学童で働いた、子どもはあきらめた、では絶対にダメ。学童職員の職業生活が安定することが学童の安定なのです

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 本日12月25日はクリスマス。日曜日がクリスマスイブとあって、街角は大賑わいだったようですね。コロナによる行動制限も全くない、久しぶりのクリスマスでした。学童保育所で働くみなさんも、きょうからの一日受け入れに向けて、英気を養ったと思います。

 昨年の12月はじめでしたか、旧ツイッターに、学童職員とみられる方からの「学童で働いている。とても収入が低い。だから子どもはあきらめた」という内容の投稿がありました。その後、その方の投稿は削除されたのか、見当たりません。私はその投稿を見て、とても衝撃を受けたのですが、「保育園落ちた日本死ね」とは全く違って、ツイッター上での反響は広がりませんでした。
 よく考えてみてください。一つの職業として成立していて、しかも公的な資格が整備されている職業であっても、その仕事に就いている限り、低収入で子どもをもつことをあきらめた、という状態は極めて異常です。そのような状態が存在することは許されてはならないのです。

 ところが現実は、学童保育も、放課後等デイサービスも、児童館も、その他広く福祉の世界で働く人たちは、およそ低賃金の世界であって、仕事、労働の対償として報酬が釣り合っているかといえば、まったくそんなことはありません。学童保育でフルタイム勤務の常勤職員が、月の基本給が13万5000円とか、11万5000円とか、そのような金額が平然と設定されているのが、学童保育や児童館の世界です。あまりにも酷すぎませんか?

 なぜそのような低い賃金水準が設定されるのか。いくつか理由があります。このブログでも繰り返し取り上げていますが、「学童や児童館の仕事は、月給10万円台の賃金で十分見合う内容と暗黙の了解がこの社会にあること」が前提として存在し、かつ、「もう少し賃金を増やしたいと支払う側が思っても、収入源が限られるので、手元に支払うカネがない」こと、さらに「学童や児童館の運営をする企業が利益を出すには、人件費を削るしかない」という具体的な条件もあって、賃金が上がらないのです。

 2024年度からは学童保育の補助金がやや改善され、常勤職員2人配置における補助金設定が新設されることになったようです。それは歓迎すべきことですが、これまでの「常勤職員1人分の人件費は約310万円の想定」で積算される補助金額に問題があります。国が、学童職員の年収は300万円ちょっとで十分だとみなしていることが、学童職員の賃金が上がっていかない元凶です。まず、ここを真っ先に改善していかないと、学童職員の低賃金問題は解消に向かいません。

 それに加えて、学童保育所や児童館を委託や指定管理で運営する企業に対して、公契約条例で、最低限度の賃金水準を設定し、それを上回る賃金の支払を義務づけることです。当然、設定される賃金水準は、最低賃金を上回る、専門職にふさわしい額であることが必要です。
 これが当たり前になれば、その水準を下回る賃金水準設定をする民設民営業者には働きたいという人が集まらず、自ずと事業運営に支障をきたすので、同程度の賃金水準にまで引き上げるでしょう。

 こうなってくれば、学童で働いた、でも低収入なので子どもはつくれない、といった悲劇を防ぐことができます。簡単なことです。国が、もっと学童保育や児童館に予算を投入すればいいことです。投入する理由として国民に説明するには、「こどもまんなか社会は、子どもがその権利を完全に守られ、安全安心な環境で過ごすことができるために、必要な予算です」と伝えれば、反対はほとんどないでしょう。もともと学童保育の予算は保育所の1割程度しかありません。少なすぎるのです。予算を増やす根拠を本格的に改善するには、現在の任意事業から市区町村に設置義務を課す法改正も必要でしょう。

 多くの学童保育所では、クリスマスを祝ったり、イベントとしては行わなくても話題としてクリスマスのことがいろいろ話されるでしょう。でも、じわじわと貧困、困窮の世帯が増えている日本の社会は、クリスマスが来てもせつない、つらい思いをする貧困、困窮世帯が確実にあります。学童保育で働く学童職員も、普段の収入の少なさや、有期雇用による身分の不安定さなどで、イベントやお祝い事を心から楽しめる生活ができる人は、それほど多くないと私は思っています。

 それではダメなのです。働く人が安心して暮らせない、まして家族をつくることをあきらめることを余儀なくされる仕事であってはなりません。子どもを支える大事な仕事なのに、働いている人が、子どもをもつことをあきらめるなんて、あるいは結婚するにあたって学童職員の仕事を辞めないと生活が成り立たないなんて、どう考えたって、おかしいのです。そのおかしい状況を改善してこそ、少子化対策の土台が整うということだと私は思っています。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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