<運営支援ブログミニ47>令和8年熊本地震の悲劇。放課後児童クラブ(学童保育所)も気を付けるべし。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
 令和8年熊本地震は本日(2026年8月4日)で発災から1週間を迎えました。甚大な被害をもたらしています。折からの酷暑が被災者の方々を苦しめています。一日も早く落ち着いて避難生活が送れるようにと願っています。この大地震では組織運営に関わる者として、また社会保険労務士としても見逃せない悲劇が起こりました。地震に襲われたショッピングモールで、避難したテナントの従業員に会社が金庫の金の管理を求めてきたので就業先に戻ったところ、爆発に巻き込まれて死亡したという事案です。この事案、放課後児童クラブの世界でも他人事ではないとわたくし萩原は恐ろしく感じました。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<あまりに痛ましい事案>
 非常にいたましい事案です。爆発に巻き込まれて亡くなった被害者の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご遺族の無念、お怒りはごもっともだと感じます。この事案、すんなりと解決とはとてもならないでしょうが、わたくしはこの事案について会社側、従業員側それぞれにこうするべきだったと軽々に申せる立場ではないですし、この事案の性質について物を申したいのではありません。この事案の構造が、放課後児童クラブの世界では起こりがちではないかと危惧をしており、そのことを今回のブログでは伝えたいだけです。

 まず熊本の事案について報道記事を一部引用して紹介します。ヤフーニュースに2026年8月3日12時15分に配信された朝日新聞の「イオン爆発で2人犠牲 「売上金を金庫に」と指示、店舗幹部が謝罪」の見出しの記事です。
「取締役(64)は地震後に従業員2人が避難後、店長を通じて2人にレジの売上金を金庫に移すよう求めたことを明らかにした。」
「偶然遭遇した親族に「会社からレジの売上金を金庫に入れるように言われたから戻る」と言い残し、同僚とともに館内に戻った後、爆発に巻き込まれた。」
「取締役が再び店長に電話して、店内に残された従業員の荷物の有無を確認した上で、「もし戻れるのであれば、売上金を金庫に保管して欲しい。無理なら可能な範囲で良い」と伝え」
(引用ここまで)

 あまりにも悲惨だとわたくし萩原は感じます。失われないで済んだ人命が失われたという考えです。 
 
 <児童クラブの世界に置き換えてみる>
 わたくし萩原は何を恐れているのか。熊本の事案は、企業の経営側が「売上金の安全な管理」をあらゆることの最上位に位置付けていたのではないかとわたくしには感じられます。これが児童クラブの世界では「こども(とこども関連の記録)」が、児童クラブの世界の最上位に来ているので、地震などの災害時や犯罪発生時に、児童クラブ運営側や児童クラブの職員集団ひいては職員個人の意識においても、(自分自身を含む)児童クラブ職員の人命や身の安全を確保するよりも、「こどもに関すること」が優先されてしまうおそれが完全に払しょくできず、その結果、職員に被害が及ぶ事態が起こるのではないかと、わたくしには不安が募るのです。

「まさか、そんなことは無いでしょう」と思われる人がほとんどでしょうし、実際にそんなことが無ければいいとわたくしも願います。願いますが、児童クラブの世界にそれなりに首を突っ込んで生業にもしてきた身からすると、「こどものために己の犠牲をいとわない」という、誤った「こどもファースト」が至る場所でこびりついてしまっている世界であると目の当たりにしてきたので、どうしてもそういうおそれをぬぐえないのです。

 なお、こどもと職員の生命身体、身の安全を最上位に守ることは当然です。わたくしが危惧しているのは例えば次のような状況です。
 <「台風による集中豪雨で近くの河川に氾濫の危険性がありレベル4の警報が出た。児童クラブも臨時閉所し、こどもたちは全員、保護者の迎えで降所した。職員も当然、帰宅し避難をすることになるが、児童クラブの運営側から「万が一、洪水になったときを考えてこどもの記録は高いところに置いて」と言われ「それはそうだ」と職員も(こどものことは大事だから)としてクラブに居残っているうち、洪水に襲われてしまった。>

 わたくしが危惧しているのは「こどもは何より大事」という意識が、児童クラブの運営や職員にしっかりと根付いていればいるほど、「いま、最も優先されるべきは何か」という判断を誤らせたり、曇らせたりすることです。こどもの育ちを支えている児童クラブの使命に対して、真摯であり真面目である運営主体や職員であればあるほど、「こどものことは絶対的に最優先に重要で大事で守らねばならない」という、いわば「絶対的こどもファースト」にとらわれてしまって、「本当は人間の命こそ最も大事」であるという当たり前のことを意識することを妨げてしまうというおそれを、わたくしは感じてしまうのです。

 それは例えば、「こどもに関する業務が終わるまでが自分の勤務時間」と考えて、連日の長時間時間外労働や休日出勤を繰り返す児童クラブ職員の姿から、感じてしまうのです。なにせ、「もう3週間も休みなく働いている。それでクラブのこどもたちが安心して過ごせるなら自分は頑張れる」という児童クラブ職員に、惜しげもない拍手が贈られる世界なのです。本来は「休みが確保できるような職員配置をまず優先して考えて措置を実行する」べきなのに「こどものためにこんなに頑張っている児童クラブ職員」の姿に賛辞が贈られてしまう世界だからです。それは賛辞ではなく惨事を招いているのに。

<意識しよう。まずは自分が生きること>
 こどものことを大事に思わない職員であっては困るのですが、「こどもに関すること」が職員の生命身体を守ることよりも上位に位置付けることこそ、あってはなりません。「こどものこと、大事じゃないの?」と言わないでください。それは客観的に冷静になって「何が大事?」という判断ができていない人でなければ言えないことだと、わたくしは考えます。

 地震だろうが火災だろうが風水害だろうが、あるいは突然の不審者の侵入であろうが、いつどのような致命的な事象が起こるか完璧に予測するのは難しい。もし児童クラブの運営主体や児童クラブ職員集団、また職員個人が、「このままクラブを空にしてしまったら、後々、困るかもしれない」という意識を持ちがちであるなら、普段から、例えば記録であればバックアップを常に取って、容易に破壊されたり壊れたりしないような環境に留めておく備えをしておけばよい。それでも、万が一の場合には、「生き延びる」ことが大事です。記録なんて人の命に比べればなんてことはない、ということです。
 「今はそんなことを気にしなくていい。とにかく職員全員が安全な場所に退避してください。避難してください」と、当然のように当たり前に指示できる、口にできる児童クラブの運営主体であってほしいですし、そう口にできる職員であってほしいとわたくしは強く望みます。

 「こどもは何より大事」なのは当然であるとしても、それは職員の命と引き換えに、ということではないと、わたくしは言いたいのです。「では、刃物を持った不審者がクラブに突入してきた。こどもを放置して職員が逃げてもいいのか」という意見は、ただ単に反論したいだけの質問です。そういう場合はこどもを避難させつつ警察に通報し、その場にいる人が1人でも多く助かるように行動するだけの話です。こどもを置きざりにして職員だけが逃げるというのはもちろん違います。こどもも職員も一緒に逃げて生きられるようにする、その場において最善の選択をすることが職員の務めです。

 「こどものため」で、職員の生命身体が脅かされることがあってはならないと、言いたいのです。ましてそれが記録や物品など「実は後でどうにでもなるはずだ」というものと引き換えに、職員の命を危険にさらすことはしてはならない。「こどものためなら」という文言が強力な呪文となって児童クラブの運営主体や児童クラブ職員の選択の幅を失わせるようなことはしてはならない、と私は言いたいのです。こどものこと、放課後児童健全育成事業にひたむきで真面目である運営組織や職員であればあるほど陥りやすい誤謬であると、わたくしは不安をぬぐえないのです。

 児童クラブの職員のみなさん、生きてこそ、です。生きていればまた次の日から、こどもの日常を援助支援できるのですから。クラブを経営、運営する側(=使用者)は職員の安全を守る義務がありますからね、とりわけ、十分に留意してください。

 (お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
 第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
 第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
 第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
 第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
 第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s

 わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
 「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
※ミニブログは、ページ全体の文字数が多くても7,000文字程度の投稿を指しています。また、文字数が多い場合でも「肩の力を入れずに気楽に読んでほしい」という内容の場合もあります。

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萩原和也