「80万人ショック」でも「小1の壁」は続きます。学童保育所の新規設置は継続が必要です!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。次元の異なる子育て支援の中核の1つとなる学童保育所の充実をサポートする重要性を訴え続けています。

 2月28日に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値では、2022年の出生数は過去最少の79万9728人で、統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割ったと報じられました。まさに「80万人ショック」です。急激に少子化が進行し、国の人口が近い将来、急激に減少していくことが現実味を帯びてきました。

 このことが、児童福祉の業界にどのような影響を与えるのか、専門家による調査分析が必ず行われ、やがていろいろな機会に発表されるでしょう。保育所の設置数、保育士の雇用労働条件、いろいろな分野への影響が必ず現れてくるはずですから。

 もちろん、学童保育所にも同様です。むしろ、保育所を利用する人数よりも学童保育所を利用する人数は少ないですから、母体となる子どもの人数の減少は、学童保育事業に多大なる影響を及ぼすことは容易に想像できます。

 ただし、注意が必要です。「これから子どもの数が急激に減るから、学童保育所への設備投資は、様子見だな」という考えは、絶対的に間違っているということです。

 まず、現時点で、学童保育所には待機児童が生じています。全国学童保育連絡協議会の調査では、2022年度では約1万5500人の待機児童が確認されました。さらに言えばこの数字はいわゆる「隠れ待機児童」(正式な申請をせずに口答等で学童への入所困難を知らされて申請をしなかったケース等)が把握されていないことにも留意が必要です。

 2022年度に小学1年生となった子どもたちは、2015年度の出生です。この年の出生数は厚労省の調べによると100万5700人余りでした。そして2022年度の出生数が約80万人となったわけです。

 学童保育を利用する割合はどの程度か。なかなか基準となるデータを見つけるのは困難なのですが、私のこれまでの業務経験上から概略で申し上げると、入所率が高い地区(大規模団地や新興住宅地がある地域)、それほどでもない地区、すべて平均すると3割程度です。この入所率は、現象として、年々、徐々に上がっていっています。

 仮に、100人の小学1年生がいたとして、3割が入所すると30人の学童保育利用者となります。
 さて100人が7年後に80人になりました。2割減ったわけです。
 しかし、入所率が4割になったらどうなるか。80人の4割ですから、32人となります。

 つまり、小学1年生が100人で3割入所で30人の学童保育利用者であったときより、小学1年生が80人と少子化が進行しても入所率が1割上がるだけで、学童保育利用者数はむしろ増加するのです。

 これは、学童保育の入所率が高い地区はさらに急激に進行します。大都市圏近郊の住宅地で、子育て支援に力を入れている地域ほど、学童保育の待機児童の生じるケースが増えるわけです。さいたま市が、まさにその典型例といえるでしょう。

 今後行われる子育て支援策の拡充、少子化進行を食い止める各種施策が実施されることは、学童保育に対するニーズを高める方向に動きます。そして残念なことに物価上昇に伴う生活苦から、これからさらに夫婦で働く時間は長くなるでしょう。世帯所得の減少傾向のトレンドから、収入を増やすために親が働く時間はさらに長くなることが予想されます。すべてが、学童保育に対するニーズを増やす傾向にあるのです。つまり、学童保育の入所率は、これからも右肩上がりなのは間違いないところです。
(もっといえば、大地震や子どもへの犯罪があると、安全安心の場所を求める意識が高まり、これも学童保育へのニーズを高めるのです)

 少子化が進行しても、学童保育の利用者数は基本的に減らない可能性が高いということを、子育て支援に関わる人たちは常に念頭に入れておくべきです。そもそも、「現時点で待機児童が生じていること」に対する解決策を実施することは、社会の責務であります。

 少子化が進行するからといって、学童保育の施設数の増加を見合わせるとか、学童保育に関する予算を減らすなどといったことは、絶対にあってはならないことが、お分かりいただけると思います。

 学童保育という事業は今後も必要であり、さらにそのニーズは高まっていく。事業の質を向上させることはもちろん、そのために学童保育で働く人の雇用労働条件を向上させていかないと、質の高い学童保育(育成支援)は実施できませんし、バックオフィスもしっかり整えないと、質の高い育成支援は実施できません。

 学童保育にまつわる施策の立案助言、見通しなど、それらのことも、弊会「あい和学童クラブ運営法人」の「運営支援」の事業範囲です。

 次元の異なる子育て支援が大きく実施されようとしているいまこそ、質の高い学童保育事業を実現するチャンスであり、それはとりもなおさず、子育て支援が充実したまちづくりのチャンスであり、成功すれば自治体の活性化につながるのです。

 ぜひとも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援が充実したまち、という評判を自治体に確立させることができる効果的な手段でもある学童保育の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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