学童保育の待機児童が更に増加。緊急事態として抜本的な対応が必要。民間活力の大胆な活用に踏み切ろう。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育を利用できない「待機児童」について、前年度より大幅に増えたことを6月28日、国が明らかにしました。毎日新聞のインターネット配信記事(28日午後8時最終更新)を一部、引用します。
 「小倉将信こども政策担当相は28日、希望しても定員超過などで入れない待機児童が5月1日時点で1万6825人(速報値)いると発表した。前年より1645人増えた。共働き世帯の増加で需要が高まっており、対策が追い付いていない。全国の利用児童数は144万5459人で、前年より5万3301人増え、過去最高を更新した。国は2023年度までの5年間で、学童保育の受け皿を30万人分拡大し、利用児童数を計152万人とする目標を掲げているが、達成は厳しい状況だ。」

 たった1万6825人と、思わないでください。ほぼ確実に、いわゆる「隠れ待機児童」(学童保育をできることなら利用したいが、入所ができなさそうなのでやむなく保護者が働き方を変えて何とか対処して入所を申し込まなかった等)が、この何倍もの人数で生じているだろうからです。
 もちろん、1万7000人近い子どもたちが、本来なら必要としている学童保育を利用できないということは、極めて重大な事態です。それだけ、これまでの生活スタイルを変えることを余儀なくされた保護者が存在していて、それは間違いなく、学童保育を利用できなかった世帯において、保護者が、フルタイムで働くことをあきらめたとか、正規常勤の働き方から非常勤の働き方に変えざるを得なかったとか、仕事そのものを辞めざるを得なかったという、社会経済活動にマイナスの影響を及ぼしているからです。社会にとって見過ごせない事態なのです。

 そして2024年の春には確実に、またしても「小1の壁」がメディアを賑わせることになるのです。その裏では、途方に暮れる子育て世帯が多数生じている、という悲劇があるのです。

 記事では、国の示す目標の達成が厳しいとあります。子どもの居場所作りが、需要に追い付いていないのです。それはひとえに、子どもの居場所づくりに投じる予算が少ないことと、予算を確保しても居場所として使える場所を確保することが地方自治体において可能となっていないこと、この2つの理由があるはずです。
 しかし、学童保育の待機児童は毎年生じており、毎年、繰り返されている話題です。結局、国や地方自治体は、学童保育所の待機児童を完全にゼロにする強い覚悟をもって対策に取り組めていないことを示しているといっていいでしょう。

 この国が、本気で学童保育の待機児童を無くす、すなわち学童保育を必要とするすべての世帯が学童保育を利用できるようにするために必要な対応を、本気で実施しようとは、私には到底思えません。「いずれ、子どもの人数は減るのだから、何と言われようと大掛かりな施設の整備はしないで、自然に、学童保育の需要が減るのを待つ」という国や地方自治体の本音が、どうやっても、見えてしまうのです。

 待機児童が出るということは、子どもの安全安心な居場所が提供できていないということ。子どもにとって極めて不利な事態になっていることの深刻度を、もっとこの国は考えるべきです。もちろん、待機児童が増えれば増えるだけ、社会経済活動に影響が出るということも。

 よって私は、機動力に劣る行政主導の子どもの居場所作りよりも、民間の行動力と発想力に、待機児童対策を大胆に委ねることを訴えたい。そのためには、学童保育の設置、整備に必要な補助金を現行の約1200万円から大幅に増額した上で交付の条件を緩和し、民間の事業所が学童保育事業でより役割を果たせるように、今すぐにでも、学童保育に関する施策を変更することが必要だと考えます。

 行政主導では、「少子化を見据えて固定経費を増やすような投資は避けたい」「小学校の余裕教室の活用も福祉と教育の縦割り行政の中で、なかなか前に進まない」という弱点がありますが、民間団体に対して学童保育の整備に必要な補助金を大幅に増額して交付できるようにすれば、ある業者は比較的安価なプレハブ建築で学童保育所を設置できるでしょうし、またある業者はすでにある物件の内装をリフォームして、子どもが過ごすに適した施設としてすみやかに提供することが可能です。今後の少子化で学童保育の需要が減った時にどうするかは、それはその民間事業者が考えればいいことです。
 また、学童保育の設置だけでなく、例えば、プレーパークの整備に必要な補助金を創設することも、民間主導の子どもの居場所作りに貢献するでしょう。育成支援を行う学童保育(=放課後児童クラブ)に入所できなかった世帯を対象に、期間限定で、学習支援系の民間学童保育を利用する際の料金の一部を補助する、ということも、待機児童を減らすためには効果的です。

 「とにかく、待機児童を減らす」ということを最大目標に、ありとあらゆる方策を組み合わせて対応すること。これこそが、本当の意味での「異次元対策」です。

 国が、決意を示せば、すぐにできることです。学童保育を利用できなかったことによる不便さ、困難さを、いつまでも子育て世帯に押し付けて自助努力を迫る今までのやり方は、もうやめましょう。総合的、多角的に、子どもの居場所づくりに、本気で取り組んでいただきたいと、私は強く希望します。 

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育をはじめとした子どもの居場所作りについて、種々の提言を行っています。また、学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)