衆議院が解散されました。公示まで、放課後児童クラブの改善点をどんどん発信していこう。候補者に届けていこう。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。10月9日、衆議院が解散されました。これによって10月15日に公示、27日に投開票という超短期決戦での衆議院議員選挙が実施されます。公示の前までに、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)について改善を願うところを、SNSでどんどん発信していきましょう。政治家の目に留まることを期待して。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<放課後児童クラブ業界の弱点>
放課後児童クラブに関わる人の多くは本当に純粋で「子どものため、保護者のため」理想とする場所を営み続けたいと願い、活動をしています。昨日のブログで私が皮肉的に取り上げましたが「子どものため」という児童福祉を願う気持ちは崇高です。ただ残念なことに、「子どものために、こんなにいいことをしているのに、どうして理解されないのか」という考え方に陥ってしまっては、ダメです。それはつまり自己中心的な考えだからですよ。
児童福祉の世界でなくても、反社会的なものでなければ、全てが世の中の人のために役立つ事業であり営みです。それに優越して児童福祉の事業だけが絶対的に優れている、という考え方は危険です。「相対的に」優遇されることはあるでしょうが、「物流の仕事より、メーカーの仕事より、児童福祉の児童クラブの事業の方が素晴らしい。だから国はもっと手厚い支援をしなさい」という考え方はまったく意味がありませんし、有害です。実は残念ですがそのような考え方をしている児童クラブ業界人は、ことのほか多い。
大事なのは、「相対的に」児童クラブの業界を評価し、「いまは児童クラブの世界にテコ入れすることが国、社会の利益になる」と思わせるための行動です。だれにそう思わせるのか。それはもちろん社会全体、つまり国民ですが、そのためには広く社会に「今は児童クラブにテコ入れすることが大事だよ」と思ってもらうための機会や手段を児童クラブ業界が活用しなければなりません。メディアによる報道も1つですし、選挙に立候補した議員が児童クラブの必要性を理解してその改善が必要となればそれは有効な手段にもなります。そして今はSNSという大変便利な手段があります。30年前には、個人が社会に向けて意見を発信できる機会はせいぜい新聞の投書欄でした。ところがいまは全く違う。1人1人が社会に向けて意見を発信できます。これを活用しない手はありませんよ。
<これも弱点であるロビー活動>
私は、児童クラブのことを社会に知ってもらう重要な機会、手段としてメディアと議員(政界)、SNSの発信という三本柱に期待しています。議員は予算の審議を通して政策、施策の合理性や必要性を議論し判断します。実際に施策を立案して実行する行政機構に対しては、メディアやSNSの働きで形成された世論や議員による政治活動によって変化や修正を与えられる可能性があります。
議員に対しては、2つの働きかけの機会があります。1つはまさにこれから迎えようとする選挙。もう1つは議員や議員集団、政党への働きかけ、つまりロビー活動です。ロビー活動というのは、特定の目的や主張を政治的に、もしくは社会的に実現させることを目的に、団体(個人の場合もありますが、基本的には業界や民族の団体)が政治家に働きかける活動です。「この考え方に沿って政治活動をしてくれれば、わたしたち団体はあなたたちを支援しますよ」というものですね。
大きな業界は大きな業界団体を構え、それぞれ議員や政党に働きかけを行っています。そういうことを毛嫌いする人がいますが、私には意味が分かりません。国会議員は予算を審議しますが、議員立法という形で政策を法律として組み立てることもできます。議員たちに、児童クラブの充実強化が重要だと理解させてそのために行動してもらう、その後押しをするロビー活動ほど、児童クラブの充実強化に直結する重要な活動は他に何がありますか?議員たちに働きかける団体と、その窓口となる議員側の議員集団がセットになって、要望をする、要望を受け止めるという形態が存在することが通常です。
もちろん児童クラブの世界にもそのような形態があります。職員配置基準の参酌化のときにはそれを阻止しようと業界団体が行動して超党派の議員連盟に働きかけもしています。ただ冷静にみて、児童クラブの世界においては保育所と比べるとはるかにその活動の度合いも注目の度合いも低い。これは残念です。いまや児童クラブは小学1年生のおよそ半数が利用する社会インフラですからもっともっと国が予算を投じて不思議ではない世界です。今はだいたい2,000億円ですが、私は少なくとも3倍の6,000億円は最低でも必要だと考えています。そういう予算の分捕り合戦もまたロビー活動が後押しするのですが、児童クラブの世界が得られる予算の少なさは、ロビー活動=業界の後押しの弱さが影響しているに違いないと、私は考えています。
どうしてロビー活動が弱いのかは簡単な話で、業界がまとまっていないことと、すでにある団体の力が弱いからです。業界がまとまろうにも、残念ながら児童クラブの世界はそれぞれ拠って立つところの基盤も理念もまったく違う事業形態がバラバラに発展しているので、もうまとまりようがありません。そのような状態の上に成り立つ団体の力が、他の業界の業界団体に比べて資金力も発言力も存在感も弱いのも致し方ありません。これは今までの戦略が間違っていたツケといえます。業界の発展のためには残念なことでした。しかし、厳密には放課後児童クラブではないにしろ、昨年に発足した民間学童保育の団体は国会議員を招いた勉強会や集会を開催しています。民間学童保育所の業界は放課後児童クラブ全体の勢力に比べて市場はまだまだ小さいにしても、個々の事業者には資金力がある事業者が多いので、団体としての資金力がそれなりにありますし、生き馬の目を抜くビジネス界で日々、会社の発展のために血眼になって活動している人たちが集まっていることもあって活動力も高い。その正反対が既存の児童クラブの業界のまとまり、ともいえるでしょう。
とはいえ、ただ手をこまねいていてはダメです。現状、例えば1つの自治体の区域にバラバラな事業者がある児童クラブの世界ゆえ、事業者単位で業界団体を形成してまとまることはもう現実的ではないと私は考えています。よって、これから、チカラを持ったまとまりを作るには、個人個人の期待や希望、変革を望む考えを結集していく動きが必要だと私は考えています。児童クラブの世界に関わる個人個人、職員や運営に従事する者の個人個人を参加単位としたまとまりを早急に打ち立てることが必要だと私は考えています。ぜひそうした動きが沸き起こることを期待したいですし、私自身も自分の活動の範囲(それは個人の言論活動にすぎないのですが、ペンは剣よりも強し、です)で訴え続けていくことを覚悟しています。
<今でもできる、公示までに>
さて衆院選挙です。公示までの間こそ、実は本質的な選挙活動です。公示されるまでに立候補を考える陣営は、どういうことを訴えれば選挙で当選するか、選挙区の情勢を徹底的に調査します。だからこそチャンスです。児童クラブに関する問題で「これをぜひとも公約に、マニフェストに、掲げてほしい」と訴えることが大事です。その訴え、要望、声が大きければ大きいほど、立候補する側は見返り=票数を期待して、その訴えや要望に寄り添った公約などを掲げる可能性があります。
本来は実名または団体名を表明して意見や要望を発信することが重要ですが、政治的な動きを個人で行った場合に所属先から思いもよらぬ不合理な扱いを受ける可能性があるので、なかなか難しいでしょう。組織に属して働いている人はなおさらです。ですので匿名でもいいので、自身の所在地は明らかにして意見を要望を発信することを、じゃんじゃんとやっていきましょう。例えば私の住所の所在地では、自民党の候補者がいわゆる裏金問題によって非公認となりました。戦局は上尾市や桶川市、北本市、鴻巣市ですが、北本においては児童クラブの運営事業者に関する指定管理者の問題があります。ここでこの問題に関してまとまった意見を発し、その意見を取り入れた対応を表明する候補者にこぞって投票する、ということが考えられますね。そのためには、「この問題については、このような対応を期待したい」というまとまった数(=票数)を背景に、こうしてほしいという考え方を候補者に確実に伝えることが重要ですね。
一番ダメなことは、あきらめることです。「どうせ何を言っても変わらない」と、無関心となって行動をしないことです。それは現状の追認に他ならない。つまり今から何も変わらないし、今の流れがさらに続くということです。であるなら、「一切合切、文句を言うな。現状を肯定的に評価しなさい」と私は言いたい。投票行動を起こしても何も変わらないじゃないか、というのは結果論に基づく意味のない批判です。行動したことに価値があり、それを続ける事こそ価値があります。何があるのが分からないのがこの世の中です。10年前、石破茂氏が内閣総理大臣になるなんて、奇跡でもない限りありえないだろうというのがもっぱらの見方でしたが、今はどうですか。もっと昔に戻れば、自民党と社会党が連立政権を組んで与党になるなど40年前の人に聞いても「そんなことありえない」の一言で片づけられた。ところが歴史はそうではなかったと示している。
大事なのは児童クラブに関わる者の1人1人の意識であり、その意識を発信して賛同者、理解者を広めていく行動です。それが積み重なると、時代をも動かせる可能性が生じます。何もしなければ可能性はゼロのままですよ。公示までの間、児童クラブを悩ませる多くの問題について、その解消に向けて動くことの重要性を候補者になる人に届けましょう。ロビー活動が極めて弱い児童クラブの世界ですから今は個人個人の動きが大事です。どんどん意見を発していきましょう。私ももちろん、意見を出し続けていきます。最後に、私が候補者に訴えたいことを紹介します。
・全国の放課後児童クラブの質の平準化に向けて強力な基準の設定
・放課後児童健全育成事業の抜本的な見直し。放課後児童クラブを「事業」(任意)ではなく「施設」(義務)とする法改正
・小1の壁、夏休みの壁などの問題の根本に横たわっている職員不足、その原因となる職員の劣悪な雇用労働環境の改善のために補助金(運営費部分)の大幅増額
・放課後児童クラブに関わる資格の大幅強化による従事者の資質の引き上げ。資格の国家資格化または新たな国家資格の創設
・参入する民間企業への管理監督の強化。予算の適切な分配。補助金交付事業者が獲得できる純利益額の上限設定
・放課後児童クラブの事業の継続性を重視し原則非公募とする趣旨の徹底、もしくは公募または指定管理者選定に用いる審査基準に国の指針を示し、地域における事業の質の評価の設定
<おわりに:PR>
弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。1,900円(税込みでは2,000円程度)です。注文は出版社「寿郎社」さんへ直接メールで、または書店、ネット、または萩原まで直接お寄せください。お近くに書店がない方は、ネット書店が便利です。寿郎社さんへメールで注文の方は「萩原から勧められた」とメールにぜひご記載ください。出版社さんが驚くぐらいの注文があればと、かすかに期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。
(関東の方は萩原から直接お渡しでも大丈夫です。なにせ手元に300冊届くので!書店購入より1冊100円、お得に購入できます!私の運営支援の活動資金にもなります!大口注文、大歓迎です。どうかぜひ、ご検討ください!また、事業運営資金に困っている非営利の児童クラブ運営事業者さんはぜひご相談ください。運営支援として、この書籍を活用したご提案ができます。)
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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