為替の影響で近年ずっと上昇傾向です。そこで政府は2022年1月から補助金を出して価格をなるべく抑えるようにしてきました。その補助金が段階的に撤廃されています。NHK首都圏ナビの「もっとニュース」12月19日配信の「ガソリン価格 今後どうなる 政府補助金の縮小は1月も 小売価格にはいつ反映?」を一部引用します。
「2022年1月から政府はガソリンなどの燃料価格の負担軽減策を続けています。原油価格の高騰を受けたもので、2023年10月以降はレギュラーガソリンの小売価格が1リットルあたり175円程度になるよう石油元売り各社に補助金を支給しています。2024年12月19日からは、この補助金が1リットルあたり5円程度、縮小されます。」
(引用ここまで)
記事では、小売りの価格には2~3週間程度で反映とされています。本当でしょうか。
というのもですね、私の住んでいる地域(埼玉県上尾市)ではそうは思えないのですね。最近のガソリンの価格は11月下旬までは比較的安いスタンド(キグナス石油)ではリッターあたり165円でした。それが12月に入りリッターあたり169円になりました。今週の初めまでその価格でした。さいたま市見沼区のエネオスも167円や169円でした。
さて本日(12月21日の朝)ですが、エネオスは173円や175円でした。19日を境に値上がりしました。記事では2~3週間程度で反映とありますが、となると、1月になるとリッターあたりさらに5円程度値上がりするのでしょうか。これは参りますね。
埼玉は全国でも比較的、ガソリン価格が安い地域になります。長野県は余裕で180円を超えているようです。輸送コストで価格差が生じるのは致し方ないとはいえ、児童クラブへの補助金は全国で同額ですからね、経費がよけいにかかる地域に補助金上乗せという仕組みはありませんから、なんとかしてほしいですね。
ガソリン価格の上昇は児童クラブに関係ないでしょ、と思わないでください。燃料油の上昇による悪影響は次のものがあります。
(1)輸送コスト上昇による価格上昇による経費増大。児童クラブでは多くの物を購入します。子どもが使うもの、食べ物。灯油。それらが値上がります。経費が余計に掛かります。運営に影響します。
(2)送迎支援を行っているクラブは直接、ガソリン価格上昇が影響します。
(3)職員の出費の増大。車出勤の人はガソリンや軽油代が値上がりして家計に影響が出ます。児童クラブ職員の生活を圧迫します。
ガソリンは物流を動かすエネルギーですから、そこが値上がりすれば運送会社は運送料を値上げすることになります。それは商品価格に転嫁されます。児童クラブが購入する商品の値段が上がっていくのは当然です。
<その他も値上がりで困る>
令和の米騒動と言われたコメ不足は、鳴りを潜めたようです。確かに今は、スーパーマーケットなどでコメが売り切れになっている状況はほぼほぼ解消しています。しかし、上がった値段はいっこうに下がっていません。高値で安定しています。
コメの生産農家の人はそれでもまだ値段が低すぎるとして苦境を脱するにはさらなる米価の上昇が必要という状況のようです。コンバインや田植え機、肥料、何もかも値段が上がっていてとてもコメを作って利益が出ないというようです。それを思うと、まして日本人の主食であるコメですから、コメの農家さんをしっかりとささえていかねばならないという思いはあります。しかし、昨年は5キロ1,500円も出せばそれなりの品質のコメを購入できたものが今は3,000円を出さなければ購入できないのは、やはり何かがおかしい。これこそ、欧州のように、農業は国家が保護する者だとしてコメ農家に直接、補助をする等して政策的にコメ農家を守りつつ、主食であるコメの小売価格が国民の購買力に見合った価格になるように一定程度のコントロールをしていただきたい。それが自由経済に反するというのであれば、国民の購買力を上げる政策を速やかに実行するべきですね。このままでは、国産米は所得の高い層しか購入できず、大多数の国民は外国産米(それだって従来の倍の値段ですよ!)を買うようになるでしょう。外国産米は輸入上限が決まっていますが、値段の安さから国民が相次いで外米を買うようになればその制限も撤廃されるでしょう。それは確実に日本のコメ農家へ壊滅的な打撃を及ぼすでしょう。それで喜ぶのは誰なんでしょうね。カリフォルニアのコメ農家は大喜びですよね。
コメ離れが進めば小麦の消費量が増えます。小麦は国産ではとてもまかなえません。輸入するしかありません。コメ離れが進んで小麦の消費量が増えると輸入が増える。小麦を輸出する国?アメリカ?大喜びですよね。
とまあ、おやつに、おにぎりを出そうにも、コメが高いと無理ですね。児童クラブなど福祉施設が食料品を買う際は一段と低い軽減税率にするなどの政策的な配慮をしていただきたいですね。
そして電気と水道です。こちらもどんどん料金が上昇しています。これは直接に児童クラブの運営経費増大を招きます。もう、あらゆるモノが値上がりしています。
<上がらないのは賃金だけ。上げなければならないのは?>
最低賃金は上がっています。それは事業者が労働者に支払う賃金の絶対的な下限。その下限が上に上がることは、最低賃金とほぼ等しい賃金体系の児童クラブの世界で働く人にとってはありがたいことです。しかし、相次ぐ商品やサービスの価格上昇によって、ただでさえ運営が苦しい児童クラブの事業者は、どうしても人件費を抑えざるを得ない。その結果がつまり最低賃金とほぼ等しい給料が当たり前の児童クラブの世界ですが、最近の急激な物価上昇は、その傾向をさらに強固にしています。
どうしたって現状では、児童クラブで働く人の賃金は、そうバンバンと上がる要素がありません。補助金の増額ペースが大変緩やかだからです。反面、あらゆる価格がどんどんと上昇するわけですから、相対的に児童クラブの職員の生活はどんどん苦しくなっていきます。だいたい、ごく少数の大ベテランを除いて平均年収200万円台の職業ですよ(年功序列で給与が決まることが多い児童クラブ業界にも改善の余地は大いにありますが)。生活が苦しいことは言うまでもありません。このままでは、ますます、児童クラブで働く人は減ってしまいます。増やせません。
一方で、児童クラブを必要とする子育て世帯は増加を続けています。あちこちの児童クラブで定員超過の状態になっています。ついには国は、放課後児童クラブでなくてもいいからとにかく待機児童を収容する場所を作って、と本末転倒なことまで言い出す始末です。どれもこれも政府の、児童福祉政策に対する発想の貧困と、補助金の額が低すぎる補助金の貧困の2つが招く失策です。
しかしただ文句を言っているだけではこの状況は変わりません。
声を上げましょう。声を上げねばなりません。
「このままでは児童クラブの運営が成り立たない」
「このままでは児童クラブで働いて生活が成り立たないので、働く人がいなくなる」
その声は、実名で発せられなければなりません。SNSにおいて匿名でいくら苦境を訴えても「よくある世間の不平不満」でおしまいです。組織や業界団体が声を上げ、議会で取り上げてもらうように活動をせねばなりません。この相次ぐ物価増に対応する国の緊急対策を求めるべきです。
そうでもしないと、全体の3割超が株式会社運営クラブになっている現状においては、物価高でも利益を確保するために、児童クラブ運営企業が職員の人件費をさらに抑制していく事態を招きます。補助金が児童クラブ運営企業の利益に化けるのは腹の虫がおさまりませんが、まず働いている人の生活がさらに苦しくなっていく状況だけは、真っ先に解消されねばなりません。行き過ぎた利益確保を抑制する仕組みの整備はその後に必ずやってもらいましょう。
それで絶対に良くなる?そんなことは分かりません。しかし、何も行動しなければ何も変わりません。動けば、何かが変わるかもしれない。何かが変わるように頑張って動けばそれだけ変わる可能性が増えるはずです。
だから、声を上げましょう。私も声を上げ続けます。一緒に声を上げていきましょう。
<おわりに:PR>
弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
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放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。いまのところ、「おとなの、がくどうものがたり。序」と仮のタイトルを付けています。これは、埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。出版にご興味、ご関心ある方はぜひ弊会までご連絡ください。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ぜひご連絡、お待ちしております。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)