学童保育の職員による性犯罪。子どもを守るには、個人の犯罪で済まさず、組織的な対応が必要だ

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 またしても残念な事案が報道されました。学童保育で働いていた職員による性犯罪です。中京テレビが12月19日午前0時15分にインターネットに掲載した記事を引用します。
「自宅で、女の子の裸の画像データを所持したとして、名古屋市のトワイライトスクールに勤務していた元職員の男が再逮捕されました。(中略)調べに対し、容疑を認めた上で、動機について、「性的な目的で楽しむために児童ポルノを所持している」などと供述しています。(中略)以前勤務していた名古屋市内の施設で、当時7歳から8歳の女の子に、わいせつな行為をした疑いで11月に逮捕されていて、その際に押収されたパソコンなどからは、3200点を超える女の子の裸の画像などが見つかっていました。名古屋市教育委員会によりますと、2015年の春まで教員として働き、中学校の校長も務めていたということです。」

 トワイライトスクールというのは、いわゆる放課後全児童対策事業です。私は、広義の学童保育に分類しています。名古屋市のホームページには、「放課後等に小学校施設を活用して、学年の異なる友達と自由に遊んだり、学んだり、体験活動に参加したり、地域の人々と交流することを通じて、子どもたちの自主性・社会性・創造性などを育むことを目的として、トワイライトスクールを実施しています。」と説明があります。費用は保険以外は無料で、午後6時まで子どもを受け入れていると説明されています。実施は大多数が公益財団法人名古屋市教育スポーツ協会ですが、一部、営利法人が運営をしている施設があるようです。

 午後6時までという時間的な制約があるにしろ、無料で子どもの居場所があることは保護者にとって安心でしょう。しかし、子どもの人権が守られない、子どもが事件の被害者になるということでは、まったく安心できる居場所にはなりません。その点において、性加害は当然のこと、それ以外の暴力や暴言、体罰的行為といった絶対に発生してはならない違法行為、不適切行為を防ぐために、組織的な対応が必要です。事案を起こした者の個人的な責任であると片づけてはなりません。

 今回の名古屋の事例では、体を触る強制わいせつ容疑で先に逮捕され、その後の捜査で児童ポルノ画像を所持していたことで再逮捕に至ったとのことです。記事にありますが、被疑者は以前、教員であり中学校の校長まで務めたということです。雇う側からすれば、校長まで務めたという経歴からして、その能力も人柄も信頼してしまいがちですから、もしかすると、トワイライトスクールにおいては、それなりに責任のあるポジションで働いていた可能性もあります。

 全児童対策を含め、いわゆる学童保育の世界は、とにかく人手が足りません。仕事の専門性と重要性に見合わない安い賃金、社会からの理解不足、そして保護者とのやりとりが一方的な関係になりがちということもあり、体力も気力も消耗する仕事です。そのような事情を背景に、どんな人でも雇ってしまいがちな実情があります。それによって、能力的に足りない人を雇うこともありますし、子どもに対する異常な性癖を隠し持っている人物が職員として入り込みやすい環境が整ってしまっています。
 まして、過去の職歴で、今回の校長のように、立派に見える経歴を持っている人物は、それこそ大歓迎で採用してしまいがちです。もとより、表面上に問題のない人物であれば採用になるでしょうし、職員採用の部分、入り口の部分で、なかなか、事案を起こしそうな人物を見抜くことはできません。子どもへの性加害を起こそうと密かに考えている人物が職員として採用されやすい環境がある限り、今後も、危険人物が入り込んでくることを想定した対策が必要です。それが、組織的な対応が必要な理由です。

 ちょうど1週間前の12月11日も、運営支援ブログは学童保育職員の性加害防止を取り上げていました。そこに記したことをまた記すことになるのは私としても大変残念です。今回の事案のように、校長を務めていたという経歴からして容易に信頼してしまいがちな人物であっても、常に注意の眼で見ることが大事です。
 つまりそれが、「性的虐待行為の早期発見行動」であり、その行動は「すべての職員に課せられている」ことを、組織は全ての職員に対して、「理解させ、実践させる」ことが必要なのです。
 早期発見行動とは、「他の職員(や子ども)が子どもに対して虐待行為をしているのでは?という確認、点検の意識を常に持つことが必要」という意識を持ったうえで、他者の行為を常に確認しつつ行動することです。
・子どもとの物理的な距離が近い(スキンシップがあまりにも密接)
・特定の子どもと極めて親密であったり特定の子どもが欠席などで不在の時は不機嫌となる
・時々、子どもと1対1で部屋の中や多数の眼からの死角になる位置で過ごしている
・その職員がいないとき、子どもの側がその職員の話題に関して何らかの異様な反応を示す
 のちに考えれば「あのことに気が付いていれば防げた」というようなことは、結構たくさんあります。そういうことを常に早期に発見して、「その行動は、何をもたらしているのか、何からもたらされるのか」を確認することが、子どもへの卑劣な犯罪行為を未然に防いだり、あるいは早期に発見するために必要です。
 これは、上司が部下だけに行うことではありません。職位の上下は関係ありません。しいていえば、働き初めて数日しか経過していない学生アルバイト職員でも、所長や施設長クラスの職員に対して早期発見行動の意識をもって様子を見ることも、当然ながら必要です。

 子どもを受け入れる組織は、かように冷徹なことを徹底することをして、子どもの人権を守ることが必要なのです。子どもを守るために、「そんな厳しいことまでしなくてはならないの?」という考えは不要です。徹底的に厳しい態度で臨むことだけが必要です。仲間うちの人間関係より、子どもの人権を守ることが絶対的に重要です。それは組織にとっても厳しい業務になりますが、それをせずに職員個人に任せきりであるなら、それは、子どもへの卑劣な犯罪行為を起こしやすい土壌を組織自らが作っていた、ということになるのです。

 今回の名古屋市の事案においては、運営主体や行政が経緯を検証し、弁護士などの専門家を交えた検証委員会で問題点の検証と分析、再発防止の提言まで行ってほしいと思っています。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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