本音と建て前。表と裏。放課後児童クラブ(学童保育所)の世界にはそんなオモテとウラなんてものはない! とは言えません。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
この世の中は本音と建て前、表向きと内輪向け、であふれています。正論があれば曲論もあります。決して、部外者には知られたくない仕組みですが、オモテとウラが併存することで社会が動いていることがあるかもしれません。では、こどもたちの健全育成を支える放課後児童クラブの世界には、あまり知られたくないことがあるのでしょうか。
※当面、ブログ投稿をSNSで告知いたしません。外部URLをX(旧ツイッター)に投稿することを繰り返すとアカウントが凍結されるおそれがあるようです。凍結されたら一大事です。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<否定しません。本音は誰にだってある>
わたくし萩原は以前、新聞記者でした。新聞は、ニュースを世間の皆様にお伝えする仕組みです。ではニュースとは? わたくしが教わったのは「だれかの喜怒哀楽を、他の人に伝えること」だと先輩たちに教わりました。悲しい事件も、喜ばしい出来事も、1人でも多くの人に伝えることで共感や共鳴をする人が増えると社会全体が動く、変わっていくことがある。わたくしは学生時代に本田靖春さんの著書を読んではジャーナリズムの力に胸を躍らせたものでした。とてもとても立派な記者になることはできませんでしたが、それでも大学を出て20年ちょっとですが記者の世界で過ごせたことは今でもよかったと感じています。
で、何かの機会で見かけたのですが、テレビが白黒だった時代、当然わたくしも生まれていませんが、NHKで「事件記者」というドラマが人気を集めていたとあり、そのドラマの映像の一部分に、殺人事件発生の知らせを受けた記者たちが「待ってました」とコートを羽織って部屋から外に出ていくシーンがありました。いまの時代であれば絶対にそんな描写はできませんね。人が殺められている悲劇をとらえて「待ってました」と記者たちがいきりたつシーン。もう、人権意識のかかけらもありません。ダメです。AUTOと書いてアウトです。
一方で記者稼業は、「きょうは、紙面に載せられる、ニュースバリューがある記事を書けるだろうか」というプレッシャーにさいなまれる日々です。まして、デスクー紙面づくりの直接の責任者ーともなれば、日々の紙面をどう「埋める」ーニュースを揃えるーのかは、これはもう本当に強烈なプレッシャーが毎秒毎秒、重くのしかかってくるものです。わたくしも新聞記者時代の最後5年はデスクとして毎日2ページの紙面づくりをしていましたが、当時のあのプレッシャーは今思い出しても「よくあのとき生きて居られたな」と思うほどです。常に「何か事件が起きれば」と思っていました、正直に言えば。それが本音でした。家の湯船につかりながら「ちくしょう、明日の紙面を埋める記事が無い。何か起きてくれ!」と憂鬱になっていた日々ばかりでした。「なんだこれは、真っ白な紙面じゃねぇか!」と編集局長に怒鳴られるシーンの夢はもう数えきれないぐらい味わいました。そして汗びっしょりで起きるしんどさときたらもうそれはそれは。
もちろん「だれだって安心して平和に暮らせる世の中でなければ」とそりゃ思うのですが、いざ仕事のことを思うと「なんか起きてくれないか!」と願うもう1人の自分がいたものです。「中トロが起きないかなぁ」とボヤいていたものです。出来事の大きさをトロに例えるのですね。「中トロ」は数日はそのネタで食っていける、「トロ」は今日の紙面は埋められる、そして「大トロ」は下手したら1か月はそのネタに付き合わねばならないという具合です。わたくしが「中トロどっかにないか?」とボヤくと部下の記者たちから「最近、旨いスシを食ったことがないですよ」とか、口さがない記者になると「いいマグロがいる場所を見つけるのが萩原さんの能力でしょう」と言ってきたものでした。
とまあ、倫理観は著しく欠如していた記者であったのはお恥ずかしい限り。もうその世界から四半世紀も離れたので、今の取材の現場、報道機関の現場は他者の権利、人権をしっかり守るという意識が当たり前に根付いていることでしょう。
しかしそんな強烈なプレッシャーの日々をはるかに超越するほど、毎日が生きるか死ぬかのハードボイルド(古い)だったのが、児童クラブの運営責任者の日々だったことは、しかと強調しておきたいのです。「自宅を売ればいくらになるか、それで賠償金を揃えられるか」と思ったことは一度や二度ではありません。
<本音にも理由がある>
さてわたくしが児童クラブの現場で初めて味わった本音の世界は、なかなかに強烈でした。
1 待機児童問題。問題高校を繰り返すこどもの問題。
現場でこどもと真摯に関わりたい職員は「ギュウギュウ詰めのひどい状況になるなら、待機児童を出してでも、クラブの環境を一定の質で保ちたい」という本音があります。
運営責任者として手ごわかったのが「待機児童は仕方がない」という現場の意識でした。現場のクラブ職員からすれば、クラブで過ごすこどもたちが、安全安心して過ごしてほしい、ギュウギュウ詰めの中でストレスを感じて児童クラブで過ごすことはこどもに味わってほしくない、そして何よりこどもを支える自分たちの仕事をしっかりと遂行するためには、児童クラブで過ごすこどもの人数には限界がある、ということを当たり前に考えるのです。
その結果は当然、「やみくもにこどもを入所させては困る。それでは児童クラブとして機能を発揮できない」という現場職員の意識になります。よって「待機児童を出すことになってもしょうがない。それはクラブを増やそうとしない行政の問題であって、その怠慢のツケでこどもをどんどんクラブに入所させて、こどもたちの面倒を見ろとわれわれ現場に押し付けるのはやめてほしい」という考えになるのは、それは現場にいればそういう考えになるのは、わたくしも理解できました。「待機児童を出してでも、クラブで過ごすこどもの健全育成、育成支援の質をしっかりと維持するにはやむを得ない」ということです。
実はある職員が声高に「現場を守るには待機を出すしかない!」と論じているその声を行政関係者が聞いてしまい、その後ものすごい剣幕で「萩原さん、いったいどういうことだ! ちゃんと組織を運営できているのか!」と食って掛かられたことがありました。「現場のホンネです。ただわたくしの意見とは異なりますが」と返したことがありました。
わたくしの持論は何度も書いていますが「待機児童は絶対悪。子育て家庭の生活をぶち壊す。それは最終的にこどもの不利益になる。よって待機児童解消のためにどんなことでもするべき。ギュウギュウ詰めになってでも待機児童解消を選択する。ただし、可及的速やかに新たな支援の単位を増やす、施設を拡張するなどして、こどもの居場所の環境を早期に改善させることができる見通しを確保することも、絶対に欠かせない」というものです。1年間は大変だけどギュウギュウ詰めでなんとか耐えて。来年になれば適正規模でのびのびとした放課後の時間になるからね、とこどもに約束したい、職員に約束したいのです。その約束ができないままずっとギュウギュウ詰めのままでの待機児童解消策は、わたくしは「最低」と考えます。
なお、いわゆる問題行動を繰り返すこどもについて。とても重要かつ微妙で深刻な問題です。現場の職員も運営も、この問題には本当に頭を抱えています。わたくしのところにも「問題行動のあるこどもと、そのこどもを放置している保護者がいる。辞めさせるにはどのような手法があるか」という相談がかなり届きます。それはもうまごうことなき「本音」です。児童クラブの設置主体である自治体はよく「職員の指示に従えない場合は退所を求める場合がある」という趣旨の断り書きを利用案内等に記載しています。それこそまさに問題行動のこどもに悩んでいる実態の証左です。「もうやめてもらいたい」という職員はいますし「明日はあの子が休みだからクラブは平穏だよ」と笑顔を浮かべる職員もいます。本来は、こどもの最善の利益を児童クラブで追求したい職員が「あの子がいなければ」と思い詰めてしまうのは、はっきり言って異常事態です。それは、こどもと丁寧に関わる職員の数が足りない、こどもにとって居場所となれるだけの環境が整っていないという、大人の側に問題があることが圧倒的です。こども自身に何らかの要因があるとしても、そうであることを早期につかみ、必要な関係各機関との連携で対応していくという制度を大人たちのこの社会が整えていないことが問題なのです。
そこを抜きにして「問題行動があるこどもは困る。それに向き合おうとしない親もどうかしている」と片づけてしまうのは、わたくしは児童クラブ側に持っていてほしくない本音です。「自治体も国も、この現状をなんとかしてくれ。整った環境と優れた人材が職員にいれば、わたしたちにも少しはできることがあるんだ」という本音を堂々と訴えることがこの問題の解決の糸口を見つけるきっかけになるはずだと私は考えています。
2 児童受入時間の拡大。朝早く、夜は遅くという社会のニーズ、利用者の要望は分かる。分かるがそれが果たしてこどものためなのか。
朝の小1の壁の問題でよく取りざたされる命題です。こどもは親元で過ごす時間が長い方がいい。子育ては親の役目、児童クラブはあくまでもその支援にすぎない存在。そもそも長い時間、家庭以外の場所で過ごすこどもの精神的な負担を真剣に考えれば、長い時間にわたって児童クラブでこどもが過ごす状況は望ましくない、という意見もまた、児童クラブの世界から声が上がります。これは現場だけでなく運営側からも出てきます。「こどもが長い時間、児童クラブで過ごさざるを得ない社会がおかしい」というものです。
わたくしはこの意見に対しては冷ややかです。「こどもの育ちを支える仕事でありその専門職であるなら、児童クラブで長い時間過ごすこどもができる限り負担に感じないように援助、支援するのが児童クラブの役割ですよ」と言いたいですし、現にそう言ってきました。朝、午前8時からの開所を午前7時30分にしたところで、時間としては30分。その30分でこどもの精神的な負担が決定的に悪化しますか? 「悪化する。こどもにとって親と過ごす30分が大事なのだ」という意見を耳にします。「ですがね、その朝の30分、親は出勤していて家庭にいないとしたら、それでもこどもは留守番して家で過ごす方がこどもにとって大事ですか」ということです。
この考え方にはもともと「こどもは親元で長く過ごす方が良い。その方が親からの愛情を注がれて過ごす時間が長くなる。愛着面での好ましい効果がある」という考え方が根付いていることがあるのではないでしょうか。親と一緒に過ごす時間のすべてが、ほほえましい親子の時間であるという前提があるのではないでしょうか。午後5時という児童クラブでは早めの時刻に保護者がこどもを迎えに来た、よって親子で過ごせる時間が長くなるからこどもにとって良いのだ、というのはあまりにも表面的な見方だとわたくしは考えます。では午後5時にこどもを迎えに来た親は、家でずっとスマホを眺めている。こどもといえばネット動画を見ている。それで親子の望ましい、愛着形成に必要な時間なのですか? ということです。
児童クラブが開所している時間ーわたくしは開所時間ということばを使いたくありません。児童受入時間、という表現を好みます。というのは、国がいうところの開所時間はこどもが登所してきてからの時間であって児童クラブ職員の勤務に要する時間とほぼ同義ですが、児童クラブ職員の勤務に要する時間はこどもが登所する前に設定する育成支援討議に費やす時間こそ重要である、というのがわたくしの考えだからですーが長くなるのに現場も運営も歓迎できないのは、別の理由、それこそ本音が隠されているからだとわたくしは実感してきました。それは、児童受入時間が長くなるほど、「仕事が増える」「勤務時間が長くなる」ことに対応して「得られる報酬が増える」ということが約束される仕組みになっていないから、です。職員数が増えないので今まで7時間勤務だったのが8時間になる、でも月給額は同一では給与が減ることになります。労働の負担が増えることが嫌だ、という抵抗の本丸に配慮する手立てがあれば、この問題はある程度解消するものです。
もちろん、国が制度として子育て世帯の時短勤務を標準仕様にすれば、長時間の児童クラブや保育所利用のニーズは減るでしょう。それは大事なことです。ですが、すべての育児中の保護者が時短勤務を自ら選択するとは限りません。専門職の保護者は時短勤務など考えません。この世の中で圧倒的多数の中小規模、零細規模の事業者に対する育児時短制度による労働力不足への効果的な対応が備わらないと、児童クラブを利用する保護者の全員が大企業ではないわけですから、育児時短勤務の充実による児童クラブ利用ニーズの抑え込みは、効果は限定的になるような気がわたくしにはします。
むしろ、児童クラブで使える人件費を増やして、賃金水準を上げ、さらに、雇える人を増やせるようにすることで、児童クラブの長時間開所に対する拒否反応は相当減るものと、わたくしには考えらえます。優れた職員を多数雇用できればそれだけ育成支援の質も向上することが期待でき、こどもへの適切なかかわりが常に実施できるのであれば、30分や1時間、こどもが児童クラブで過ごすことによるこどもの負担はある程度、解消に向かうのではないでしょうか。
3 食事提供の拡大。昼食提供は保護者だけが楽するだけ。こどもにとってメリットはない。
これは制度の中身の問題であるとわたくしは考えます。これもまた、「昼食を行政やクラブ側で用意することは保護者にとってはうれしいだろうが、現場に良いことは何一つない」という本音を持つ児童クラブ関係者は、決して少なくないだろうとわたくしは感じますが、「弁当に関係する業務が増えるのがとにかく困る」という本音は無視してならないものであるとも考えます。
保護者がアプリで弁当を自ら手配する、ということが主流のようですが、どうしたって「注文忘れ」だったり、「急な欠席に伴う料金返還の要求」といったり、なんらかの周辺事案がつきものです。弁当注文のルールがあるといっても、現実はそんなルールおかまいなしで「注文忘れちゃったから先生、ちょっとコンビニで弁当を買ってうちの子に与えてくれませんか?」とか「直前キャンセルでの返金はできないって確かに書いてありますが、食べていないのに料金支払うっておかしくありませんか?」などと意見をしつように寄せられると、現場の職員も運営側も「はぁ」とため息しか出ないのです。
もとより、頼める弁当がこども向けに特注されているのではない場合、せっかく数百円で弁当を頼んでもこどもが残す、ほとんど食べない、という現状もまたわたくしも耳にします。いまはとにかく、保護者負担軽減のための昼食提供の形態を作り上げることに行政自治体の努力が向かっていて、「では本当にそのお弁当、こどもたちが毎日喜んで食べていますか?」までは、なかなか目が回っていない現状のようにわたくしには感じられます。まして、「昼食を提供するんだから。それは受益者負担だから」といって1食500円、600円の弁当を案内している自治体には「あなた、毎日その値段でお昼ご飯準備できる? 生活が苦しくならない?」とわたくしは皮肉の1つも言いたくなります。
拙著にも記しましたが児童クラブでこどもが持ってくる弁当を見て職員は家庭の状況を推測することができます。あまりにも「手をかけていない弁当」ー素の食パン1枚にミニトマト数個だけ、の弁当を目にしたことがありますーをひんぱんにこどもに持たせている家庭には、何かしら子育てにおける問題が起きていることは、あながち間違っていません。それは単に家庭の所得が低いからというのではなくて、保護者はものすごい高い値段のクルマに乗っていてスマホは常に最新型、高そうなブランド物も持っている、こどもの服だって決してボロボロじゃない、でもお弁当だけは「えっ?」という場合、こどもがなにかしら困っている、でもそれを大人に打ち明けられないということが、あるものです。そういう観察機会を減らすことは現場職員にとっては歓迎できないことになります。
4 保護者対応。保護者運営系の場合は「保護者と一緒にクラブを作っていく」という絶対的な看板がありますが、実のところ「保護者にあれこれ言われると仕事が増える」という感覚を持っている現場や運営の一面もあるものです。
わたくしは「児童クラブの貧困」であると考えますが、児童受入時間の拡大にしても保護者と一緒に児童クラブを作っていくとしても、結局のところ「児童クラブ側の負担が増え、それを補うだけの見返りー報酬ーが無い。足りない」ということが、児童クラブ側のやるせない気持ちを増幅させるものと考えます。
保護者会、保護者組織との連携は放課後児童クラブ運営指針にも記されていますが、多くの保護者の意向で保護者組織と職員との意見交換の場が土曜日に設けられる場合を考えてみてください。完全週休二日制の福利厚生が整った企業や団体に勤めている保護者であれば「土曜日の夕方の保護者会か。休みだし、学童仲間のパパママと保護者会の後に飲み会でもするか」という、楽しみも混じった気分で当日を迎えられることがあるでしょう。ところが児童クラブ側の職員で前週の土曜日が出勤だった職員は得てして隔週勤務のため次週の土曜日が休みになっている場合が往々にしてあります。その休みの土曜日の午後6時から保護者会が設定されたとしたら、「せっかくの休みなのに。保護者会の資料も整えなければならない」となります。誰かのトク、この場合は保護者としてもいいんですが、誰かのトクが誰かの損になってしまいがちなのが、児童クラブの貧困がもたらす残念な構図です。しかも、休みの土曜日の夕刻に保護者会が設定されてそれに出席した職員に、何の報酬も賃金も用意されない状況が大いにあるのが、貧困に困る児童クラブの世界です。運営側は「なら、休めばいいよ」と軽々に言いますが、こどもの様子を保護者に伝えるのが重要な職務であるクラブ職員には、みすみすそんな大事な機会を逃したくない気持ちがあり、それは育成支援に真摯に日々、向き合っている職員ほどそうなのです。「そっかー休んじゃおう」というのがダメだとはわたくしは言いませんし、むしろ「休みの日の保護者会にわざわざ出ることはないよ」と現実に言ってきましたが、「こどもの様子を自分の口で保護者に伝えたい」という気持ちを否定することもしたくはないのです。
保護者側の、児童クラブをより良くしたいという要望が得てして「昼食をクラブで用意する」とか「朝の開所時刻を30分早める」とか、結局は現場職員の労働を増やすだけになってしまうことが多いので、保護者運営であって保護者と一緒にクラブ運営を考えるとしても、本音では「どうせ自分たちだけに利益があることしか、保護者は言ってこない」という意識に偏りがちになる傾向はあるものだと、わたくしは言いたいのですね。
なお、もちろん現場職員、運営側の意向や現実的な問題を理解して、「職員の側」(=すでにこうした表現が対立構造を示すことに留意)について児童クラブ運営に関わってくれる保護者さんも、もちろんいます。ただそうした保護者さんは意識としては職員と同一ですので、「職員や運営、そして職員や運営の気持ちが分かる保護者」と、「最終的には保護者にトクになるようなクラブ運営を望む保護者」との間で、しっくりいかない状況にも陥るのです。
こどもが過ごす時間について、特に「勉強」については、多くの公設クラブまた民設民営であっても放課後児童健全育成事業が委託等されている場合に、クラブ側と保護者との間で意見の相違が生じがちです。親は「宿題は最低限、完全に終わらせる。できれば予習復習の時間もクラブに管理監督してほしい」という希望を持ちがち。方やクラブ側は「健全育成事業ですから、お勉強は宿題だけは時間を取りますが、やっているやっていないはご家庭で確認してください。予習復習をしたかったら児童クラブではなくて学習塾に通ってください」という姿勢になりがちです。
これもまた、施設が広くて勉強したいこどもが過ごせる部屋があり、そうしたこどもたちに関われる職員が確保できることであればさほど問題にはならないはずですが、「児童クラブの貧困」がある限り、難しいのも事実です。室内は狭い、別の部屋などない、従事する職員数も少なくてこどもたちの様子を見守るだけで精いっぱい、という状況ではこどもの勉強施設に丁寧に向き合うことは不可能です。
こうした問題は民設民営クラブの増加を行政が考えることで解消できるのですが、それも一部の地域に留まっているのが現状ですね。
<まとめ>
あれこれ書いてきましたが、こどものために、という気持ちを胸に児童クラブで働いている、運営に携わっている人が多いということは間違いないところです。方向性は若干ぶれていても。もっとも補助金ビジネスで収益額だけにこだわる運営事業者の経営側は、果たしてどうなのかは言わずもがなです。
こどもために、というその「こどものため」とはいったい何が利益の核心なのか、つまり「これこそが、うちのクラブのホンネです」ということについては、ぜひともクラブの運営事業者がしっかりと考えて掲げてほしいと運営支援は希望します。生命身体を守るといったこどもの人権にかかわることは別として、「絶対にこれ1つだけがこどものための利益だ」というものでもないはずです。めちゃくちゃ泥遊びをさせたい事業者があれば、ダンスやプログラミングの機会を提供する事業者だって、それぞれ目指す「こどもの利益」があるでしょう。それを明確に打ち出すことが必要な時代になっているというのが、運営支援を掲げるわたくしの素朴な実感です。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
☆
放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
☆
「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。
☆
「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)


