大手学習系事業者がアピールする「非認知能力」。放課後児童クラブ(学童保育)も非認知能力を伸ばす場所です!
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。
ことし1月ごろからテレビCMやウェブサイトで、大手の学習支援事業者「学研ホールディングス」による「学研教室」が、面白い広告を展開させています。「認知能力+非認知能力=生きる力」と題して、子どもの成長に、非認知能力が欠かせないことをアピールしています。もっともそれは、「お勉強ができる子」になるには非認知能力(広告で紹介しているのは、主体性、自己肯定感、やり抜く力、自制心)を備えて認知能力の伸長をより一層効果的にする、という狙いが込められていると私は見ています。もちろん私もその考え方には賛成です。ですので、この広告を見て、「そうだよね、それが大事だよね」という思いを感じましたが、同時に、「この勢いをもって学習支援事業者が放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営に乗り出したら、今の世の中の多くの保護者は、そっちを大歓迎するだろうな」と、複雑な思いも感じました。
当ブログで以前も記しましたが、私は育成支援を重視する放課後児童クラブは、まさに子どもの非認知能力を伸ばす、育む場所であると考えています。学研の広告に主体性や自己肯定感などのキーワードが出てきますが、放課後児童クラブ運営指針にも、次のように記されています。
「放課後児童クラブにおける育成支援は、子どもが安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整え、安全面に配慮しながら子どもが自ら危険を回避できるようにしていくとともに、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子どもの健全な育成を図ることを目的とする」(第1章総則 3 放課後児童クラブにおける育成支援の基本(1))
なお、非認知能力については、岩手県医師会のホームページに分かりやすい説明が掲載されていますよ。検索してみてください。
その岩手県医師会のホームページで説明されている非認知能力は、「自分に関する力」と「人とかかわる力」に区分されています。自分に関する力として、「自尊心」「自己肯定感」「自立心」「自制心」「自信」などが例示されています。人とかかわる力としては、「協調性」「共感する力」「思いやり」「社交性」「道徳性」などが例示されています。
学研さんの広告では、非認知能力の中でも、岩手県医師会のホームページによる、自分に関する力に注目しているようですね。自社が提供する学習支援サービスで、自分に関する力の非認知能力を伸ばすことができますよ、それは勉強に自らやる気をもって取り組める能力や意欲を育てることだから、認知能力そのものである勉強の成果をどんどん増やすことができますよ、という考え方なのでしょう。それは、その通りだと私も思います。
放課後児童クラブも、運営指針に記されているように、クラブで育つ子どもたちの非認知能力を(それと明確に掲げてはいませんが、事実上)伸ばすことを目的としています。それはまさに人間としての土台だからですね。しかも、岩手県医師会のホームページによる「自分に関する力」だけでなく、運営指針においては「人とかかわる力」も大事に考えていることが分かります。社会性を伸ばすということです。
よって放課後児童クラブは、こういうことができる施設、仕組みだと私は思っています。
・非認知能力のうち、自分に関する力を伸ばして子どもがその後の人生において必要となる主体性や自己肯定感などを身につけることで、前向きに、あきらめずに、困難にあってもくじけずに取り組める力を養うことができる。失敗をしても「次はうまくやろう」と苦難を乗り越える力を身に着けることができる。
・非認知能力のうち、人とかかわる力を伸ばしていくことで、特に社会に出て働くようになった時に必ず求められる協調性やコミュニケーション能力について不安なく社会に適応できるような力を養うことができる。もちろん、中学校や高校などのその後の人生の舞台において、多くの人と交わることについて不安を覚えないような他者との関りが自然にできるようになる。
多くの大人、社会人の方が実感しているように、社会に出てから、働くようになってから、人間に求められる能力は実のところ専門分野に関する認知能力だけではなく、実は非認知能力の優劣が重要です。同僚や上司、部下とのコミュニケーション、商談やプレゼンテーションで必要な機敏な発想、社交性、失敗やトラブルにぶち当たった時の回避法や乗り越え方、それら多くの場面で、「人として、生きる力、やり抜く力、時と場合によっては逃げる力」などが社会人には必要です。それらはまさに非認知能力のたまものです。
そして放課後児童クラブは、子どもがやがて成長していく中でこの社会において不安を少しでも減らせる、迷いを少しでも減らせることができる力=非認知能力を育てる場ですから、子どもがやがて進んでいく中学や高校、仕事の場において、社会の厳しいストレスに抗う、立ち向かう、うまくやり過ごす、跳ね返す、あるいは味方にしてしまうといった「たくましい生き方」を育てることができる場所なのです。
多くの放課後児童クラブは3月になると、新入所児童の保護者に向けて、クラブの説明会を行うことでしょう。多くの保護者さんは、「学童に行っている間は勉強はほとんどしないのだけれど、うちの子、大丈夫かしら。学力が遅れてしまうのではないかしら」と不安に思っています。クラブの事業者や職員は、堂々と自信をもって説明しましょう。
「放課後児童クラブは、非認知能力を育む場所です。非認知能力が大事なことは、あの学研さんも広告でPRしていますが、非認知能力が伸びていれば、その後、勉強するときに子どもが自主的に進んで、ガツガツと勉強するようになります。勉強嫌いな子ではなくて、勉強が大好きな子どもになる可能性を高めるチカラが、非認知能力です。学童は、クラブは、その非認知能力を存分に高めていく場所です。クラブにいる時代は勉強時間が塾通いの子どもより少なくても、クラブで非認知能力をしっかり伸ばしていった子どもは、あっという間に、その後の勉強で追いつき、追い抜きますから。安心してください。非認知能力こそ、子どもが社会で成功する重要な土台ですから」
そして最後に、これほど大事な非認知能力を子どもたちに伸ばさせるためには、クラブで働く人自身が、非認知能力の重要性を理解し、かつ、自分自身の非認知能力を伸ばし続けている必要がありますね。事業者は、職員の非認知能力を高める研修を絶えず行ってください。今の大人はすでに非認知能力が不安だらけの人が多く、そのような人がクラブ職員として働いている例がごく当たり前になっていますから。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。
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