育成支援でも運営でも、トラブルが劇的に少なくなる、たった1つの方向性とは。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。
昨日(6月27日)のブログでは、苦情やクレームについて取り上げました。主に対処法について記したのですが、苦情やクレームについて私は、2つの性質があると考えています。
1つは、「絶対的に」苦情やクレームとして寄せられるもの。つまり、苦情やクレームになるのは当然という事態に関するものです。子どもが職員に乱暴な言葉づかいで一方的に叱られて傷ついている、というような事態です。つまり、「誰しもが、苦情やクレームを行って当然」というものです。
もう1つは、「相対的に」苦情やクレームとして寄せられるものです。つまり、同じような事態を迎えても、ある人は苦情やクレームという形で行動を起こすけれども、別の人は苦情やクレームと言う行動を起こそうと思わない「受け止め方」をする、というものです。子どもが職員に叱られたとして、ある人は、その叱り方に異議を感じて苦情やクレームを行う、またある人は、その叱り方について別段、違和感を覚えないということです。
絶対的苦情・クレームは、とにかく、その原因となる事態を招かないことに尽きますが、相対的苦情・クレームは、「相手の感じ方、理解の仕方によって、苦情・クレームになるかどうかが左右される」という点で、やっかいなものです。要は、同じ行為について、片や異議を申し立てられ、片や普通に受け止められるというものですから。
しかし、相対的苦情・クレームは、相手の感じ方や理解の仕方でそれが苦情・クレームになるかどうかが左右されるのであれば、苦情・クレームになるべく思わないような考え方になるように、例えば保護者なら保護者を、変えていけばいいのです。
保護者を変える、正確には保護者の立ち位置でしょうか、変えるにはにはどうするか。これはもう、「保護者と職員(学童保育施設運営側)との関係性を良好なものにする」のが、一番です。もっと簡単に言えば、互いに理解でき、信頼できる関係になる、仲良くなる、ということです。
そのためには、お互いをたくさん、知ることが大事です。相手の事をよく知るということは、それだけ、理解される範囲が広がるということ。人間、理解できるものには不安や疑念を抱きにくいいものなのです。分からないこと、知らないことについては、いま自分が抱いている少ない知識や感情を基にすぐに正解、不正解の判定を下しがちですが、知っている事柄については、それだけ持っている知識や感情が多いゆえに、良い、悪いの判定に時間をかけるものなのです。
学童保育で分かりやすい例としては、学童保育所での行事があります。もう、あらかた学童保育所では廃れているのでしょうが、かつて学童保育は夏休み期間中にキャンプ活動をするところが多かったのです。泊りがけ、日帰り、タイプはいろいろあれど、保護者も参加して、子どもと職員、保護者の3者が協力して行う、ある意味、手作りのキャンプです。
泊りがけのキャンプでは、子どもたちが寝静まった後、保護者達は「反省会」と称して乾杯!となるケースが多かったでしょう。そこでは、保護者同士、また参加した職員と保護者が、たくさん会話して、お互いのことを知る機会が持てたのです。
こうして、キャンプという「非日常」の場で、それまで知らなかった相手のことをたくさん知ることができたあとと、その前では、保護者と職員との関係性は劇的に変化したのです。それまではお迎えの時にそっけなくあいさつを返すだけだった保護者が、その後は会話の幅が広がって、あれこれと話が弾むことも、珍しくなかったのです。
もうお分かりのように、保護者と職員がこのような関係になっていけばいくほど、相対的苦情・クレームは劇的に減っていくのです。このことは、学童保育所で働く人で、保護者が学童保育所に関わる機会が多い放課後児童クラブに属する人には、体感として理解できることでしょう。逆に、保護者と行事という場で関わる機会が少ない公営学童や企業型学童では、あまり実感できる場面が多くはないと私は思います。
今は、学童でのキャンプを行うことはなかなか難しい時代でしょう。泊りがけの大掛かりなキャンプはできなくても、クラブで行う「流しそうめん」「餅つき」など、保護者が参加でき、活躍できる場面を職員が用意して、保護者に活躍してもらうことで、その保護者と学童保育側の距離が、ぐっと縮まります。1回のイベントでは難しくとも、誕生日会に保護者を招いたり、所外保育に保護者の参加を呼び掛けたりと、機会はいろいろ作れるでしょう。
また、「おたより」で、クラブでの出来事はもとより、職員の思い、感じ方について発信することも良いでしょう。互いを知るには、まずは自分を相手に知ってもらうこと、が重要なのです。職員は、自分の(仕事の)こと、クラブのことを、どんどん発信しましょう。
こうしたことは、地域の方を対象としても当てはまります。
双方の距離が縮まることは、相対的苦情・クレームの減少につながるだけではありません。子どもたちとも距離感が縮まった大人は、それまでの○○君、〇〇さんのお父さん、お母さんという存在ではなく、そのクラブみんなのお父さん、お母さんになっていくのです。こういう関係性になった保護者は、その後はずっと、クラブの支持者になってくれるでしょう。そしてその時こそ、学童保育の職員にとって、保護者と対応する時間が待ち遠しい「宝の時間」に変化していって、子どもの支援も保護者を巻き込むことが可能となってより効果的に行うことができ、育成支援という専門業務の手ごたえを感じられるときと、いってもいいでしょう。
ずいぶん、前時代的な、アナログなことを主張すると思われるでしょうが、人間の心と心の結びつきは、こうした泥臭い、アナログ的な考え方こそ重要なアプローチであると私は思います。何といっても、学童保育所は、子どもが育っていく場であり、保護者も実はまた、保護者として育っていく、「人間ではじまり、人間であり続ける」場であるからです。
「あい和学童クラブ運営法人」は、クラブや運営組織の円滑な組織運営の手法といった、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。また、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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