「言うことを聞かない子は学童で預かれません」と考える放課後児童支援員は、学童保育で働く資質はありません。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。
学童保育(今回は放課後児童健全育成事業、すなわち放課後児童クラブを指しますが、育成支援を行っている学童保育所、という前提です)に関わる人たちの願いは、「学童保育の専門性を社会に理解してもらいたい。学童保育の仕事は、こどもの育成支援と言う専門職であることを知ってもらいたい」ということだと、私は理解しています。
つまり、学童保育は、ただ子どもを預かっているだけでなく、そこで子どもたちが育っていくことを職員(放課後児童支援員等)が支援、援助するという事業だということを、広く社会に理解していただきたいということでしょう。現実に、そういう理解が薄い、理解に欠けているからこその希望なのです。
ところが現実はどうでしょうか。残念ながら、学童保育所の正規職員、常勤職員ですらも、「ルールを守れない、言うことを聞かない子どもは受け入れたくない。学童をやめてもらうことができないのか」などどいう考えを持つ者が存在するのです。絶対数としては少ないかもしれませんが、確実に存在しています。
私としては、本当に残念です。「言うことを聞かない子どもにはやめてほしい」ということを考える時点で、放課後児童支援員、学童保育所の職員としての専門性を自ら放棄しているからです。もちろん、心の奥で、「嫌だな、つらいな、もう何とかならないのか」と思うことは当然でしょうが、それを「ああいう子が学童を辞めてくれればどんなに平和になることか」と思いいたることがあったとしたら、そういう思考になってしまうとしたら、学童保育所で働く資質はありません、ということを私は突き付けます。
もちろん、きれいごとや理想論だけで片づけてはなりません。現実に学童保育所には、職員の指示を受け入れない、暴れて他者をけがさせる等、種々のいわゆる「問題行動」を起こす子どもも少なからず在所しています。そういう子どもたちへの対応で、職員が頭を抱え、心理的にストレスを抱えるという現実的な問題が存在することも当然です。その問題の解消として「言うことを聞かない子どもに、やめてもらう」ということは、絶対的に回答とはならない、ということです。
「なら、具体的にどうすればいいのか。解決策を提示してみろ」と、必ず声が上がるでしょう。私は、「言うことを聞かない、指示に従わないという子どもの状態に向き合っている支援員として、その子がそうすることの要因は何かと推測しているのか?保護者にはどう話をしているのですか?保護者の子育てについてはどのように相談したのですか?」と、問い返しすでしょう。「職員の行くことを聞かない、反抗する、そういう子どもこそ、育成支援が関わるべき子どもなんだよ」と言います。(ちなみに、経営側の立場にいる私の仕事は、「育成支援と言う専門性の高い、難しいミッションに取り組む従業員、職員のみなさんに、満足するような報酬を用意すること。そのためにあらゆる努力を惜しまないこと」です。経営、運営側にいる者に育成支援を行えというのは、育成支援を業とする者に経営責任を負って事業執行してみなさいという、無茶な命題と等しいことを理解していただく必要があります)
人間の行動には必ずその行動を起こさせる理由があります。子どもが言うことを聞かないとしたなら、その行動要因を探り、把握し、その除去に努めることが、学童保育所の正規職員、常勤職員として当然、行うべき業務の範囲です。
すなわち、子どもの成長を支援するということは、その子が抱える心理面、環境面を含めてその子の「すべて」を理解しようと努めることが大前提です。つまり、「まずは、その子を受け止める」ということです。受容すること。その上で、問題行動と呼ばれる行動を繰り返す子どもも、間違いなく心にどうしようもなく積もった苦しみ、ストレスがあるはずだとして、その苦しみやストレスを取り除くために必要なことを行うことが、子どもの育成支援の重要な業務のはずです。
そのために、子どもと向き合うこと、保護者と面談を繰り返すこと、学校や、その他の専門機関と連携して助言を仰いだり対応への指示を受けたりすること。当然、現場の職員だけでなく、運営本部も全面的に取り組むことが必要です。必要な施策を実施できるように予算措置をする、現場の人員不足による影響があるのなら人員配置をして現場職員をバックアップするなど、現場と経営が一体となって取り組むのです。
極めて難しいですね。だからこその専門職なのです。それが学童保育で働く仕事、なのです。
それを「ああいう子がいなくなったら仕事が楽になる」とか、「問題行動を起こしたらやめてもらうとい誓約書を書いてもらいたい」などというのは、子どもの育ちを支える職業の人がそう思うこと自体が、私にはとても残念です。(なお誓約書は、現実的な損害に対する賠償を確約する性質のものであるなら、むしろ当然だと私は考えます)
学童保育という事業形態に対する社会の評価がなかなか上がらないのは、やはり、現実に全国各地で行われている学童保育所での、職員による支援が、結局は「職員の言うことを聞かせて子ども(集団)を動かして、保護者の迎えの時間まで過ごさせる」という、「預かり事業」と化していることが多いのだろうと、私は考えています。それでは何年たっても、学童保育への社会への理解と評価は高まりませんし、専門職としてリスペクトされることもないでしょうし、いつまでたっても賃金は低いままでしょう。まして「子どもを指導する」的な考えや、「指導員として子どもに正しいことを指導する」などと堂々と語る者がいるようでは、社会に、学童保育の高度な専門性は理解されないでしょう。大変、残念です。
やはり、学童保育に関わる人、現場も運営もですが、育成支援に対する論理的な理解が決定的に欠けているからでしょう。育成支援の理論化が遅れているということです。このことは改めて問いますが、「学童保育(育成支援)に関するシンクタンクの必要性」を私は痛感しています。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所における専門性向上、職員の資質向上について種々の具体的な提案を行っています。また、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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