指定管理者制度で株式会社系学童保育所を増やしたくないなら、非営利法人が事業規模を拡大して競争に挑め。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 公営学童保育所(この場合は、放課後児童クラブ)が指定管理者制度によって民営化され、株式会社が運営を代行する地域が年を追うごとに増えています。中には、保護者会運営の学童保育所が、保護者の「運営疲れ」から株式会社が指定管理者となるケースすらあります。

 学童保育所の運営を事業とする、つまりアウトソーシング事業を盛んに手掛けている事業者は、だいたい顔ぶれが固まりつつありますね。各地域で学童保育所の運営に関わっているので、私としては、蓄積したノウハウを学童保育所運営にぜひ生かしていただきたいと願っています。しかし現実は、多くの地域で、うまくいっていないと思われます。

 株式会社系の指定管理による学童保育所は、おしなべて、職員の「非正規雇用」「最低賃金に近い低い給与体系」「配置人数の抑制」「週30~35時間程度の所定労働時間」による人件費抑制の施策で、現場の職員の疲弊は目に余るものがあります。それら弊害は現場から発信されていますが、多くの住民や行政は無関心に近いですね。保護者にしてみれば「会議や集会が無い、運営負担が無い、よって負担感が無い」ので歓迎でしょうし、行政も「抑えめの予算でやってくれる。住民(保護者)からのクレームも無い」となれば、全国各地域で、株式会社系の指定管理学童保育所が増えるのは、止めようがないでしょう。

 残念ながら、この国、この社会は、利用者たる保護者の不満が無く、カネを出す行政側が不都合を感じなければ、学童保育所はそのスタイルが選択されていくのです。現場で働く人、何よりも子どもの意見は、まったく聞かれません。

 さて、そのような状況はもう10年以上前から判明していたことです。では、それに対して「何とかしなければ」という学童業界の方たちは、どのような戦略戦術で立ち向かっていたでしょうか。私の見る限り、株式会社系の指定管理学童保育所による問題を指摘するだけに終始していたと感じます。(すでに指定管理制度下にある非営利法人は、公募ではなく随意契約で「自分たちだけが選ばれる」ことを最優先にした経営戦略ですね)

 それではまったく不十分です。仮に、職員の雇用と育成支援の質の充実を事業の中心とする学童保育所を広く社会に根付かせたいなら、すでにそのような運営をして実績がある事業者が、他の地域の学童保育所の運営にも、乗り出すべきです。つまり、事業規模を拡大するのです。学童保育所を指定管理に出す地域があれば、積極的に公募に参加して、運営を勝ち取るべきだと、私は強く訴えます。

 絵空事ではありません。はっきり言えば、運営人に「やる気」があるかどうかです。公募に必要な資料、中でもプレゼン資料の作成は大変ですが、そういうことを普通にやるのが株式会社です。事業を拡大するために必要なプロセスであれば、つべこべ言わずにやるだけです。汗をかかないと実はならないものです。

 現在の地域で、安定した運営をしている実績があれば、公募で勝ち抜ける可能性はゼロではありません。コスト抑制に留意しつつ、安定した育成支援の良さを訴え、各地で運営している実績があれば、いい勝負に持っていける可能性は、私はそれなりにあると考えます。はじめのうちは苦戦するかもしれませんが、1つ1つ、運営地域を増やして事業規模を拡大し、予算規模が10億円を超えるほど大きくなれば、運営組織自体もスケールメリットをいかした安定した経営ができるようになります。

 このままでは、日本の多くの地域で、職員を使い捨てに近い雇用で消費する指定管理の学童保育所がますます増えるだけです。「私たちは学童保育所を安定して運営している」自負があれば、積極的に打って出ることを考えてください。多くの子どもたち、職員たちのために、勝負に出ましょう。私はその動きを期待しますし、可能な限り協力いたします。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の質的向上、信頼向上と、働いている人たちの生活を守るための雇用の安定のために種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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