「説明責任」を理解し、実行する。命を守る場所である事業なら、当然のこと。できない、しない、はありえない。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 説明責任という言葉は、少なくともこの数十年の間、組織が最優先として取り組むべき行動として社会に理解されるようになりました。説明責任という言葉が使われる状況は、おおむね、ある組織(またはその組織に属する人物)が、事件や事故などを起こしたときに、「なぜ、どうして、そういうことが起きたのか」を、その組織(の責任者)が、社会に対して明確に説明する必要が生じている場合です。
 なぜ説明をしなければならないか。それは、組織たるものが社会に存在している以上、その社会に関わっていることで存在が出来ているのであるので、利害関係がある人たちだけでなく、社会に対して説明をすることが社会的な責任の1つである、という理解になるでしょう。

 もちろん、直接の当事者に対しては、事故や事件に関する情報や状況は、逐次、遅滞なく、必要な限りすべてを伝える必要があるのは、言うまでもありません。説明責任という言葉には、直接の当事者に対する説明を「当然、行っている」という当たり前の前提があって、さらにその上に、「直接の当事者ではない関係者はもとより、社会一般に対して」の説明をする必要がある、という理解でよいでしょう。

 いま、大阪府内の放課後等デイサービス事業所に対し、昨年に発生した利用児童の死亡事案に関して、ご遺族の方が、事案に対しての詳細な説明やその後の安全対策などの対応について説明を求めていながらそれが行われていない、という状況になっています。保護者ご遺族が説明を求めているということは、仮に、何らかの説明を事業者が行ったとしていても、直接の当事者たる保護者ご遺族にとっては、説明がされたと理解されていない状況であり、それは「事業者が説明をしたとはいえない」ということになると私は考えます。
 私としては、事業を利用していた人が命を落とすという絶対にあってはならない事案に対して、事業者が、ご遺族の方に十分な説明を果たしていないという状況になっていることが、まったく信じられないのです。なぜ、そのような状況になっているのか、私には詳細は分かりません。この事案については行政処分はすでに行われているようですが、事案は処分が下されたからそれでおしまい、ではありません。

 もしかすると、現時点では、何か説明ができない事情が事業者にあるのかもしれない。であるならば、その事情を含めて、説明ができないという事情を丁寧にかつ速やかに、保護者ご遺族に説明をするべきなのです。それすら行われていないようであり、私には理解に苦しむことばかりです。
 一刻も早く、保護者ご遺族に事業の責任者が面会をして、説明をするべきです。このままでは、保護者ご遺族に与えた精神的苦痛は増すばかりです。また、放課後等デイサービスには国から多額の補助金が交付されている事業形態です。その補助金は国民の税金です。事業者が事案について真摯に説明をしないということは、納税者たる国民に対する背信行為にもなりえます。「公に存在している事業である」ということがどれほど重い意味であるのか、改めて関係者には向き合っていただきたいと願います。

 上記の件は、事業の運営、経営の観点からすると、リスクマネジメントとクライシスコントロールの双方において重大な失態です。そもそも事案を起こした時点で、リスクマネジメントができていなかったのですが、不幸にも事案が起こったその後の対応が、伝えられる限りにおいては信じられないほどずさんなように私には思えます。保護者ご遺族の方が、事態には納得していないとしても少なくとも状況の説明があったと理解することに至っていない時点で、事案の事後の対処を誤ったのは否定できないでしょう。その結果、事案そのもの以外について法的なトラブルに発展することは容易に想像できますし、社会からの信頼も損なわれる可能性が大いにあるからです。それは事業継続において不利な局面を招く要因になります。事業者にとって重要なことは、安定かつ継続的に事業を継続することです。それが脅かされるリスクを増すようなことは、事業の経営者は絶対に犯してはならないことです。

 学童保育所も、多くの子どもの命を守る場所である以上、利用している保護者は当然のこと、行政や社会に対して、起きた事案についてしっかりと説明することは当然です。法律で義務付けられていないとしても、社会に存在し、まして補助金が交付されているとするなら、納税者たる国民に対しても、状況を明らかにすることは必要です。利用児童に対する権利侵害が起こった場合だけでなく、事業活動の状況、及びその結果を、いろいろな形で情報を発信することが重要なのは言うまでもありません。
 よもや、学童保育所内で子ども同士のトラブル、いじめが起こったとして、事業の運営者に保護者が説明と対応を求めた状況があったとして、「それは現場に任せていますから」などと対応してはいませんか?それは事業者として最低最悪の対応です。どんなことであれ、ましてトラブルやいじめのような子どもに対する負の侵害が発生したと想定される事態であればあるほど、組織運営者は、迅速に、真摯に、丁寧に当事者と対応する必要があります。それができないなら、多くの子どもの命を受け入れるという学童保育事業に関わってはなりません。

 当事者はもとより、社会に対して説明ができない、しない、はありえません。学童保育に関わる人は当然、このことを理解をしているはずだと思っていますし、そうであってほしいと切に願います。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所におけるリスクマネジメントとクライシスコントロールについて種々の具体的な提案を行っています。また、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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