将来、放課後児童クラブ(学童保育所)を利用するかも、と思う人へ。「住む場所」は学童基準で考えてヨシ!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 今日は肩ひじ張らずにリラックスしたブログの内容でいきましょう。ことし2月28日に、株式会社リクルートが毎年恒例の「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」を発表しました。テレビやインターネットのニュースでも、取り上げられました。毎年、話題になりますものね。このランキングについて同社のプレスリリースによると、「東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県の住みたい街(駅)や自治体を明らかにすること。またその選択理由を把握すること。」という目的があるとのこと。つまり、「住みたい街、住みたい地域の最寄り駅」を挙げてもらうことですね。もちろん「子育てするならどの街がいい?」という調査ではないですから、「住みたい」という言葉には子育ても入るでしょうが、文化面や通勤の利便性、ファッション性などあらゆるイメージが総合的に考慮されての「住みたい街」である、ということは前提の上で、以下の話に進みます。

 私が言いたいのはとても単純で、「子育てをこれからする可能性がある人たちが、もし今後、住みたい街(駅)を選ぶなら、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の待機児童が0人の地域を優先的に選んだ方がいいですよ」ということ。それはつまり、「住みたい地域、住みたい街を選ぶには、購入したいと思った不動産物件がその地域にあったとか、通勤するのに便利、親族に会いに行くのに便利、生まれ育った地域であるなど、いろいろな理由があるけれど、未就学児の居場所は充実してきたことと比べて小学生の放課後や夏休みの居場所は、まだまだ整備が整っていないので、放課後児童クラブに必ず入れる地域を最優先で居住地に選んだ方が良い。住みたい街を選ぶより、子育てしやすい街を選ぶこと。住んでいれば、いずれその地はあなたの都になるんだから」ということです。

 単純な理由なのは単純で、つまり、放課後児童クラブに入れない、つまり小1の壁で学童に入れなかった場合、保護者(多くの場合、それは女性、母親)が仕事を辞めざるをえなかったり、勤め先を変えて正規職から非正規職に変えざるをえなかったり、同じ勤め先でも職種を変えざるをえなかったりで、いずれにしても職業人としてのキャリアの断絶を招きかねない事態に追い込まれる可能性があるからです。それはつまり、生涯における所得の減少にもなります。なにより、仕事で得られるやりがいの喪失にもなります。人生においてとても大きな損失を招く可能性につながるからです。

 ですから、将来子育てする可能性のある人は、何度でも言いますが、「放課後児童クラブに確実に入れる街」「学童が充実している街」を、選んで住むことを私は強くお勧めします。ましていま、未就学児で、2025年の春に小学1年生になるような世帯で、お住まいの地域に小1の壁があるようでしたら、まだ間に合います。引っ越しも検討したほうがいいですよ。もちろんすでに学童に入れず困っている人も、思い切って引っ越しを考えるのもいいですよ。

 というのは、だいたいにおいて、放課後児童クラブすらろくに整備しない市区町村は、その他の住民サービスにおいてもあまり充実していないのでは?と私は疑問を持ってしまうからですね。住民に、ろくにサービスを提供しようとしない市区町村に、住民税を納めることは、私は疑問を持ってしまうたちですから。

(もちろんこの問題は大変な面もあって、待機児童数が0人、つまり小1の壁がない地域の放課後児童クラブは、得てして大規模状態。つまり子どもがギュウギュウ詰め、従事する職員が常に疲弊していることがほとんどです。それもひどい話で市区町村は可及的速やかに大規模状態を解消しなければならないのに、予算の制約やらなんやらで、なかなか、子どもにとって、職員にとって、快適な空間の整備が進んでいない現実があります。このことは、保護者の方もぜひ認識しておいていただきたいと思います。)

 ひとしきりわたくしの持論を展開した後で、ランキングをざっとみてみましょう。学童に関するアプローチで気になる地域だけ抽出していきます。(なお、どの地域においても学童保育に関して問題を抱えているのは承知しています。大規模、施設が古い、補助金が少ない、営利の広域展開事業者による運営など。以下は割愛します)

1位横浜=絶対的王者のようですね。7年連続1位ですって。イメージは最強ですから。学童的にも、えり好みしなければほぼ確実に入所できる地域です。国の集計でも公式に待機児童は0人です。

2位大宮=過去最高位で、ニュースリリースでも大きく取り上げられています。それによると、「20・30代に人気の背景には、買い物環境の充実(近隣の7つの大型商業施設の総店舗数は1,000店超え)、人気の散歩デートコースの存在(氷川参道等)、サウナ&スパ施設の充実、若者が繋がれる駅周辺のバーコミュニティーの存在(30店舗超)等があげられる。」とあります。子育ての観点は見当たりませんね。実際はどうでしょう。大宮を含むさいたま市は学童待機児童が大変多い地域です。民営クラブは保護者会運営である場合があり、そのクラブに入所すると保護者は事実上の強制で学童運営に向き合うことになります。今後は新たな放課後居場所事業が展開されるようですから状況は変わりそうですが、どうなりますか。個人的には決して勧めたくない街ではありません。いい所です。隣町ですしね。

10位浦和=大宮と同じさいたま市。かつて(今も)浦和と大宮の対抗意識は根強いですね。大宮は商業の街なら浦和は学業の街。なお学童的には大宮とあまり差はありません。イメージ的には民営の大宮、公営の浦和と私は思い描いてしまいますが、浦和にも大宮にも公営や民営のクラブは普通にありますから、大宮と決定的な違いはありません。

15位流山おおたかの森=私は千葉の学童事情は詳しくないのですが、流山市が「母になるなら、流山市。父になるなら、流山市。」のキャッチフレーズで子育て世帯にアピールし、人口増を勝ち得るほど若い世代に大人気なことはさすがに知っています。営利の広域展開事業者から社会福祉協議会、NPO法人など様々な事業者がクラブを運営しているようです。そのクラブの事情はまったく存じ上げませんので触れませんが、流山市役所の放課後児童クラブを紹介するページは、私はとても素晴らしいと思います。クラブごとに、運営事業者名をしっかりと明記していること、届出事業者(いわゆる民設民営クラブ)もそれと分かるように表記しています。この流山市の放課後児童クラブに関する表示形式を、他の市区町村はそっくりそのまま真似てほしいです。広報がしっかりしているのだから行政による放課後児童クラブとの連携や質の維持もしっかりしているのではと想像します。

29位川越=小江戸川越。有名な街ですね。学童的にも特筆するべき点があります。川越は教育委員会による公設公営のクラブ地域ですが、基幹的な職員に限られますが、クラブの正規職員を「正規の公務員」としていることです。それも子ども子育て支援新制度になってから取り入れたものです。全国的に見ても珍しいですね。予算の制約はあるようですが、正規職が増えることは大事ですから、もっと拡大してほしいですね。一方、以前に聞いた話では保護者会活動に対してはつれない態度であるとのこと。行政は市民との協働の観点で、保護者会をもっと重要視(言葉を変えれば、活用)するようにすれば、もっと質の高い放課後児童健全育成事業が実施できると私は思いますけれどね。

ちなみに私の住む上尾は166位。草加は177位。越谷は183位です。なお、越谷レイクタウンは113位でした。子育て王国を打ち出している大和は196位。上尾、もっともっと上位でもいいんですが、実力がまだ足りないということでしょう。もっと精進しなければなりませんね。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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