「安いから」「多くの地域で運営していて安心」で指定管理者を選ぶ市町村は、子どもから見限られて衰退します。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 前日(9月28日)のブログでは、公営学童保育所(この場合は、放課後児童クラブ)が指定管理者制度によって民営化される際は、運営に自信がある非営利法人は積極的に公募に参加していくべきだと記しました。
 本日はその続きで、指定管理者制度で事業者を選ぶ市区町村側に伝えたいことを記します。結論を申せば「育成支援の内容が充実しているかどうかで選ぶべき。指定管理料が安いからでは、ひどい育成支援が行われる可能性がある。そんな指定管理者を選ぶようでは、子どもに嫌な思い出しか与えられない。子どもが将来も住みたいと思う街にはならない。よって、子どもが大きくなっても街に魅力が無いので外に流出し、長い目で見て、自治体として衰退しますよ」ということです。

 指定管理料が安いことは、指定管理者制度として最も評価点が高くなりがちでしょう。効率化が指定管理制度の柱ですから。しかし、指定管理料が安いということは、職員の人件費を削っていることで成り立つのであって、低賃金で人数も少なめで運営していく放課後児童クラブが、子どもにとって居場所がいい空間と場所になることは、現実的にありえません。

 放課後児童クラブの主役は子どもです。職員は、主役を支える存在です。市区町村が、指定管理者に対して満足に資金を出さなければ、指定管理者はその少なめの資金で運営をするほかありません。当然、運営会社としての取り分(会社が確保する利益分)はその指定管理料から確保することになります。結果的に、人件費や、あるいは直接的な運営に使える予算は、さらに減ります。クラブで過ごす子どもと、子どもを支える職員に使える予算が減ってしまえば、子どもと職員に不利益な状況を招くだけです。低賃金、少ない賃金で、疲弊しきった職員が勤めるクラブは、子どもにとって居心地の良い場所になるはずがありません。

 それが、株式会社系の指定管理者制度の現実です。市区町村は、その現実を知らないわけはないでしょう。しかし、ただ安いからと言う理由で、あちこちの現場で、残念な内容の育成支援を行っている企業を選んでいるのです。自分たちの街に住んでいる子どもたちが、つらい時間と場所を過ごさざるを得ないリスクを承知で選んでいるのですよ。

 こどもまんなか社会とは、こどもの最善の利益を保障すること。こどもが安全安心して過ごすことが難しいような放課後児童クラブを作り出す市町村は、嫌な思い出で過ごした記憶を持つ子どもたちに「この街に住みたい」という記憶を作り出せません。その子が成長して社会人となったら、違う街に住むことでしょう。多感な子どもの時代に、いい思い出が無い土地に執着する理由はありませんから。

 市区町村は、指定管理者を選ぶときは、「育成支援」の充実度をもって選定することです。単に安い指定管理料だからと選ぶのは、子どもの最善の利益を守れません。

 指定管理者制度でアウトソーシング事業を手掛ける企業側にも申し上げたい。堂々と必要な経費分を要求して公募に臨むべきです。利益分は確保して当然です。ただし、働いている職員が安定して業務に打ち込めるだけの賃金と人数分の人件費も計上するべきです。企業の利益だけを確保して、あとは必要以上にコストカットして運営し、子どもの最善の利益を顧みない事業運営は、社会正義に反します。そういう運営をしている企業は、恥を知るべきです。企業が利益を追い求めるのは当然。当たり前です。利益を確保して、事業の質も確保する。それこそ、まともな企業です。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の質的向上、信頼向上と、働いている人たちの生活を守るための雇用の安定のために種々の提言を重ねています。とりわけ、指定管理者制度において、子ども、市町村、職員、運営企業、全てが得になる方策を考えています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)