「日本の学童ほいく」3月号は、学童保育で働く人の仕事と労働条件の特集です!ぜひご一読を!

(代表萩原のブログ・身辺雑記。なお、本文と猫の写真は関係ありません)学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」萩原和也です。身辺雑記です。「日本の学童ほいく」2023年3月号が届きました。私が最も興味関心のある分野のひとつです。

 特集は「たしかめよう 学童保育指導員の仕事と労働条件」です。名古屋市の放課後児童支援員の方と、山形市の同じく放課後児童支援員の方、神奈川県横須賀市の現役保護者さん、そして編集部の寄稿と、4本立ての特集です。

 名古屋市の方、山形市の方、ともに、まだ学童保育で働く人に対する労働条件や処遇が大変厳しい時代から育成支援に従事され、収入も、人の配置も不十分な中で、今に至るまでずっと、子どもたちの支援に携わっておられること、本当に素晴らしく、その情熱と理念に、心から敬意を表します。生半可なことでは、とてもじゃないけれどできませんから。特に、お盆や年末年始に副業をしていたという告白には、胸をうたれました。学童保育の仕事だけで生活を成り立たせることが、どれほど困難なことであったのかが、よく伝わってきました。

 保護者の方の寄稿も、研修費や退職金の改善に尽力された経緯が紹介されていて、「指導員さんの労働条件を整えることは本当に必要なことだ」と感じていらっしゃることは、学童保育で働く人にとって、とても心強いことだと思います。そういう保護者さんは、全国にまだまだ、大勢いらっしゃるのだと思います。

 編集部の寄稿では、分かりやすく、現状の紹介と問題点、補助金の改善の過程、そして課題が説明されています。私は特に、その寄稿でうれしく思ったことがありました。「学童保育の運営費に対する国の補助金は、保護者が二分の一を負担することを前提に算定されていること、国が補助単価の三分の一の金額しか負担していない補助金が多いことなどは大きな課題」と指摘されていることは、私が以前から改善を(一人で勝手に)訴えていることでもあり、大いに共感、賛同するところです。

 学童保育の世界から、学童保育で働く人たちを守るために常に声を挙げていくことは、絶対に必要なことと思います。

 また「協議会だより」で、岸田文雄首相の年頭記者会見のことについて記載があります。ここで重要と感じたことがあります。学童保育という言葉を大切に使ってきたことと、首相が記者会見で言及された学童保育の強化というくだりについて、放課後児童健全育成事業としてのテコ入れなのか、ということに注意している、ということです。これは、今後展開される、次元の異なる子育て支援の種々の政策の行方がどうなるかを、しっかりと見極めていく必要があるということだと思います。まさに同感です。

 大変すばらしい特集と内容です。
 ということで、あえて申し上げたいことがあります。

 学童保育で働く人の雇用労働条件、労働環境の改善を訴えるには、やはり、客観視できるデータが何より大事です。できることならば、例えば、学童保育の先進地帯である地域での放課後児童支援員の所得と、「午後だけ勤務の1年単位契約の放課後児童支援員」との所得の違いをデータで示すことや、学童保育先進地域の中でも、無期雇用を基本としている運営組織に雇用された放課後児童支援員と、指定管理を受けた営利企業に雇用されている契約職員としての放課後児童支援員の所得の違いをデータで示すこと、そういう工夫があると、より力強い訴求力が得られると思います。都道府県ごとの比較や大都市とそうでない自治体における放課後児童支援員の初任給の平均額など、データで見ることができると、より、問題点が明確になるだろうと思います。

 所得だけでなく、平均の配置人数の比較もあるといいでしょう。職場における労働環境は、従事している職員数にも左右されますから。

 また、雇用労働条件の改善に、どのように運営組織側が取り組んできたのか、実現できたこと、どうしても実現できていないことも、紹介するとより、具体的に問題点が伝わってくるだろうと思います。

 大事なことは、「これまで頑張ってきた。今はここまでよくなった」という例の紹介も大事ですが、「まだまだひどい待遇が現にこうして存在している」という例もまた、併せて紹介することです。頑張ってきたことへの理解と共感は大事ですが、「頑張ってきているのに、良くなっていない」という例を紹介してこそ、今後の課題がより明確に社会に向かって呈示できると、私は考えます。

 協議会だよりの、学童保育という呼称を大事にしてきたという表明には、「大事にしているからこそ、学童保育というワードが指し示すことを、改めて定義しなおした方がよいのでは」と、私は考えています。残念なことに、マスメディアをはじめこの社会全般は、いわゆる「学習支援系・体験強化系」の児童受け入れ施設もまた、学童保育という範囲に含めて理解しているのが実情です。
 「そうではない、学童保育は、児童福祉法に規定された放課後児童健全育成事業のみを指す」というのであれば、業界が自ら、学童保育という単語の定義をしっかりと打ち出して自らが積極的に使用していくという姿勢が、何より大事であると、私は考えています。

 あとは、依然として「指導員」呼称で統一しているのは私個人としてはそろそろどうなのかな?と思いますが。

 子どもの最善の利益を守り、子どもの育ちを支えて保護者の就労機会を守ること、子育てに悩む保護者に寄り添うことは、学童保育の最大の使命です。そのために、学童保育で働く人の処遇改善は極めて重要な課題。引き続き、「日本の学童ほいく」誌を灯台の明かりとして、全国の学童保育に関わる人が学童保育にもっと関心を持っていただければ良いなと、心から感じています。

 来月号も、楽しみです。
 全国の自治体で学童保育を担当される方や営利企業で学童保育を運営されている方にも、ぜひご一読をお勧めします。

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