放課後児童クラブ事業者を悩ませる祝休日の業務連絡。休みの日の連絡はダメ!の風潮。でも、どうしたらいい?

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 本日、2月23日は祝日です。祝日でも日曜日でも仕事に従事している業種、業界の人も大勢おられますが、多くの放課後児童クラブ(いわゆる学童保育の中核的存在)は閉所していることでしょう。最近は、仕事が休みの日に仕事に関する連絡をどのように取り扱ったらよいのかが話題になります。おおむね、「仕事が休みの日は、業務連絡は受けたくない」という声が大きく、SNSには「休みなのに会社から連絡がきた。もちろん受けなかった」という書き込みもみられ、それに多くの賛同(イイネ等)がつく状況です。

 学童保育の世界で、祝日や休日、日曜日、あるいは対象職員の公休日における連絡の問題について考えるときは、2つの分野に分けられますね。1つは、対利用者との場面。子どもや保護者、保護者会との連絡事項。もう1つは、事業所内の、雇用関係、業務遂行に基づく場面です。
 学童保育の世界は、従事者たる職員と、サービスを受けるクラブ在籍の子ども、保護者との緊密な連絡が欠かせません。単なる出欠連絡であれば、急速に導入が進んでいる出欠管理アプリを使えば目的は果たせますし、アプリがなくても留守番電話にメッセージを残すだけでも目的は達せられます。しかしそれ以外にも、保護者側からクラブや職員に連絡を取りたいことが往々にしてあるものです。行事に取り組んでいる保護者会からの問い合わせなどですね。職員にしたら「休みの日なんだから、保護者と関わりたくない!」という本音を持っている人は実はかなりいることは、事実として知られておくべきでしょう。
 事業者にしても、何らかの原因で休み明けに直ちに対応が必要となる業務上の問題が起こった場合、事前にそれを職員に伝えておく、おかないによって、初動体制に差が出て結果的に状況が不利となる判断ができるのであれば、祝日や休日、日曜日、あるいは対象職員の公休日であっても、「連絡を取って内容を伝えたいな」と考えることは、当たり前のことです。

 運営支援が考える結論は、単純です。それがすべての事業者や支援員に納得がいくか行かないかは分かりませんが。
・事業の円滑な実施に必要である以上、職員が休みの日であっても連絡は行うべきだ。必要性の判断は規則規程によって権限を付与された管理職が職務として行う。
・連絡の必要性を判断する者は当然のこと、休みの日に業務上の連絡を受けた者に対しても、その業務上の連絡に応じて行動した程度に応じて必要な手当(報酬、賃金)を支給する。

 職員個人の労働基本権は守られねばなりませんが、職員は事業者(会社、企業)に雇われて働いているものです。事業者が円滑に事業を遂行できねば、雇用の安定も守られません。事業を円滑に遂行するために必要なことは、雇用されている以上、好きか嫌いかは関係なく、応じなければなりません。ただし、当然ながら、従事した業務に対して対価が支払われるべきです。
 昨今の「休みの日に会社の連絡なんて絶対いや」というのは、休みであるプライベートの自分が業務に関わった時間に関する対価(そして評価も)が、職員や社員に正当に支払われていないからだと私は考えます。つまり、タダ働きさせられている、ということなんですね。休みの日に休みを満喫したいのは当然ですが、業務上どうしても必要なことはそれに時間や思考を割り当てねばならない、それによって失われる休みの日を満喫する期待分を補填するものは必要でしょう、ということです。

 学童の事業者は、事業者全体が休業している日(祝日や日曜日)の対応を、次のようにしてみてはどうでしょう。
・保護者や職員からの問い合わせ、緊急連絡先窓口を指定して周知しておく。それ以外の連絡先は設けない。対応するる者は事業執行に知悉している役員としておく。(役員は労基法対象外ですから)
・対応する者(上記役員)は他の職員等に連絡が必要かどうかを判断する。その判断は事業者としての判断となる。
・対応する者は、必要に応じて他の職員に連絡をし、必要な行動を合わせて指示する。
・連絡を受けた職員に対しては、その連絡に応じて行った対応の程度に合わせて手当を支給する。ただ連絡を受けただけ(情報の共有目的)、あるいは心構えのための程度から、他の第三者に連絡行動をした程度、または連絡を受けた者がその日の予定を変更して業務に従事した程度など、その程度に応じた手当を支給するのです。例えば、連絡を受けただけであれば連絡1回について100円、他の者に連絡をして対応を電話やLINEで相談したというなら500円や1000円など。予定を変更して業務に従事した場合は、時間外手当や休日出勤手当になるでしょう。

 また、クラブは開所している日であって、連絡をしたい対象の職員が休みの場合も、同様に、受けた連絡によって行った行動の程度に応じて手当を支払うことにすればよいでしょう。もちろん開所日ですから他に出勤している職員がいるので、極力、出勤している者たちだけで対応、処理することは言うまでもありません。

 上記のように、休みの日における行動に対して100円だの500円だの支払うようにすることで、事業者にしても、まったく臆することなく気軽に連絡するようなことは抑制する効果がでるでしょう。どうしても必要なことのみ、連絡するようになることが期待できます。なお、カネもかけず、職員が休みの日に当然、会社の連絡や指示に応じるべきだという考え方は、ダメです。雇用労働関係にある以上、職員が業務に関連して何かをするとなった場合、それが受動的な行動であっても、その行動に対応した対価を支払うことは当然です。それが理解できない者には事業の経営は不可能です。

 事業者は、保護者にも、職員の休みの保障が日々の業務を充実させるために必要であるから連絡は必ず連絡窓口に行うようにするよう、周知を徹底しましょう。クラブの職員は、所属するクラブの子どもと保護者に十分、留意し関心を払っているのは当然ですが、職員だって、オンとオフの切り替え、休みの日は仕事から切り離されたい(これを「労働からの解放」といいます)のは当然です。「クラブの職員なんだから休みだろうがなんだろうが、保護者対応はしてくれなきゃ困る」の事業者の考え方は、運営支援の立場からすると、失格です。職員を守れる運営のやり方をとってください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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