<運営支援ブログミニ58>増えている育児休業中の放課後児童クラブ利用OKですが、くぎを刺しますよ。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 ミニブログです。読売新聞が真正面から取り上げた、育児休業中の放課後児童クラブ利用制限に疑問を呈する記事を受けて、国(こども家庭庁)は育児休業中の児童クラブ入所を妨げない旨の通知を全国に出しました(2026年6月29日付)。これを受けて全国の自治体では、保護者が育児休業中でも児童クラブを利用できること、入所できることを明確にしつつあるようです。かねて保護者の在宅要件を撤廃するよう訴えてきた当運営支援ブログには大歓迎です。ですが1つだけくぎを刺しておきます。「形は整えたが実質は不可」ということがないように、ということです。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<相次いで入所OKになっているようです>
 わたくしは全国の市区町村のHPによる児童クラブの実施状況を確認して「市区町村データーベース」に情報を掲載しています。現時点で2巡目、「か」で名前が始まる自治体を確認していますが、このところ、保護者が育児休業にある場合の児童クラブ入所(利用登録)について変更を示す自治体が相次いでいます。例えば新潟県柏崎市ですが、入所案内資料を改訂し、育児休業中も利用要件を満たすことが明示されています。インターネット検索でも相次いで自治体が対応しているようです。埼玉県所沢市は国の通知を受けて「今後、保護者が育児休業を取得された場合、年度内の継続利用を可能とします。」としたようです。子育て支援で全国トップ級の知名度を誇る千葉県流山市もHPで「本通知を受け、本市においても令和8年7月1日より育児休業期間中の方の利用を認めることとしました。育児休業を取得している方については、事由が「就労」となりますので、就労証明書の提出が必要となります。」と、育児休業中の保護者も児童クラブ利用が可能となったようです。

 報道では、従来の保護者育児休業中の利用を当面認めないという自治体もあるようですが、おおむね、国の通知を受けて局面が変わりつつあるようです。
 (やはり国の通知はそれなりに効果がある場合がありますからね、児童クラブ職員の雇用労働環境改善に関する国のリーダーシップを期待したいです)

<運営支援は以前から訴えてきましたよ>(この項のみ再掲載)
 運営支援はかねて、「児童クラブを必要とする世帯が児童クラブを利用できるように」と訴えてきました。育児休業中の児童クラブ利用に関しても、利用できるようにという主張をしてきました。
 例えば、2023年3月23日付のブログでは「学童保育はそもそも、子どもの安全安心な居場所を求める保護者の自主的な行動からスタートしたもの。つまり、社会のニーズに対応して誕生し、発展してきたものです。現在の、少子化が急速に進行する時代、かつ、子育てが多くの保護者にとって負担を感じる時代にあっては、社会が新たな形で子どもの居場所づくりを求めるのであれば、学童保育の世界も、それを真っ先に受け止めることが必要です。社会のニーズに応えるのが、社会インフラとしての学童保育の当然の役割です。」と、書きました。
 2023年4月10日付ブログでは「制度名として「児童健全育成支援事業」と再定義すること。「放課後」を削除。内容からは「就労等で保護者不在」を削除。児童を受け入れる時間は長期休業時はもちろん、今後は朝への対応を考えるとなると、もはや「放課後、親が仕事などで不在」という要件を修正する必要があるからです。また、子どもの成長を支えるという職務から、「育成支援」という文言を積極的に使うように提案します。」と書きました。
 2025年4月15日付ブログでは「保護者のワークライフバランスの重視。保護者の充実した生活を支えるために児童クラブを活用する。「レスパイト」の重要性。→育児と仕事の両立は大変です。仕事が休みで在宅、でも育児は「当然、保護者がやるべきこと」というのは理屈では分かりますが保護者の心労は解消されません。保護者にも休息が必要です。仕事が休みの日に、育児についても放課後の数時間でも、あるいは長期休業中の一日であっても、時には保護者自身の休息、あるいは保護者自身が特別に行いたいことに打ち込める時間を、児童クラブを活用することで確保することは、保護者の生活を支える合理性があります。ワークライフバランスの「ライフ」を充実させることが必要です。「昔の親はそんなことを言わなかったぞ」という批判についてはまともに取り合うことはしません。「昔と時代が変わったんだよ」というだけです。」と、書きました。

<自治体にくれぐれもお願い>
 さて入所の要件が育児休業に関しては「緩和」されたのですが、わたくし萩原が気になることがあります。それは「国の通知(=実質的な指示)なので対応を変えました。変えましたが、地域の実情に応じて児童クラブを運営することは変わりませんので、育児休業の保護者の方の入所の優先順位については適切に取り扱っていきます」と、入所の優先順位としては後回しになり、他の世帯の入所を優先した結果、待機児童になってしまう、ということが、わたくしには予想されます。
 例えば、入所者を選考する際に点数制を採用している地域は珍しくありません。保護者が育児休業にある場合に「大人が家にいるんだから」と極端に低い点数を割り当てていれば、結果的に入所できる可能性は減る、ということになります。少しだけ点数が低くなるのは、まったく保護者が不在にしている状況と比較してそうなるのはやむを得ないとしても、極点に点数が低くなっては、結果的に「形は変わっても中身は何も変わらない」ということになってしまうので、それだけはやめてください。
 制度は変えたが、運用の仕方によって結局は従前と変わらない、という状況であれば、全く意味がありません。

 児童クラブの定員や入所登録可能な人数の方が、児童クラブへの入所を希望するこどもの人数を上回っていれば、そのような心配も杞憂なのですが、待機児童を出している地域においては、「結局は何も変わらない」ということになりそうで、わたくしは心配です。

 育児休業中だからと児童クラブ入所登録を断っていた地域では、もはや国の通知で状況が変わったのですから、過去の育児休業中における利用登録申請数を調べたうえで将来予測の変更が必要です。今後、児童クラブを利用する人数の見通しの変更、量的な変更をして、第3期子ども・子育て支援事業計画や、こども計画の見直しに反映させることが必要となるでしょう。

 最後に。運営支援としてはかねての持論の「保護者が必要とすれば児童クラブを利用できるようにすること」を国が認めて実施することを希望します。保護者の留守要件ではなく、「子育てが難しくなった時代」を率直に認めて「保護者と児童クラブが一緒に子育てする。(希望する)保護者の子育てを常に児童クラブが支えることができるようにする」という位置づけにすることです。放課後児童健全育成事業から「児童健全育成事業」への進化発展ですね。保育所だって、少子化対応を踏まえて「こども誰でも通園制度」を実現したじゃありませんか。児童クラブにだって同様な措置が必要となりますよ。その際は、より子育てに寄り添った「こども誰でも児童クラブ」が必要です。育児休業中を就労中と認めて児童クラブの利用を明確に認めたことを一歩前進として、さらに社会全体の子育てを可能とする仕組みに児童クラブが貢献できるようになることを、運営支援は強く願うものです。

 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 わたくし萩原が社会保険労務士となり、「あい和社会保険労務士事務所」を開業してから1年が過ぎました。ここまで続いてこれたのはひとえにみなさまのおかげです。どうもありがとうございました。「あい和社会保険労務士事務所」は、放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしてこども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS制度を含む)に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
 第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
※ミニブログは、ページ全体の文字数が多くても7,000文字程度の投稿を指しています。また、文字数が多い場合でも「肩の力を入れずに気楽に読んでほしい」という内容の場合もあります。

投稿者プロフィール

萩原和也