トヨタ自動車の時短勤務に期待することと、多角的かつ総合的な「子どもの居場所づくり」への期待

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 トヨタ自動車が、育児時短勤務制度を拡大するというニュースが4月24日の夕刻に報じられました。同日夜に読売新聞が配信したネットニュースを一部、引用します。

 トヨタ自動車は、子育て世帯を対象とした時短勤務の制度を拡充する。従来は正社員が小学4年生まで、パートなど非正規が3歳までの子供がいる従業員を対象としていたが、一律で18歳までに引き上げる。職場ごとに今年6~7月から順次、運用を始める。(引用ここまで)

 具体的な時短勤務制度の内容までは報じれていませんでしたが、時短の程度については上司と相談して決めるとのことです。

 トヨタ自動車と言う世界トップ級の企業が、育児時短勤務の拡大を選択したこと、トヨタ風に言えば「育児時短制度をカイゼンした」ことは、とても重要な意味を持つと私は思います。
 トップ級の企業が導入したことはいずれ他の企業、あるいは社会的にも追随、歩調をそろえることもありますが、徹底的に合理化を推し進めて世界ナンバーワンの自動車企業となったトヨタが、「育児時短制度を拡大することが、自社の利益に値する」という判断をしたことが、極めて重要です。

 育児時短制度実施によるコストの増加(代替職員の確保等)よりも、現在活躍している従業員が離職せざるを得ないリスクを減らすことの方が、企業経営にとって重要であると、あのトヨタが判断したわけです。
 日本はどうやっても、企業が頑張ってモノを生み出す、あるいは新たなサービスを生み出し、それを売ることで儲ける構造の国です。産業、そして産業を支える人材が、資源の国です。育児時短制度の拡大で、人という資源を重要視することが大事だというトヨタの判断が、国の施策として取り入れられることを切に願うものです。
 そして、大企業を中心にこうした育児時短制度が拡大していくと、学童保育所の利用ニーズも、若干は減速する可能性があります。それは例えば、今までのペースでいったら新たな施設が10必要なところが8で済む、ということぐらいでしょうけれど、施設設置にかかるコストを減らすことができるのは大事なことです。

 もちろん、日本のほとんどは中小企業であって、なかなか育児時短制度が普及することは難しい現実があります。中小企業や自営業の方々のお子さんは、保護者の就労時に安全安心な居場所が必要でしょう。

 私は学童保育所が子どもの育ちに大変有益であると考えていますが、放課後や小学校の長期休業時における子どもの居場所について、そのすべてを学童保育所で受け入れることはコスト面や職員確保の面からして現実的には不可能であるとも考えています。また、すべての子どもが、19時までの受け入れが必要な家庭の子どもでもありません。実際、午後6時前に学童保育所にお迎えに来る保護者さんは相当数いらっしゃいます。学童保育所ですべての就労世帯のお子さんを受け入れることは、費用対効果の面でも優れているとは思えません。

 子どもの安全安心を確保できる居場所を多角的に整備することが重要です。例えば、子どもたちが自由に遊べる場としての「プレイパーク」だったり、「児童館」であったり、しっかりと目的をもって子どもを受け入れる「放課後子供教室」であったり、個別支援の形ですが家庭で子どもが過ごせる「ファミリーサポートセンターの事業」などです。

 当然、いずれもそこに従事する人を確保する=人件費の問題がありますが、それは子育て支援ですから行政が準備することになります。ただ、いずれにせよ学童保育所よりは低コストで済みます。なお、その際に重要なのは、ファミリサポート事業はともかく、プレイパークや児童館、放課後子供教室等、子どもの居場所を維持する業務に従事する人がワーキングプアに陥らないようにする配慮です。

 これらを多角的、総合的に整備し、就労世帯の状況や子どもの意志等にマッチした、子どもの居場所における選択肢を増やすことが、これからの子育て支援においては、非常に重要であると私は考えます。これらの中でも、放課後子供教室は国が熱心に推進していることもあり整備がしやすいでしょうが、現在行われているスタイルでは、子どもにとって過ごしやすい場には、なかなかなっていません。私のアイデアとしては、放課後子供教室を展開する際は、その地域の学童保育所(放課後児童クラブ)を運営する団体が放課後子供教室も合わせておこない、子どもと保護者の状況を常に把握し、必要に応じて、放課後子供教室と学童保育所の連携的な利用を可能とすることが望ましいと考えます。

 子どもたちが安全安心して過ごせる居場所を整備するのは、国、行政の役割です。地域ごとに特色があって当然ですが、専門職たる職員が配置されている学童保育所を軸に、種々の子ども居場所づくり事業を連携して実施できる区市町村は、きっと、子育て世帯にとって本当に過ごしやすい地域になるでしょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育組織運営に豊富な経験を持つ代表が、学童保育所の制度の在り方のみならず、子育て支援の施策に関して提言していきます。それらの運営に際しては、子どもたちと職員のことを考えた具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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